弓道士魂―京都三十三間堂通し矢物語
松山のエグゼっ子、松崎君に教えてもらった、平田弘史著「弓道士魂」を読んでみました。
京都の三十三間堂で、通し矢の行事が行われることは知っていましたが、それは江戸時代に、紀州や尾張の殿様など、各国の大名が国の威信をかけて行っていたとは全く知りませんでした。
通常、一間とは、約1.8メートル。しかし、この本には「柱と柱の間隔 3.6メートル 柱の数は片側34本で その全長約120メートル この120メートルを 手前から向こうまで廂(ひさし)にも縁にも当てないで 矢を射とおす 「通し矢」云々」と書かれています。
この本によれば、通し矢を最初に始めたのは、浅岡平兵衛重政という武士で、関が原の合戦でも強弓で知られた人物らしい。彼が夕方までかかって射通した矢は51本。慶長11年の出来事。
その後、この噂を伝え聞いた諸国の大名が、「うちの家臣にもそのくらいの記録を塗り替えられる者がおるわい」と言って、京都に何人もの弓の強者を送り込んだ。記録を敗れなかった人物は、国に帰れないとし、その場で切腹。
この本の主人公は、紀州下級藩士後に尾州藩士となる星野勘左衛門。実在の人物で、彼は8000本の通し矢を一昼夜で行い、天下惣一という偉業を成し遂げます。
しかしながら、彼が8000本の偉業を成し遂げるまでの、仕込み(稽古)の凄まじいこと。平田氏の絵が劇画タッチですので、その様はかなりの迫力でこちらに伝わります。
漫画ではありますが、436ページに及ぶ大作。弓を志す方には是非読んで欲しいし、武士道とはどういうものかを触りだけでも知りたい方にもおススメですね。登場人物がいとも簡単に死を選択するのが、潔いというか、死の美学というものを感じます。