おはようございます晴れ 

carenavi_gate 訪問看護師 米中京子です。

 

自己紹介です飛び出すハート

 

 

 

それは突然やって来ます。

 

スーパーの青果コーナー。

ふと手に取った大根。

 

「あ─もう、煮物を作る相手がいないんだ。」

 

その瞬間、涙が溢れて止まらなくなった─

そんな経験はありませんか。

 

 

ベル「不意打ちの悲しみ」が、グリーフの本質

 

お葬式では泣けたのに、普段の生活では案外平気。

「もう大丈夫かも」と思い始めた矢先─

 

夫が好きだった缶コーヒーが目に入る。

テレビから、二人で観た旅番組の再放送が流れてくる。

クローゼットを開けたら、まだあの人の匂いが残っていた。

 

日常の何気ない場面に仕掛けられた、記憶。

踏んだ瞬間、感情が一気に噴き出す。

 

これを、専門的には「悲嘆の再燃」あるいは「記念日反応」の一種と呼びます。

命日や誕生日といった特定の日だけでなく、季節の匂い、食べ物、音楽─五感に紐づいた記憶が、不意にスイッチを押してしまうのです。

 

 

ベル53歳の男性が、味噌売り場で立ち尽くした日

 

在宅で奥様を看取った、53歳の男性の話です。

 

奥様が亡くなって二か月。

少しずつ自炊を始めようと、近所のスーパーに行った。

 

味噌売り場の前で、動けなくなりました。

「妻がいつも買っていた味噌がどれか、わからない。」

 

30年あまりの結婚生活で、味噌を自分で選んだことが一度もなかった。

その事実に気づいた瞬間、彼の目から涙が流れました。

 

「味噌の銘柄がわからないだけなのに、なんでこんなに悲しいんだろう。」

 

彼が泣いたのは、味噌のことではありません。

「日常の隅々にまで、妻がいたのだ」という事実に、身体で気づいたのです。

 

 

ベル その涙は、温かい

 

不意打ちの悲しみ。

 

その涙は…

 

大根を見て泣くのは、大根料理が好きな大切な人と一緒に生きた日々があったから。


味噌の銘柄がわからなくて泣くのは、それを選んでくれる人がいた日常があったから。

 

その涙は、愛の記憶が身体を通って流れ出たものです。


 

だから─スーパーで泣いてもいい。

電車で泣いてもいい。

洗濯物を干しながら泣いてもいい。

 

 

 

ベル不意打ちは少しずつ、「不意打ち」でなくなる

 

最初は、まったく予測できません。

何が引き金になるかわからない。

 

でも、繰り返すうちに、少しずつパターンが見えてきます。

 

「ああ、この曲を聴くとくるんだな。」

「この季節は、ちょっときついな。」

 

そうやって自分の中の「想いマップ」ができてくると、

不意打ちは徐々に「予測可能な波」に変わっていきます。

 

波が来るとわかっていれば、

「今日はちょっと無理しない日にしよう。」と

自分を守ることができる。

 

自分自身を大切にする、賢い選択です。

 

 

 今日の問いかけチューリップオレンジ

 

あなたにとっての「不意打ち」は、どんな場面ですか?

 

 

 

 

米中京子(KYOKO) 看護師歴35年/在宅緩和ケア 

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「乗り越えられた?」

 

大切な人を亡くしてしばらくすると、

周囲からこんな言葉をかけられることがあります。

 

乗り越える。

克服する。

区切りをつける。

 

─そんなこと、できるのでしょうか。

本当に、そうしなければいけないのでしょうか。

 

 

 

ベル悲しみは消えない。でも、形は変わる

長い間の看護師人生の中で、

その後のご家族の歩みも見させていただきました。

 

そこで感じたことがあります。

 

悲しみは、消えないな。

でも、形が変わっていくな。

 

最初の頃、悲しみは鋭利なガラスの破片のように感じました。

ふとした瞬間に手を切り、血が出る。

痛くて、触れるのが怖い。

 

それが少しずつ─三か月、半年、一年─

角が丸くなり、やがて小さな石のようになっていく。

なくなるのではありません。ポケットの中に入るくらいの大きさになる。

 

ときどきポケットに手を入れて、その石に触れる。

「ああ、あの人のことを想っているな。」と感じる。

それは痛みではなく、温かさに変わっている。

 

 

ベルあるご家族が教えてくれたこと

 

ご主人を食道がんで亡くされた、当時48歳の女性がいました。

看取りの一年後、こんな話をしてくださいました。

 

「最初は息をするのも痛かった。

でも最近ね、夫の好きだった曲をラジオで聴いても、

泣くんじゃなくて、微笑めるようになったんです。

悲しみがなくなったわけじゃないんだけど、

一緒に歩いてくれてる感じがするの。」

 

彼女は悲しみを「乗り越えた」のではありません。

悲しみと「共にある」生き方を見つけたのです。

 

 

 ベル「乗り越えなきゃ」は、自分を追い詰める

 

周囲の「もう大丈夫?」「前を向いて」という言葉は、

善意から出ているものです。

 

でも、その言葉が「早く立ち直らなければ」というプレッシャーになることもある。

 

かつてのグリーフケアの考え方では、悲しみには「段階」があり、

最終的に「受容」に至るとされていました。

いわゆるキューブラー・ロスの五段階モデルです。

 

しかし近年の研究では、この「段階を経て乗り越える」という考え方は修正されつつあります。悲嘆の研究者である坂口幸弘氏も著書の中で、悲しみのプロセスは直線的に進むものではなく、行きつ戻りつしながら、故人との新しい関係を築いていくものだと述べています。

 

「乗り越えなきゃ」と思うたびに、あなたは自分自身を追い詰めてしまうのかもしれません。

立ち止まっていい。後戻りしてもいい。

あなたのペースで、あなたの道を歩いてください。

 

 

ベル ポケットの中の小石を握って

 

悲しみは、敵ではありません。

あなたがその人を深く愛した証です。

 

その証を消す必要はない。

ポケットに入れて、一緒に歩いていけばいい。

 

鋭利なガラスが丸い石になるまでの時間は、人それぞれです。

でも、必ず、その日は訪れます。

 

その石を握ったとき、あなたはきっと、

「痛い」ではなく「温かい」と感じるはずです。

 

 

 

 今日の問いかけチューリップオレンジ

 

あなたのポケットの中にある「小石」は、どんな形をしていますか?

 

 

 

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スマートフォンの画面に、友人からのメッセージが光っています。

 

「最近どう?元気にしてる?」

 

悪気がないのはわかっている。

心配してくれているのも、わかっている。

 

──なのに、指が動かない。

 

既読をつけるのも怖い。

「大丈夫」と嘘をつく元気もない。

かといって正直に話す気力もない。

 

そんな自分に、また罪悪感を感じてしまう。

 

 

 

ベル返信できない気持ち

 

大切な人を失ったあと、外の世界との接点がすべて「重荷」に感じる時期があります。

 

これは、心が緊急モードに入っている状態です。

 

身体でたとえるなら、大きな手術のあとにICUで安静にしているようなもの。

面会に来てくれる友人の顔を見る余裕すらない──そんな時期に、

「元気?」と聞かれても、答えようがないのは当然です。

 

ある40代の女性は、母親を看取った直後にこう話してくれました。

「友達からのLINEが20件以上たまっていて、見るだけで息が苦しくなった。優しさがこんなに重いなんて思わなかった。」

 

 

 

ベル既読スルーは「拒絶」ではなく「保護」

 

既読スルーを「失礼」だと感じてしまう方は多いでしょう。

でも、考えてみてください。

 

あなたは今、心のエネルギーがほとんど空の状態です。

残りわずかなエネルギーで、自分自身を生かすことに精一杯。

 

そんなとき、外部からの刺激を遮断するのは、心の「防衛反応」です。

身体が発熱したときに布団にくるまるように、心も殻にこもることで自分を守ろうとしています。

 

坂口幸弘氏の研究によれば、死別後の行動的反応には「社会的引きこもり」が含まれ、人との交流を避ける行動は正常な悲嘆のプロセスとして位置づけられています。

 

だから──既読スルーでいい。

返信しなくていい。

今のあなたに必要なのは、「つながること」ではなく「守ること」です。

 

 

ベルそれでも、扉はいつか開きます

 

今は殻にこもっていても、それが永遠に続くわけではありません。

 

ある日ふと、コンビニのレジで「ありがとうございます」と言えた。

ある日ふと、テレビの音が耳障りでなくなった。

ある日ふと、友人のメッセージに「ありがとう」とだけ返せた。

 

そのタイミングは、人によってまったく違います。

一週間かもしれない。三か月かもしれない。もっとかかるかもしれない。

 

大切なのは、自分のペースを誰かと比べないこと。

そして、殻にこもっている自分を責めないこと。

 

もしこのブログを読んでいるあなたが、大切な人を亡くした友人にメッセージを送る立場なら──「返信はいらないからね」の一言を添えてみてください。その一言が、相手の心をそっとあたたかくしてくれることがあります。

 

 

 今日の問いかけチューリップオレンジ

 「返信できなかった経験」、ありますか?

それは、あなたの心が自分を守ろうとしていた証拠かもしれません。

あなたならではでいいんです。

 

 

 

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大切な人を看取ったあと、あるいは長い闘病を見守りながら──

「なんで自分は泣けないんだろう。」

そう思ったことはありませんか。

 

涙が出ないことへの焦り。

悲しいはずなのに、どこかぼんやりしている自分。

そしてふと浮かんでしまう、「少しホッとした」という感覚。

 

その瞬間、胸がギュッと締め付けられたかもしれません。

「こんなこと思う私は、冷たい人間なのか」と…。

 

ベル泣けない自分を責めていませんか

 

35年の看護師人生で、多くの方々の旅立ちに立ち会ってきました。

そのご家族の表情は、実にさまざまです。

 

号泣される方。

静かに手を握り続ける方。

「頑張ったね。やっと楽になれたね」と微笑む方。

 

ある50代の女性は、ご主人が息を引き取った直後、こうおっしゃいました。

「私、なんだかホッとしちゃったんです。こんなこと言ったら怒られますよね。」

 

怒る人なんて、どこにもいません。

 

長い介護の日々で、あなたの心も身体も限界に近かった。

「ホッとした」は、あなたが冷たいのではなく、あなたがそれだけ全力で向き合ってきた証拠です。

 

 

 

ベル「矛盾」は、愛の別名です

 

悲しみだけが、愛の証拠ではありません。

 

「もっとできたことがあったんじゃないか。」という後悔と、

「もう十分やった。」という安堵。

「いなくなって寂しい。」という喪失感と、

「あの苦しそうな姿を見なくて済む。」という正直な気持ち。

 

この矛盾した感情が、同時にひとりの人間の中に存在する。

 

 

悲嘆学の研究者である坂口幸弘氏は、死別後に人が経験する反応として「感情的反応」「認知的反応」「行動的反応」「身体的反応」の4つを挙げています。そのうち感情的反応には、悲しみや怒りだけでなく、「安堵感」や「罪悪感」も含まれるとされています。

 

つまり、あなたが感じている矛盾は、誰でも心の中に持ち合わせている感情なのです。

 

 

ベル声に出してほしい言葉がある

 

 

「悲しいですね。」

──この声かけが、かえってつらいことがあります。

 

本当は、こう聞いてほしかったのではないですか。

 

「ホッとしてしまった自分に、罪悪感を感じていませんか?」

「故人に怒りを感じている自分がいることもあります。」

「泣けなくてもいい。泣かない悲しみだってあります。」

 

蓋をしている感情に名前をつけてあげること。

それだけで、胸のつかえが少しだけ緩むことがあります。

 

 

ベルあなたの感情は、あなただけのもの

 

「こう感じるべき」なんてルールは、存在しません。

 

みんな違って、それでいい。

 

怒りも。

安堵も。

空虚も。

罪悪感も。

 

すべてが、あなたがその人を大切に思ってきた時間の結晶です。

 

どうか、自分の感情を「間違っている」と裁かないでください。

涙の手前にある言葉を、誰かに──あるいは自分自身に──話してみてください。

 

その一言が、あなた自身を少しだけ楽にしてくれるはずです。

 

 

 今日の問いかけチューリップオレンジ

 あなたの中にある「言葉にできなかった感情」は、何ですか?

 

 

 

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この1ヶ月、「看取り」テーマについて、一緒に考えてきました。

 

終末期のケア、スピリチュアルペイン、エンゼルケア、グリーフケア…。

 

正直、読んでいて苦しくなった方もいらっしゃるかもしれません。

 

でも、最後までお付き合いくださって、本当にありがとうございます。

 

 

📌「死」という言葉を聞くと、どんなイメージが浮かびますか?

暗い。怖い。悲しい。できれば考えたくない。

そう感じる方が多いのではないでしょうか。

 

 

35年間、1,200人以上の方々に関わってきて、今は少し違う感覚を持っています。

 

その人が生きてきた物語の最終章とも言える「死」は、終わりではないんです。

 

 

どんな人生を歩んできたか。

誰を愛し、誰に愛されたか。

何を大切にしてきたか。

そうした「物語」が、最期の時に凝縮されて表れます。

 

 

在宅で看取った方々の表情を、今でも鮮明に覚えています。

長年連れ添った奥様の手を握りながら、静かに息を引き取った方。

孫の名前を呼びながら、微笑みを浮かべた方。

「ありがとう」という言葉を最後に残した方。

 

 

そして、残された家族の表情も。

「最期まで一緒にいられてよかった。」

「本人が望んだ形で送れてよかった。」

そうおっしゃる方の顔には、悲しみの中にも、どこか穏やかな光がありました。

 

 

 

「どう生きるか」と「どう最期を迎えるか」は、実は同じ問いなのかもしれません。

 

 

 

自分はどんな人生を送りたいのか。

誰と一緒にいたいのか。

何を大切にしたいのか。

 

 

それを考えることは、「死」を考えることでもあり、「生」を考えることでもあります。

 

 

 

この1ヶ月、重いテーマにお付き合いいただきました。

もし、これをきっかけに、ご自身の「最期」について少しでも考えていただけたなら、嬉しく思います。

 

そして、大切な人とそのことを話し合う機会を持っていただけたなら、もっと嬉しく思います。

 

 

 

今日の最後に、繰り返し一つだけお伝えしたいことがあります。

「死」を考えることは、「今をどう生きるか」を考えることです。

 

限りある時間だからこそ、大切な人との時間を慈しみ、自分らしく生きる。

「いつか来る最期」を見据えることで、「今」がもっと輝く。

そう信じています。

 

 

 

皆さんの物語が、穏やかに紡がれることを願って。

 

 

 

 

 

 今日の問いかけチューリップオレンジ

 「いつか来る最期の時」を考えることは「今を生きる」話となると思いますか?

 

 

 

 

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深夜2時。

目が覚める。 天井を見つめながら、頭の中をぐるぐると回るのは、あのときの場面。

 

「もっと優しくできたはず。」

 「あの日、ああ言えばよかった。」

 「なぜ、あんなことをしてしまったんだろう。」

 

後悔という名の夜は、長いです。

 

 

 

■「あの言葉」が消えない

2020年、51歳の女性Eさん。

お母様を在宅で看取られてから2か月が経った頃のことです。

 

「母が亡くなる3日前、私、怒鳴ってしまったんです。介護に疲れて、つい。『うるさい!』って。」

 

Eさんの目には、涙がたまっていました。

 

「その言葉が、最後の会話になってしまった。謝ることもできないまま、母は逝ってしまった。」

 

 

 

■完璧な介護とは?

私は35年間、1,200件を超える看取りに関わってきました。

 

そこで、感じてきたのはちゃんとした介護などとは、定義する意味がないのではないかということ。

怒ったことがない人はいない。 

イライラしたことがない人はいない。 

「もう嫌だ」と思ったことがない人はいない。

それは、真剣に向き合っていた証拠です。

どうでもいいと思っていたら、怒りすら湧かないのですから。

 

 

 

■後悔は「手放す」のではなく「一緒に歩く」

Eさんに、こうお伝えしました。

 

「後悔を消そうとしなくていいんです。無理に忘れようとしなくていい。その後悔も含めて、お母様との関係だったんです。」

 

後悔は、なくなりません。

でも、抱え方は変わっていきます。

最初は胸を締め付けるような痛みでも、時間とともに、静かに同居できるようになる。

 

 

 

 

■お母様は、あなたを恨んでいない

私が出会った多くの患者さんは、家族に感謝していました。

「うちの子は本当によくやってくれた。」 「迷惑をかけて申し訳ない。」 「ありがとう。」

Eさんのお母様も、きっとそう思っていたはずです。

最後の言葉が「うるさい」だったとしても、その前にあった何千、何万という言葉。朝の「おはよう」、夜の「おやすみ」、「ごはんできたよ」、「ここに居るよ。」

そのすべてが、お母様の心に届いていたはずです。

 

 

 

■Eさんのその後

半年後、Eさんは仏壇の前で毎晩語りかけるようになったそうです。

「お母さん、今日は仕事で疲れたよ。」 

「あのとき怒ってごめんね。でも、大変だったんだよ。」 

「今日の晩ごはん、おいしかったよ。」

 

「謝れなかった」という後悔は、「今から謝る」ことで、振り返り、大切な思いを伝えることに繋がっています。。

 

 

 

■眠れない夜に、一つだけ

後悔で眠れない夜は、一つだけ試してみてください。

 

「私は、できる限りのことをした。」

 

この言葉を、声に出して言ってみてください。

最初は信じられなくても構いません。

でも、繰り返すうちに、少しずつ心に染み込んでいきます。

 

 

 

 今日の問いかけチューリップオレンジ

 あなたは、あなたに、どんな言葉をかけますか?

 

 

 

 

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「大丈夫?」

久しぶりに会った友人から、そう声をかけられたとき。

 

 職場の同僚から、心配そうな目で見られたとき。

 

 親戚から電話で「元気にしてる?」と聞かれたとき。

 

つい「大丈夫です」と答えてしまう。 

 

でも本当は、全然大丈夫じゃない。

そのギャップに、かえって孤独を感じていませんか。

 

 

■善意が、なぜか苦しいときがある

2020年の春、48歳の男性Cさん。

お父様を在宅で看取られてから1か月が経った頃のことでした。

 

「会社の人たちは、みんな親切なんです。『大丈夫?無理しないでね』って言ってくれる。でも、その言葉を聞くたびに、なんだか追い詰められる気がして。」

 

Cさんは、困ったように笑っていました。

 

周囲の人は、心から心配してくれている。

それは頭ではわかっている。

でも「大丈夫」と答えるしかない自分。

本当のことを話したら、どうなるかわからない。

 

仕事中に泣き出してしまうかもしれない。

そんな恐れが、Cさんの胸にあったのです。

 

 

■「大丈夫」は、魔法の言葉じゃない

私たちは、「大丈夫?」と聞かれたとき、反射的に「大丈夫」と答えてしまいがちです。

でも、その「大丈夫」は、本当の気持ちを押し込めてしまう蓋になることがある。

 

長い間、たくさんのご家族を見てきて、私が感じたことがあります。

 

それは、「大丈夫じゃない」と言える場所を持っている人は、回復が早いということ。

誰か一人でもいい。

 

「実は、つらいんです。」と言える相手がいるかどうか。

 

 

 

■「大丈夫じゃない」の伝え方

とはいえ、「つらいです」と口にするのは、簡単なことではありませんよね。

 

Cさんには、こんな方法をお伝えしました。

「大丈夫じゃないです。」と言わなくてもいい。 

 

「ちょっと、まだ気持ちの整理がつかなくて。」 

「少し時間がかかりそうです。」 

「心配してくれてありがとう。でも、今はあまり話したくなくて。」

 

こんな言葉でも、相手には伝わります。

 

大切なのは、「大丈夫です」と、自分を追い詰めないこと。

 

 

■励ましの言葉が、しんどいとき

「時間が解決するよ。」 

「お父さんも天国で喜んでるよ。」 

「早く元気になってね。」

 

こうした言葉は、言う側に悪気はありません。

でも、言われた側にとっては、時に重荷になることがあります。

 

もし、そうした言葉がつらいなら、距離を置いていいのです。

電話に出なくていい。

会わなくていい。

今は自分を守ることが最優先です。

 

 

 

■Cさんのその後

Cさんは、葬儀後に知り合った同じ境遇の方と、月に一度、オンラインで話をするようになったそうです。

 

「同じ経験をした人と話すと、『大丈夫?』と聞かれても、違う意味に聞こえるんです。『俺も大丈夫じゃないよ』っていう前提があるから。」

 

そう笑うCさんの表情は、以前より穏やかでした。

 

 

 今日の問いかけチューリップオレンジ

 自分を大切にする時間を持ちませんか?

 

 

 

 

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不安が増えるとき

介護中って、予定が勝手に埋まります。


薬、受診、食事、排泄、連絡、役所、職場。


1日が「やること」でぎゅうぎゅう。

 


旅立ちのあと、
頭の中で、始まる反省会。


「あの時こう言えばよかった。」
「もっとできたはず。」
「私だけ、楽していいの?」


心って本当に器用に自分を責めますよね。

困った生き物です。

 

 

しくじり談:励ましが、刃になるとき

以前、私は、遺されたご家族に「これからは自分の時間ですね。」と、言ってしまったことがあります。


良かれと思って。最悪のやつです。

 

その方は一瞬だけ笑って、すぐ目線を落として言いました。


「時間はあるけど…あの人がいないのに意味あるのかわからない。」

その言葉で、背中が冷たくなりました。


“自由な時間”は、回復のご褒美じゃない。喪失の影が色濃く見える時間でもある。


それ以来、私は“前向き”を急かさないと決めました。

 

 

涙が止まらない日

感情の話をしつつ、ちゃんと実務も置いていきます。


寂しさが強い日は、次の3つだけでいいです。

 

①朝のルーティンを「小さく固定」する
例:起きたら白湯、カーテンを開ける、ベランダで深呼吸。
たった3分でOK。
人は“型”があると崩れにくいです。

 

②「やらないことリスト」を書く
・大きな片づけを一気にやらない
・全員にお礼連絡を今日中にしない
・SNSで他人の立派さを見に行かない
これ、効きます。じわっと効きます。

 

③「眠れない」を放置しない
寝不足は感情を増幅します。
不眠が続くなら、かかりつけ医に相談してOK。気合では、なかなか乗り越えられません。

 

 

“寂しさ”の正体

介護って、時間だけじゃなく「自分の役割」を預けていた期間でもあります。


だから、
役割をやりとげて、愛情の行き先が一時的に迷子になる。


それが“寂しさ”の正体だと私は思っています。

 

厚生労働省の資料でも、人生の最終段階のケアは死別後のグリーフケアまで連続した支援だと整理されています。


つまり、あなたの混乱は、連続の途中なんです。

 

 

今日の提案:“予定”を入れ込まない  

明日も、明後日も、空白があっていい。


あなたの身体と心が、長い緊張から戻るためのスペースです。

 

もし今日、できるなら。
スマホのメモに一行だけ書いてください。


「私は、よくやってきた。」


声に出せなくてもいいです。文字でいい。


人間は文字にすると、少しだけ現実にできますから。 

 

 

 

 今日の問いかけチューリップオレンジ

いま胸に残っている一言を、よかったら言葉にしてみてくださいね。

 

 

 

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食欲がない。

夜中に何度も目が覚める。

体が鉛のように重い。

 

大切な人を亡くした後、こんな症状に悩まされていませんか?

 自分を責めていませんか?


これは、あなたの心が体を通して発している、大切なメッセージなのです。


 

【心と体は、切り離せない】

 

いままで、訪問看護師として多くの方々のケアをさせていただきました。

お看取りの後、奥様が「主人の好きだった煮物を作ろうとしたら、涙が止まらなくて。」と話してくださったことがあります。60代の女性でした。

 

その方は、ご主人を亡くされてから3週間、ほとんど固形物を口にできなかったそうです。

 

 

日本看護科学学会の定義によると、悲嘆とは「心理的、身体的、社会的および行動上の自然な反応」とされています。睡眠パターンの変化、活動レベルの変調は、ごく自然なことなのです。


 

【体に現れる悲しみのサイン】

 

悲しみは、さまざまな形で体に現れます。

 

食欲がない、または過食になる。眠れない、逆に眠りすぎる。頭痛やめまい、倦怠感。動悸がする。

 

哲学者のアルフォンス・デーケン氏は、悲嘆のプロセスを12段階に分類しました。その中で、体の不調は初期に顕著に現れるとしています。

 


 

【無理をしないための3つのヒント】

 

私が訪問の中で、多くの方にお伝えしてきたことをお話しします。

 

1つ目。「食べられるものを、食べられる量だけ。」

 

ある80代の男性は、奥様を亡くされた後、「梅干しとお茶漬けしか食べられない。」とおっしゃいました。

今は、体が受け付けるものを、少量ずつ。それで十分なのです。

 

2つ目。「眠れなくても、横になる」

 

無理に眠ろうとすると、かえって焦ってしまいます。横になって目を閉じているだけでも、体は休まります。

 

3つ目。「症状が2週間以上続いたら、専門家に相談を」

 

これは大切なポイントです。心療内科や精神科への受診を検討してみましょう、


 

【最後に】

 

悲しみは、愛した証です。

 

体が悲鳴を上げているということは、それだけ深く愛していたということ。

 

今は、心と体を休ませる時期なのでは、ないでしょうか。

 

周りの人に「つらい」と言ってもいいのです。

 

あなたの悲しみを、大切にしていきましょう。

 

 

 

 今日の問いかけチューリップオレンジ

あなたは、あなた自身の一番の味方ですか?

 

 

 

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ふと目が覚める。 

カーテンの隙間から差し込む朝日。

静かな部屋。昨日までの喧騒が嘘のように、しんと静まり返っている。

 

そのとき、胸の奥にぽっかりと穴が空いたような感覚になられた方はいらっしゃいませんか。

 



 

■「解放されたはずなのに、涙が止まらない」

2019年、62歳の女性Aさんを訪問したときのことです。

ご主人を在宅で看取って3週間。「もう泣かないって決めたのに。」と、Aさんは何度もタオルで目元を拭っていました。

 

8年間、認知症を患ったご主人を介護してこられたAさん。

最後の2年間は、ほぼ24時間体制でした。ご主人が旅立たれた直後は、正直にいうと「これでやっと眠れる」という安堵感があったそうです。

 

ところが1週間も経つと、朝起きても何をしていいかわからなくなった。

食事の支度も、なんだか意味がないように思えてきた。テレビをつけても、音がただ流れていくだけ。

 


 

 

 

■「介護ロス症候群」

介護をしていた方が亡くなった後、その喪失感から抜け出せずに心身のバランスを崩してしまう状態のことです。

 

燃え尽き症候群(バーンアウト)の延長線上にあるともいわれています。

大切な人を支えたいという使命感で走り続けてきた方ほど、その使命を失ったときに「自分は何者なのか」がわからなくなることがある。

 

真剣に向き合った証拠です。

 手を抜かなかった証拠です。 

 

 

 

■焦らなくていい、その「静かな時間」を

グリーフケアの研究で知られる関西学院大学の坂口幸弘教授は、死別後の悲嘆には段階があると説明しています。

 

最初に訪れる「ショック期」、その後の「喪失期」、そして「閉じこもり期」を経て、少しずつ「再生期」へ向かっていく。

 

大切なのは、この流れを無理に早めようとしないことです。

 

Aさんに 

「今は、静かに過ごしてください。心が回復するために必要な時間なんです。」

 

3か月後、Aさんから連絡がありました。

「最近、お花を買うようになりました。夫が好きだったガーベラを。」と。

 

小さな一歩でした。でも確かに、Aさんは歩き始めていました。

 

 

■あなたがもし、今…

目が覚めても、布団から出られなくても、それでいいです。

 ごはんを作る気力がなくて、コンビニのおにぎりでも、それでいいです。

 テレビを見ても、何も頭に入らなくても、それでいいです。

 

ただ、ひとつだけ。 窓を開けて、外の空気を吸ってみてください。

 

 たった30秒で、構いません。

 

それだけで、あなたの一日は始まっています。

 


 

 

 今日の問いかけチューリップオレンジ

 あなたの好きな…あるいは、大切な方が好きだったお茶を淹れてみませんか?

 

 

 

 

米中京子(KYOKO) 看護師歴35年/在宅緩和ケア 

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