PRISMIC



川上未映子さんのエッセイ集「そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります」。

現在も運営中のブログから136本のエッセイが集録されています。

彼女が芥川賞を受賞する以前の、歌手活動をしていた頃のエッセイです。

その分、何かに縛られてる感がなくて、ほんとに身近な誰かのブログを読んでいるような不思議な親近感を覚えると同時に、そこかしこに彼女の文才の片鱗が散りばめられていて、見出だされるべき才能だったのだなぁと妙に納得したのでした。

それから、あまりにも一方的かつ主観的ながら、私のもやもやとした言葉・形にならないものが見事に描き出されていて、読んでいて胸がすっとすくような気持ちにも。


私はなんだかんだと言いながら、こうやって言葉でしか救済されないのかもしれない。


川上さんは先日、NHKのトップランナーという番組にも出演されていて、彼女自身の言葉を聴くたび、読むたびにどんどん彼女の魅力が深まっていくのを感じます。


この人の言葉には嘘がない、そんな気がするのです。


私の個人的な思い入れも大いにあるのですが、川上さんの本をまだ読んだことのない方、川上さんの文体が苦手という方にもまずこのエッセイから読んでもらいたい、おすすめの一冊です。