<がん患者>自己負担は年120万 病院の過半数、説明なし
がんにかかって入院すると、患者が自己負担する年間の医療費は約120万円にのぼり、病院の過半数は医療費の具体的な説明をしない――。患者約3600人を対象にした厚生労働省研究班(班長・濃沼(こいぬま)信夫・東北大教授)の全国アンケートで、こうした実態が浮かんだ。14日から札幌市で開かれる日本癌(がん)学会で発表される。
入院した場合の自己負担額は、各種のがんの平均で年間123万円。うち入院・外来治療代は約64万円で約半分だった。ほかに民間療法や健康食品に約21万円、契約している民間の医療保険料に約25万円などさまざまな費用がかかっていた。
がんの種別でみると、負担の最高は大腸がんで約180万円。肺がんの約159万円が続いた。 一方、経済的負担について病院から説明を受けたかとの問いには「説明はなかった」が55%と半数を超え「覚えていない」が16%。「十分な説明を受けた」は25%にとどまった。
濃沼教授は「120万円は、仕事のない高齢者などには重い。例えばフランスの健康保険制度では、かぜ治療の自己負担は7割だが、がんならゼロになる。どの病気でも自己負担率が一定の日本も、そうした工夫が必要ではないか」と話している。【高木昭午】
(毎日新聞) - 9月11日3時5分更新
がんに限らず、医療費は往々にして経済的な負担が大きくなることがよくあります。
しかし、患者の立場から、一番の不安は、今病院にかかると一体いくらかかるのか分からない、ということではないでしょうか?
緊急的に病院にかかり、いろいろな治療を受け、退院することになって支払いをするときに、多額の請求書が出てくるといったことも実際にある話です。
まず、知っておいたほうがよいと思う情報を。
1ヵ月の医療費が高額になった場合、国民健康保険の担当窓口に申請を行い、認められた場合は、限度額を超えた分が高額療養費として払い戻されます。
これは年齢(70歳未満、以上)と、収入によってその基準は異なりますが、医療費の計算は世帯ごとになります。
詳しくは
国民健康保険中央会のホームページを参照してみてください。
また、ここで忘れてはならないのは、高額の医療費の払い戻しの申請を行っても、
いったんは自分でその金額を支払わなければならないということです。その支払いを行った後に払い戻しの申請を行い、実際の払い戻しはそこから数ヶ月かかることになります。その他、保険診療外の医療は対象外になること、70歳未満では医科と歯科では別計算になること、入院と通院では例え同じ医療機関にかかっていたとしても別計算になること、などもありますから注意してくださいね。
話は戻りますが、医療費を説明する、ということは実はかなり難しいんです。
というのも、患者ごとに必要な医療サービスは異なりますし、入院時に治療方針を立てたとしても、本当にそのまま行くかどうかは分からず、途中で変えたり、一時的に違うサービスを利用することも珍しくありません。
また、負担額に関しても、人によって千差万別なんですよね。なので、今後は支払いの方法や、医療費の計算に関してもっとシンプルにわかりやすくする改革ということも実は望まれているということがあります。
実際に高額の医療費を払うことになってはじめて分かることだろうと思いますが、各種保険などに加入するときなど、その内容とともに高額医療費の事に関しても調べてみることはおすすめです。
ところで、毎日新聞の記事の中に、フランスの健康保険制度に関しての話が出ています。
フランスの健康保険制度に関しては、その赤字幅の大きさが大変問題になっていて、実際に2005年に各種料金の引き上げや、増税などが行われました。
よい面は学んで、悪い面は反面教師にしなくてはいけませんよね。