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桜庭一樹さんの「私の男」。

いろいろと精神的に忙しくて、読み終えてからかなり時間が経過してしまってのレビューです…。

まずはタイトルと装丁にやられます!

ストーリーからは、これこそ究極の愛だな、(私が愛についてとやかく言うのもどうよ…感は否めませんが)と率直に感じました。

いろいろと清くもないし、明るくもないし、むしろどろどろして絡まりあってもつれているんだけど、私は反愛美化派なので、むしろこのどうしようもなく、美しくもないものこそに愛を感じずにはいられませんでした。

愛と幸せが必ずしも結びつくとも思えないけど、少なくともこの物語の中の絆に餓えた2人にとっては、粘膜ごと・血液ごと交換して1つになりたいという果てしない欲求をぶつけ合う、罪や秘密を共有すること、何かに共に背くことこそが、つまり幸せだったんじゃないかと私は思います。


そんな当人同士がいくら幸せでも、それを阻んで許さないのが世間や社会なのかもね。

いまいち恋愛とか結婚をプラスに結び付けられない私ですが、むしろ自分の魂レベルの渇きを癒すなら、ままごとのような恋愛より、全部ぶつけて一緒に燃え尽きてしまえるような、そんな破滅的な恋愛に身を投じたいと思ってしまう現実感の伴わないぼちぼちアラサーのこの身です。

社会に適合しようと努力しても、こういう部分でやはり乖離してしまう。これを矯正するにはもう生まれてくるところからやり直さなくちゃいけないわ…。渇きも餓えも孤独感も、決して共有できないから、やっぱり私は恋愛ができない人だと思う。

最近、世間並の生活をし始めて突然、愛だ恋だ結婚だ妊娠だ、お前はどうなんだと選択を迫られて、余計に「私の男」について思うところも多いのでした。