アラジン38型は前期型と後期型に分かれます、

前期型で不具合の在ったところを改良し後期型へ移行したのがその大きな理由でしょうか。

その問題点が大きく2件あります。

1件目は芯を下げるタイプの耐震消化装置の不具合

2件目は新しい芯を組み付けた芯押さえのはめ込み方がやや判り難い点

 

私もこの2点で少し苦労しています。

 

こちらが1件目に挙げた不具合、

38型後期に比べてこの部分は樹脂製です。 左から2個はレストア最中の前期型の2個の物、

耐震装置の芯下げの衝撃を脇に張り出した突起で受け止めるのですが、写真の様に

一様にみんな割れてしまいます。 一番右の物は後期型の物で筒状のボディも含めて全て

鋼製に置き換えられています。(一番初めにレストアした380003の物)

ドン!と言う音と共にバネの力で芯を一番下まで下げるのですが、樹脂部品ではその力に

耐えられないのです。 当時はリコールなんて言う制度は無かったでしょうから、

メーカーとしては改良した後期型を出すだけで良かったのでしょう。

ヒビは結構奥の方まで伝播しています、これを何とかしないといけません。

割れのその先から切り取りました。 形は直線を基調にしています

こんな感じにカクカクと真直ぐな線で切り取ります

もう1個も同様に割れた部分を切り取りました

同サイズの塩ビ管を準備して切り取りのカクカクに合わせてこちらも部品を作成します

 

もうお判りの通り、割れた部分を挿げ替えるのです。

この様に削っては嵌めしながら微調整をして隙間が無い様にします(写真はまだ途中段階)

もう1個も同じく部品を切り出して行きます、

この様にピッタリになるまで根気よく進めます

そうしたら塩ビ接着剤で接着します。

この様にして暫く放置、これだけでもかなり強固に接着しました

それでも長年の使用に耐え得る様にステンレス鋼線を廻りに巻いて補強します

使ったのは0,3㎜です

もう1個も同じく対応、 これで部品としては完成です

しかし、このままでは耐震装置が働いた時にダイヤルが下がって一番下に来た時に

当たって止まる部分の突起がありません、

その部品はこちらの軸受とは別体で作成しました。

用意したのはアルミ板、厚み3㎜

タンクのネジ穴等に合う様に部品を型紙から起して作りました。

ドン!と大きな音でこの部品にダイヤルが当たるのである程度の厚みを持たせて作りました

また、独立する事で衝撃が軸受を再度破壊する事を避けたのです。

限られたスペースに収まらなくては成らないので最小限の大きさに作ります

皿ネジの頭の逃げも作りました。 ドリルがアルミに食い込むので上手く削れていません。

 

組み付けた様子です、ダイヤルの隙間のスペースに収まる様に微調整の加工をしました。

もう一方も同様に対応しました。

ダイヤルの内側に隠れるので、気付かない仕上がりに成りました。

写真がやや前後しましたが、タンクを下枠に取り付けて行きます、

耐震振子をダイヤルのギアに上手く合う位置に微調整しながら取り付けます、

 

耐震装置の稼働具合と作成した部品の様子を確認しながら組み付けました

軸受の補修に使った塩ビパイプの内径がミリ単位でやや細かったので分解して

内径をヤスリで広げたりしています。

上手く調整出来たので上枠を取り付けます、

タンクの下枠に取り付ける位置を少し移動して良い位置をさがします、

上枠を立てた時点でストレスなくカタンと嵌る様になればOKです。

 

 

もう一台も同じく調整し

同様にもう一台も組み上げました。

こちらはフレームを塗装していない方で色が揃って居ます。

当面の使い道が無い為この時点では芯は組み付けていません。

もう1か所、上面版をボイルリングの嵌める為のベロが欠損していました。

それをこのような鉄板で作成しました

単純にビス止めです

タンク下の整流板はプラスチック製でした。

こうして2台一度にレストア作業を完了しました。

この時点では使用目的が無い為保管に成るかと思って居ましたが

レストア後の綺麗になったアラジンを見た家族の意見で我が家の災害時の緊急暖房システム

に加える事になりました。

早速ネットで芯を注文し装着しました。

芯に灯油がしみ込む30分が待ち遠しかった記憶があります。

 

ここで2件目の問題点、芯押さえを内煙筒へ滑り込ませて、ギアを噛み合わせる位置を

微妙に調整しないと正規の位置(芯の一番上が内炎板の穴の列が上から2~3列見える位置)

に合わせるのが難しい事です、 文章では何を言っているか判り難いのですが

2重に成ったダイヤルを引きながら穴位置をずらす事で芯の高さを調節出来るのですが

初期位置はダイヤルが噛みこむ位置も調整しなくては成らない事

(と言っても何のことがさっぱりわからないですよね・・・)

まあ、いいです。

この個体は炎に勢いがあります、とても綺麗なブルーフレームが内煙板に青白く反射します

苦労の報われる瞬間です。

 

もう一台はそのまま保管となりましたが、その後地下室の暖房に昇格しています。

こちらは現在の様子、レストアから3年程経過しています。

毎年シーズン初めに新油を注入しメンテナンスをしています、使用頻度は年に10回程度、

大人数の来客等の時に普段は暖房の無い廊下や玄関を温める為に使用します。

 

金色だった真鍮のギャラリーや内炎板等は良い具合に黄銅色に進化しています。

補修した耐震装置も完璧に稼働し続けて居ます。

 

これからも我が家のエマージェンシーストーブとして活躍し続けるでしょう。