キャラメルの木
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あなたはもう。

あなたはもう気付いていると思うけど、このままあなたを愛していくのが正しい事なのか不安になる時がある。
一年前の私だったら、愛することに正しさなんて必要ないって言うだろう。

でも今は。

いつか

いつか、って言葉はすごく曖昧だ。

いつか、なんてずっとやって来ないんじゃないかって思う。

いつか、って言葉はそれでも私を救う。

いつか、を私は信じているからだと思う。


いつか、私はあなたと過ごした時間を、幸せな気分で思い出せるようになるだろう。

いつか、絶対。

「カルピスソーダ」

 あたしは、毎日社食でカルピスソーダを飲む。

カルピスには、ソーダだと思う。ソーダーじゃなくて。


社食の食券は、新札が使えない。

ある日、あたしは旧札の持ち合わせがなくて、お金を崩すために自動販売機でジュースを買った。

いつもは、タダで飲めるお茶を飲んでいたのに。


あのとき、どうしてあたしはカルピスソーダを選んだのか、自分でもよく分からない。

カルピスは、特に好きな飲み物・・・というわけではないのに。


でも、それから、どうしてか「ランチにはカルピスソーダ」とあたしの中で決まってしまった。

カルピスソーダがないランチは、ちっともランチじゃない。あたしにとって。


このあいだ、さとると一緒にラーメン屋に行った。

味噌ラーメンの専門店だ。

人気な店だけれど、ビジネス街であること(さとるのアパートはビジネス街の中にある。だから週末はひっそりと寂しくてあたしは気に入っている)と、お昼の時間をかなり過ぎていることとで店はかなり空いていた。

あたしは辛味噌ラーメンを、さとるは八丁味噌ラーメンを頼んだ。


それから、メニューを見てさとるは半ライスと餃子を追加した。

あたしは、追加するつもりはなかったけれど、さとるが見ているメニューをのぞき込んだとき、「カルピスソーダ」の文字が見えたのでそれを頼んだ。

さとるはびっくりしていた。

あたしは、食事の時滅多に甘いジュースを飲まないから。


辛味噌ラーメンとカルピスラーメンで、あたしは「ランチ」を堪能した。


さとるにとって、あたしはカルピスソーダみたいな存在だったらいいと思う。

あたしの事がタイプじゃなくたって、どうしてあたしを選んだんだろう、ってたまに思ったとしても、でもあたしがいないと何か物足りない、あれば満たされる、そんなふうに思ってくれていたらいいと思う。


辛いラーメンとカルピスソーダの相性は、すごくいいと思う。

にじ

今日、虹を見た。
虹は七色、と言われているけれど、あたしはいつも三色位しか確認できない。
バスの窓からみた虹は綺麗な半円だった。
でも、あたしがバスから降りた時には虹は跡形もなく消えていた。
まるで、そんなものなかったみたいに。
一瞬の虹に一体どれくらいの人が気付いたんだろう。
小さな小さな、奇跡に。

たいらかなこころ。

私はたぶん優しい人間ではない。

誰にでも平等に優しくするってすごく難しい。


ただ、たいらかな心は持ちたいと思う。


うまく人に優しくできなくても、人の事を許す人間ではいたいと思う。

「チャイの時間」

あたしと幼なじみはもう18年も一緒にいる。

四歳の時に出会って、二人とも22歳だ。

かつては、毎日一緒にいた。

お互いの家で絵を書いたり、本を読んだり、好きな男の子の話をしたりした。

お揃いのワンピースを着て、一輪車に乗って、段ボールの中で子猫を飼った。

そして、「チャイの時間」には手を繋いで家に帰った。


チャイの時間。

二人だけにしか通じないいいまわしで、おやつの時間の事だ。

一緒に見た映画か、一緒に読んだ本の影響だと思う。

実際、あの頃の私たちは、「チャイ」という飲み物を飲んだ事がなかった。


「倦んでいる」

と私の幼なじみは言った。

「あたしも」

あたしは言った。


映画を見た後(映画は単館もので、あたしたちは二人ともその映画が気に入った)、ティールームに入ってお茶を飲んだ。


「別れようかな」

「辞めちゃおうかな」

あたしたちは同時にそう言った。

くすり、と笑ってお互いにひとくちチャイを飲む。

チャイは小さなカフェオレボウルに注がれていて、ポットにもまだ充分残っていた。


チャイの時間。

あたしは、随分遠いところまで来たなぁ、と思った。

手帳には、彼と撮った写真の他に、あたしたちのお揃いのワンピースを着て笑っている写真が入っている。

ワンピースはオレンジで、あたしたちはまだ子供だ。

今、あたしたちは、ティールームで数ある種類のお茶の中からチャイを選んで、別れたい男と、辞めたい仕事の話しをしているのだ。


それでも、あたしたちはきっと別れないし、辞めもしない。

チャイの時間がある限りは、だいたいの事は乗り越えられる気がする。

あたしは、幼なじみの事がすごく好きだと思う。

Where you are

Where you are.

Where I am.

Where we are.


近くて遠い場所

春の暑い日、つまり今日みたいな日は決まってオーストラリアを思い出す。
オーストラリア。
もう五年も前に一年だけ暮らした事がある国。鋭い日差し。海。英語。日本人じゃない人たち。
確かに私はそこで、家族を作り、友達を作り、ご飯を食べて、眠った。
ある年の12月15日、私は飛行機に乗って日本に帰ってきた。ほんとうの家族、ほんとうの友達、なれ親しんだご飯、自分のベッドがある日本。
オーストラリアでの事が実は偽物だった、と思っているわけではなくて、あれは夢の中の出来事だったような気がする。夢から覚め、目覚めると夢からどんどん距離ができる。現実と夢には境があってもう二度と戻れない。
でも、17歳の私がまだあの街にいて、あの時のまま暮らしているような錯覚が、今日みたいな日は、する。

だいじだとおもうこと

眠ること

食べること

歩くこと

走ること

愛すること


ぐっすり眠ること

味わって食べること

ゆっくり歩くこと

全力で走ること


あなたを愛すること


チョコレートドリンク

とあるカフェで冷たいチョコレートドリンクを飲んだ。

私はチョコレートが大好きで、無人島にひとつだけ食材を持って行けるとしたら間違いなくチョコレートを選ぶ。

ココアやチョコレートドリンクも大好きなんだけれど、どうもひとくちふたくちで満足してしまう。

そもそもチョコレートもひとかけら食べれば満足、というたち。


でも、今日飲んだアイスチョコレートはいっき飲みしてしまいたいほど美味しかった。

冷たく冷やされたグラスに少量の氷。(氷が多いと溶けて薄まるのが嫌い)

チョコレートが濃いのに、甘すぎない。

夢のチョコレートドリンクでした。

ちょっと特別な日に、自分へのちょっとしたご褒美として飲みに行こうかな。

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