昨年から始まって今年は二回目となるのですが、今回は展示面積が倍増され、「宇宙・天文」そして「環境エネルギー」に関する展示を実施。また、ただ「見せる」だけではなくて、第一線で活躍する科学者や宇宙飛行士、環境分野で活躍する企業の経営者などを招いたシンポジウムやトークショーを行ない、企業参加者などの間での交流やビジネスマッチングの場としても活用できるようになっています。
とはいえ、一般参加者にとって気になるのは、やはり展示物。ということで、いくつか紹介したいと思います。プレビューは開幕前夜に行なわれたので、まだ設営途中だったり照明も当たっていない暗い状態だったりとお見苦しい点もありますがご容赦を。
まずは一番大きな展示物、IKAROSの帆。正式には「小型ソーラー電力セイル実証機」と呼ばれる、宇宙ヨット・イカロスの帆の1枚です。太陽光発電シートや帆に受ける光量を調節するための液晶パネルなどが装着された「本番仕様」。またこの帆を巻き付けて収納する本体も展示。
こちらは、おそらく今年いちばん日本人の心を打ったであろうプロダクト、小惑星探査機MUSES-C「はやぶさ」関連の展示。衛星の1/5スケールモデルや再突入カプセルの模型などが並べられています。
JAXAはじめ公的機関ばかりでなく、さまざまな企業も出展。こちらは三菱電機のブースにあるHTVの模型。
国際航業グループは、人工衛星からの情報や太陽光発電がインフラのクリーン化にどういったメリットをもたらすか、を説明するジオラマを展示。
JAXAと東京工業大学が共同で開発を進めている月面探査車のデモンストレーション。3輪のものは形状可変3輪ローバー「Tri-Star IV」。車輪を支えるアームの軸を回転させることで、急斜面でも平行を保ったり、転倒しても自力で起き上がれるようにしたデザインです。
「近未来宇宙暮らしユニット」と名付けられたブースはJ-Space、ゴールドウイン、島精機製作所、東レというアパレル関連企業が参加。実際に使われている宇宙飛行士用の肌着や普段着の実物を展示。
宇宙からのクリーンなエネルギーを使って走る……ということで電気自動車コーナーも。おなじみ三菱i-MiEVをはじめ、日本郵政が導入を決定して話題となったゼロスポーツのゼロEVセラビューバン、これはスバル・サンバーがベースのコンバートEVです。そしてタジマモータースのEVミニスポーツ、慶應義塾大学のインホイール・モーター試験車両が並べられています。
この他にもはやぶさに搭載された各種の部品、スーパーカミオカンデで使われている装置、宇宙関連のさまざまな実験で使われているデバイス、そして各地の天文台の技術紹介などなど、大人でも楽しめる宇宙関連技術展示が盛りだくさん。知的好奇心を刺激してくれる内容になっています。科学博物館で開催されている「空と宇宙展」とあわせて訪れるのもいいかもしれません。
会場を案内してくれたJAXAの阪本成一教授は「宙博のいいところは、“人が、やっている”ということ」と語ります。さまざまな現場で研究開発を行なっているスタッフみずからが会場で説明してくれる、ということだけでなく「科学技術の進歩そのものが、多くの人たちの努力によってもたらされている」ということも実感させる言葉でした。これからも、日本発の技術が世界に貢献できるものであってほしいものですね。
宙博2010公式ホームページ:http://www.sorahaku.jp/
科学技術館:http://www.jsf.or.jp/
(文/写真:古庄速人)