組み立ての過程を記録していました。

 

アラジン38型は芯を強制的に下げるタイプの耐震消化装置と燃焼筒に蓋をする消火装置

の2Wayで対応するタイプで、現行型に比べても更に安全と言える装備なのです。

その代償としては部品点数がかなり多めになる事と、機構を理解していないと組み立てが

大変です。 年齢もマイナス要因で記憶に頼っては作業できません。

 

こちらは芯を強制的に下げるタイプの耐震装置のストッパー部品です、金属製になって居ます

この部品とこれに当たって止まる歯車の部品が前期型では樹脂製です、

バネの力でかなりの勢いで当たるので金属製でも写真の様に凹みが出来ています、

樹脂製では推して知るべし、一様にここが割れるのです。

 

写真の様に後期型のギアは金属性です。

 

隅々まで汚れを取りましたが説明シールは剥がさないでおきました。

芯の繰り出し機構のダイヤルです、

これが有る事で38型初期型に比べてかなり芯の寿命が延びるようです。

この様な秀逸な新機構はその後の39型にも継承されて居ます。

部品も色違いですが流用出来る様です。

ダイヤル類は割れ、欠け等無く良好でした。 ネットで詳細を確認出来ない状態で購入した

事を考えると幸運だったと言えます。

 

軸部分も一度分解して清掃してあるので、ほとんど抵抗なく回す事が出来ます。

耐震振子と燃料計を取り付けてタンク側は完成です。

 

燃料計も簡単に分解できる構造なので、のぞき窓のガラスを磨いたりしています。

芯は市販の16LP、近所のホームセンターにも在庫が在るようですが、当時はネットで

取り寄せました。  

 

流石はベストセラー、説明も絵付きで非常にわかりやすくそれぞれのタイプに対応しています。

 

説明の通りに組み付けて行きました。

芯繰り出し機構の在る38型は予め一番上にセットする様です。

これなら全くの素人でも簡単に取り付け出来るでしょう。

すんなりと新しい芯を装着出来ました。

 

内煙筒と芯の擦れる部分を鏡面に磨いて極限まで摩擦係数を下げてあるため、非常に

スムーズな芯の上下が出来ます。

芯外筒も装着してみます、 タンクにねじ込む方式になって居ますがここは注意点で

2か所でねじ込み可能です、芯外筒と内炎筒の隙間が均一に成らない場合はねじ込み位置を

180度ずらしてはめ込む必要があります。 後の39型などにははめ込み位置が赤印で指定

されて居ますが、この38型には無かった様に記憶しています。(有ったけれども清掃過程で

消えてしまった可能性有り)

内炎板を載せてタンクは完成です。

芯の最大高さの調整などは先程の説明書に従いました。

内炎板の穴の列が2~3列上から見える位置まで上がるのが良い様です。

 

耐震装置の稼働の状態も確認しておきました。

 

いよいよ最終の組み立て工程に入ります、

全ての部品を磨いて仕上げるのに2週間程かかって居ます。

漬け置きで錆を取るような部品は必然的に時間が必要に成ります、加えて仕事の在る

一般人なので時間の都合もあります。

上枠は程んと錆も無く、さび色をしていた部分も軽くピカールで磨くと取れました、

他の部分の錆の色が移って居ただけの様でした。

タンクの収まる下枠は錆の酷かった置台に接していた足の部分に錆が在りました。

金属タワシで錆を除去した後に軽くジンクスプレーを吹いて、その上からミスティグリーンを

マスキング無しで吹き付けて居ます。  

色味が非常に近いのでオリジナル色との境目は殆どわからないレベルに仕上がりました。

 

外筒の蓋状の耐震装置を稼働させる為のレバー機構を組み付けて行きます、

写真を見ながらどうなって居たかを確認して組み付けました。

上枠のラッチ部分の戻りバネの取り付けも写真で確認しました。

外筒の窓のマイカも交換します、

今ならこの程度なら再利用するだろうレベルですが当時は全てを完璧に仕上げたい

衝動の方が強かった様に思います。

窓枠も耐熱塗料で仕上げてあります。 

 

ギャラリーを外筒にクリップでカシメて行きます。

こちらのクリップはマイナスドライバーの先で起して取り外した物を錆取り再塗装の上

再利用しました。 状態が酷ければ新品を購入できます。

 

窓の位置に対してギャラリーの欠けの位置が決まって居るので注意する必要があります、

反対に組んでしまうと、クリップをまた外す手間が発生しますし、クリップの金属疲労による劣化

を考えるとあまりミスをしたくない部分です。

外筒はこのプレートで上枠に取り込まれる形に成ります、

外筒自体は芯外筒の上に乗らなければならないので少しのクリアランスで上枠とはフリーに

なって居ます。 ここの動きが悪いと上枠の下枠に対する嵌り込みが悪くなったりします。

 

苦労して探し出したM3,5のネジを止めます、 多くの場合このネジは熱により固着している

らしいのですが、この個体はさほどの苦労無く取り外し出来ました。

ネジ山もダメになって居る場合が多い様です。

最後に蓋状の耐震消化装置を上枠の脇から滑り込ませて組み付けて完了です。

下枠とタンクの組み付けはさほど難しくありませんがコツとしては、この時ネジは仮止めと

して置く事です。  上枠と合わせてから更にタンクの位置の微調整が発生します。

タンクの下には整流板をくみつけて、その後に置台をネジ固定します。

 

置台と枠の色の違いがこの時点で良く解ります。

 

上下の部品が完成しました。

 

上下部品はヒンジの軸を通して皿状のクリップをはめ込む事で連結出来ます、

こちらのクリップもホームセンターで入手出来ました。

 

上枠を閉めて見てタンクの位置を微調整して行きます、

カタン!と力を掛けずに閉まる位置を調整して出します、

タンクを下枠に止める部分の穴が長穴になって居ますので数ミリの単位でタンクは移動できます。

 

微調整が終わって、タンクの締め付けを済ませた状態です。

タンクを止めるネジなどはあくまでも部品を懸架するだけなので高トルクで締め付ける必要は

ありません。 軽く手首の一捻りで締め付けて置けば十分です。

上面版を載せて蓋状の耐震装置の連動を確認します。

問題無く稼働しました。

 

”とって”も忘れずに組み付けます。

組み付け方向は45度ずらす事が出来ますので自分の使用環境に合わせて

調整すると良いです。

長いレストア作業の末に組みあがったアラジンを眺めて満足感に浸ります。

 

置台と外筒押さえプレートを塗装したミスティグリーンは市販品の中では現在

限りなく近い色と言って良いでしょう。 それでもやや色味の違いは判ります。

給油して芯にしみ込むのを待ちます、

その間も暫く眺めていました。  開けたり、閉じたり、耐震装置を稼働させてみたり

完全におもちゃ状態でしたww。

 

いよいよ着火してみます。

新しい芯は灯油を吸い上げる勢いも良く、勢い有るブルーフレームを見せてくれました。

完璧ですね。

暖かさでは備え付けストーブにはかないませんが、独特の形と青い炎を見ていると

心が和みます。

 

実の所我が家には全自動のFF式ストーブが各室に完備されて居る為

アラジンの出番は少ないのですが、この後暫くはそちらのストーブの電源を落として

アラジンを使って居ました。

 

 

ーーー芯繰り上げ軸について補足ーーー

コメント欄からの質問について検証してみました。

 

今回の検証に使用した機体は"2台レストア”で登場の38型前期タイプです。

 

この繰り上げ機構の歯車を止めているナットのサイズが知りたいとのことでした。

 

ナットサイズはインチでした・・。 サイズは7/32 ですが丁度ミリサイズにも対応していて

同じソケットレンチの裏側にはミリ表記が・・・・・・

 

5.5mmです。  特殊サイズで、ソケットレンチセットの中に入っていますが今までこれ以外

には使った事が無いです。

 

プラスチックのダイヤルは外します、 (ダイヤルをもってナットを回そうとすると割れますので

ご注意を) そうしたらプライヤー系の物で端部を保持します。

 

そうしてレンチをかけて回すのですが、この緩み止めのナットは逆ネジでした。

目視でも逆である事が確認できます。

 

こんな感じです、 この部品は外した後も取り出すまで気を緩めてはいけません、

カランっ! と中に落としたものなら取り出すのに5苦労位します。

 

次は歯車を外しますが、こちらは正ネジです、ラジオペンチ等の先端の細い物で保持しながら

軸を回すと取れます。 

こんな感じに両方取れると軸を引き抜く事が出来ます。

 

軸の端部はこのように一番端に逆ネジ、それからギアの入るところが正ネジが切られた

複雑な構造です。

 

組付けは逆の手順で行いますが、最後の緩み止めのナットはソケットに予め入れておいて

ねじ込んでゆくと落とす危険を回避できます。

お試しください。