杉田聡 『「買い物難民」をなくせ!』(中公新書ラクレ 2013年5月)
自動車を交通手段の中心にした地方都市の高校生たちと話していると、「車の運転免許を取得して大きなショッピングモールで休日の買い物を楽しみ、アルファベット三文字で表記される巨大アミューズメントパークで遊ぶために年数回東京や大阪といった大都市に出かける」というイメージを明確に持っていることに気づく。そこで彼らに一つ聞いてみる――「もし、自分で車の運転が出来なくなったら、どうする?」
カント倫理学を専門とする筆者による近著を読みながら、例えば自分の体調の悪い時に駐車場に車を止めた後で、「ショッピングセンター」や「ショッピング・モール」が「大きすぎる」という思いを持ったことのある人間なら、そういう若者たちの歓迎する〈現在〉が、少しの健康不安がある老人たちにとってはどんなに不自由なものであるか、少しは想像してみてもらいたいと考えたりしてしまう。
問題は、そのような販売の場の一元化である。筆者はこの点に明確に切り込んでいる。
ショッピング・モールなどの立地により地域の小店舗が根こそぎにされた後で始まった、各地域のNPOや自治体や町内会などの小規模であるが確かな実践が紹介される。このような主体的な協力の姿を紹介していくと、亡くなったモータリゼーション社会の急先鋒・宇沢弘文教授の視点の確かさも改めて感じる。
初めて読む筆者