辻調理師専門学校の中興の祖、辻静雄さんの本を非常に興味深く読ませていただきました。
海外に来ての楽しみは読みだしたら止まらない、(私にとって)とても面白い本をホテル
の部屋にこもってひたすら読むことです。今回もラスベガスに行くためにサンノゼを経由
したのですが、初日のホテルで夜中1時半に目が覚めそこからぶっ通しで読んで朝8時くらい
に読了しました。

新聞記者だった辻さんが、奥様のお父様がされていた学校を引き継ぐために記者をやめる
ところから話は始まります。和食専門の岳父とは別路線で西洋料理を教えたい、ただ食に
関する知識も経験もない。日本中の西洋料理を食べ歩くが偽物ばかり、本を読んでもピンと
こない。有名なレストランから先生をしてシェフに来てもらっても肝心なところは企業秘密
とばかりに生徒に教えてくれない。

仕方がないから海外に直接行くことを決めるところから辻さんのオリジナルが始まります。
相当な金を出してもらって食い倒れの旅に出ても仕事につながるかどうか分からない、自分
の身体を犠牲にして食べ続け、最後には肝臓を悪くされて他界される、フランス、アメリカ、
世界中に友人ができ料理関係の洋書蔵書数は博物館級、フランスからも名誉ある賞を数々
受賞される。

非常に参考になり、読みながら2回泣きました。
私自身の努力の足りなさ、仕事への熱意の弱さを改めて認識させられました。
間違いなく名著、ご興味ある方は是非。「美味礼賛 海老沢泰久著」