世の中いろいろな趣味があります。

もう、6,7年前に成るでしょうか、と在るきっかけで自宅の予備の暖房として

以下に続くストーブを購入しレストアする事にしました。

 

有るきっかけとは、自宅の地域で停電が発生したのです。

もう春先で実際の所は暖房が無くても凌げる気温でしたから事無きを得ました

しかし、これが真冬だったらと考えると備えて置くべきものは適宜に揃えるのが得策と

判断したのです。

 

そこでホームセンターへ行って見るも季節商品のストーブは既に店頭には無く

ネットで物色するも、近代の製品は白物家電的になんとも色気が無い。

いろいろ探すうちに目に付いたのが Aladdin でした。

 

当時はまだその長い歴史や日本で販売された経緯など全く知らず、単純に

形から入った感が強いです。 なんともこの形がいいと思えたのです。

 

早速ネットオークションサイトで中古品を物色してみました。

何日か観察するうちに目に止まる出品がありました。

 

こちらがその時の出品写真です。   Aladdin 38型の後期型ですね。

見た目はかなりボロボロで芯は固着、着火出来ないのでジャンク扱いでした。

 

並行して先人のブログなどを見ると、結構な状態の物でもレストアが可能なのが解ります、

 

芯調整ダイヤルが割れて居たり欠損して居たりするのはNGである事を調べてあったので

こちらの写真で大体の目安として、良好な部類に入る事が解ったのです。

 

耐震振子のカバーが在りませんが他は全て揃って居る様子がこちらの写真で判りましたので

思い切って落札しました。

 

昨今ではレトロなストーブのブームが来ている様ですが、当時は殆ど見向きもされない状態で

出品価格の1000円で落札出来てしまいました。  

 

これまた当時はまだ宅配も安価な時代で日本列島を半分程移動して来たにも関わらず送料も

1000円ちょっとでした。 (今なら3000円くらいするでしょうね)

 

ここからは当時の記録写真です。

ブログにUPする事を想定していなかったので全ての工程の写真はありません。

主に再組立ての際の部品の取り合わせなどを確認するのが目的で撮り貯めた物です。

 

届いた状態はオークション出品の通りで芯が固着していました。

先人の苦労話を読みながら芯の剥がし方をいろいろ試して、撤去に成功しました。

パーツクリーナーをたっぷりと吹きかけて5分程浸透するのを待って その後に隙間へ

コーキング用のヘラの細長い物を差し込んで固着を剥がして取り除く事が出来ました。

 

後に判るのですが、38型の後期型はこの耐震消化装置のギアが戻って当たる部分が

金属製ですが前期型はプラスチックの同素材なのです、 

プラスチック製は耐震装置が作動するとその衝撃で少しずつ割れたりして長く持たないらしく、

後期型で金属製に置き換えられています、

 

部品に不具合は無く経年の汚れ以外は問題無い状態でした。

良く割れてしまうハンドルも健全な状態でした。

 

芯を上げ下げするギアの状態も問題ありません、 

この部分は逆ネジの真鍮製のナットで止まって居ます、

軸をプライヤーで押さえながらナットをメガネレンチで回すと難なく外すことが出来ました、

軸を清掃し注油する為に必要な作業です。

こちらは2重の耐震消化装置の蓋側を稼働させる為の構造、

後付けの部品が狭いスペースに配置されて居ます、38型以前モデルには無い部品です。

 

錆こそあれ可動具合は良好、全体的に見て恐らくあまり使われて居なかった物と思われます。

 

こちらの部品は正式名称”しん外筒”、真鍮色も鮮やかに程度も良好でした。

 

タンクとの接触面にはガスケットが入って居ます、 

後にさほどの重要性が無い事が解ってきますが、当時は全て手探り状態、

有るべき物は全て再現する方向で進めて居ます。

手持ちのガスケット紙から切り出しました。

内側の円は無駄にならない様に別の部品の切り出しに使いました。

 

外筒を上枠に抑える為の部品です、錆はさほど深くなく簡単に綺麗に出来ました。

恐らく薬缶のお湯などの吹きこぼれが掛かったような痕跡がありました。

置台はかなりの状態でしたが辛うじて当時の代理店のディック家庭機器株式会社の名称が

判読できます。

 

型式はJ380003B、 38型はJ380004まであるらしいので後期型の初期ですね。

 

錆はサンダーで取り除きました。JISマークや耐震消化装置合格証のシールは残念ですが

この段階で錆と一緒に無くなってしまいました。

 

錆は完全に除去したかったのですが、この段階で挫折しました、

サンダーを使用してもかなりの重労働です。

 

置台はストーブから簡単に分離できるので当時は実験的に、この段階で良しとしてみました。

 

塗装は下地にjジンクスプレーを使用しました。

亜鉛入りの塗料の事ですが、錆に対して有効です。

錆は深い所も在り、仕上げの塗装をするとアバタに成りましたが

それも古いストーブの味と割り切ります。

 

タンクのキャップを持参してホームセンターを物色して購入したカラースプレー、

初めに選んだのがこちらのアースグリーンでしたが38型のグリーンよりやや青寄りでした。

 

ここは大切な部分なのでもう一度色選びに足を運びます、

次に選んだ色がこちらで、かなり38型オリジナルのグリーンに近い色です。

それがこちらのミスティーグリーン。

15型などの古いアラジンは前述のアースグリーンが近いと思われます。

自分で調色できる環境が在る場合はこの様な苦労は無用ですが。

 

38型は部品点数も多く、細かな部品をコツコツと磨くのも大変です。

 

錆の激しい部品はオートバイ乗りの方ならご存じの”花咲かGタンククリーナー”に付け込んで

処理しました。 

錆が取れたら真鍮ブラシなどで磨いて、最後のピカールなどのペースト状の金属磨きで

磨いて置きました。 熱のかかる部品などは適宜に耐熱塗装も施して置きました。

ネジ類なども基本的には再利用を考えていましたが同じ規格の物が入手出来ので

メッキの綺麗な新品へ適宜に交換しました。

一番入手が難しかったのはボイルリングを上枠に止めてるM3,5のネジでしたが、幸いな事に

とある専門的なホームセンターにて入手する事ができました。

こちらはタンクの整備の様子です。

38型のタンクはこの手のストーブにはややオーバースペックのステンレス製です

ただしこの時はそんな事は知らず、一生懸命に内部の錆の確認をしたりしていました。

 

当時参考にしていた記事が39型(鉄タンク)だったので錆びに寄る穴開き等を警戒したのです。

2、3日掛けて内部処理を進めたタンク、

最後に芯の嵌る内煙筒部分は綺麗に磨いて置きます、

芯の上下をスムーズにするための一工夫です。 

 

長くなりましたので続きは後編、組み立て編です。