先日、伊豆の温泉に行く機会がありました。

 

3回目の伊豆でした。1度目は伊東駅で下車、2度目は伊豆高原駅で下車、今回は伊豆稲取駅で下車となったので徐々に南下しています。どちらの宿も工夫されていて、宿泊の際はできるだけ朝食のみついているプランを選びますが、駅から離れているいわゆる旅館宿泊の場合は夜の食事も込みのプラン(しか選べない)をお願いしています。

 

こういう場合、その旅館がどう差別化しているか、楠木先生が言うところのStrategic Positioning を取っているかという点を見るようにしています。よくあるパターンが、建物の一部を改装(数部屋を露天風呂付きにする、もしくは全客が使える貸し切り可能な屋上露天風呂をつくることによって宿のランク(?)を上げ客単価を高く設定するという方法だと思われます。間接照明、部屋のトイレをウォッシュレット(人を感知すると蓋が自動で開くタイプ)に変更、ベッドはセミダブルをくっつけてかなり大きめのサイズにする、落ち着いた色の低めのソファー、等々。ただ、このアプローチは部屋にいる間はいいのですが、ひとたび部屋を出ると仕組みのもろさがすぐに露呈します。例えば夕食。一般のプランの方と同じ場所で食事となるため、食堂の前でかなり待たないといけない、朝食はバイキングで朝一は混むと言われ時間をずらして行ったところ終了時間30分前にも関わらず食事の片付けが始まってしまっている等々、、

 

おそらく銀行から融資を受け、デザイナーかどなたかに頼んで設計してもらって特別な部屋をつくった投資の回収をしないといけないので、料金はもちろん特別に設定しないといけなくなるのでしょう。そのため、価格設定に見合うように取られるこれまたよくあるパターンが「豪華な食材」が使われるパターン。この日も、夕食に伊勢海老、アワビ、サザエ、そして地元の名産という金目鯛をいただきました。ただ、伊勢海老とサザエは切り置きのため乾いた状態で出され、アワビは殻付きで蒸すため切りにくい。ただ文句を言ってるわけではなく、旅館というか食事付きの宿泊施設の運営、さらに規模が大きい場合にはかなり難しいと思うんです。だから、どの客層を取りに行くか、他の○○さんとこの旅館も最近リノベやってうまくいってるらしいわよ、というようなうわさ話に惑わされないことが大切なのではないかな、と。

 

また、歴史ある宿に多いようですが、時間の主導権は先方が握りたいようで夕食の時間変更は不可、帰りの際の手続きもあれ?という点が。最近、出張の際や個人的な旅行ではドーミーインに泊まっています。部屋はせまいですがほとんどのホテルで天然温泉あり、朝食は私にとってはマンダリンオリエンタルやシャングリラよりも満足度は高いです。パレスホテルの焼きたてパンは相当おいしかったですが、ドーミーインの地産地消の食材は本当にすごいですよ。三島、金沢、網走、福岡、、、他にも泊まっています。価格は皆さんご存知の超高コスパ。

 

旅館って本当に大変だと思います。ただ、戦略的なポジションを取らないとどんぐりの背比べになる、ということを痛感し、自分の商売にもいかにその視点で切り込むか、ちょっと種類が多い、ちょっと色の設定が多い、ちょっと在庫が多い、ちょっとメーカーが多いというほとんどのお客様にとってどーでもいいところで勝負しようとしていないか、と。他の会社はできない、何を、どういう価値を提供することを目指しているのか、そもそももともと何のために仕事をしているのか、ということをしっかり考えないといけないと思いながら、帰りの踊り子号では坂本キャプテンの掛け声から19時間程遅れてしまいましたが酒を浴び、すぐに寝落ちしてしまいました。。