メルセデスベンツW216の、予防整備を含めたメンテナンスを
ご依頼頂きました。
全体をブラックで統一されていて、
とてもセンス良くまとめらたCLです。
ご依頼頂いた内容は、
・ATF圧送交換+ATFストレーナー交換
・ABCオイル交換+フィルター交換
・エンジンマウント左右交換
・ミッションマウント交換
・エンジンオイル交換+オイルフィルター交換
・ボンネットマスコット(エンブレム)交換
・右ドアツィータ枠固定
・サスペンションダストカバー保護塗装
などです。
あと、ヘッドライトは以前に専門業者さんでブラックアウトしたそうですが、少し手直しを加えて貰うという事で取り外し、
ご指定業者さんへの送付。
今回はこんな感じの内容を、順に進めて行きます(^^)/
まずは、左右のヘッドライトは取り外して、
ご指定された工場さんへお届けです。
バンパーが無いままの作業です。
お客様が事前に購入してお持ち込み頂いた部品たちです。
ここにある以外にもまだありますが、撮り切れません(^^;
エンジンマウントの交換から進めて行きます。
写真は左側エンジンマウント。
下から覗くと見えます。
右側のエンジンマウントは、下から辛うじて見えますが、
写真には殆ど写ってくれません(^^;
右側エンジンマウントの脱着は、
ステアリングシャフトが邪魔になって出来ませんので、
シャフトをバルクヘッド辺りで切り離します。
イージーライドシステムが付いていますので、
診断機にて作動OFFにするか、もしくはもうドアを誰も開けない様に。
取り外した右側エンジンマウントの新旧比較です。
白いカバーを取り外して真っすぐに立てると、
マウントのへたりがよく分かります。
一段目と二段目が、まるで亀が首を引っ込めるかの様に
縮んでいるのが分かります。
こちらは左側のエンジンマウントです。
右側と同じ様に、一段目と二段目が特に下がっています。
バベルの塔みたいで、ちょっと神秘的。
マウントを装着です。
続いてミッションマウントです。
光を一身に受けて輝いているのがミッションマウントです。
この窓をバックにした写真が非常に分かりやすいですね!
エンジンマウントと同じ所に並べて比較します。
大きく隙間が広がる位、
マウント固定位置が下がっている事が分かります。
エンジンマウント・ミッションマウント、ともに2cm近く下がっていました。
現在の走行距離は5万キロを少し超えたところですが、
各マウントはここまで下がって来ます。
単純に、硬くすればもっと長持ちするのでしょうが、
そうすると、微細で不愉快な振動がドライバーに伝わって来ます。
メルセデスならではのゆったりとした、
包み込んでくれる様な安心感と高級感は、
こういったマウントひとつひとつから作り込まれているんでしょうね。
恐らく、絶妙な硬さを実現させているのだと思います。
このCLで、新車価格は車両本体が1,600万円程。
5万キロ毎の交換推奨部品というのも、色んな意味で納得です!
CLの下にもぐったまま、次はATFの圧送交換です。
722.9の7速ATは繊細な為、
一般的な交換方法である、下から抜いて上から入れるだけという方法はお勧め出来ません。
鉄粉を巻き上げてしまい、各センサーを詰まらせたり、
スピードセンサーを故障させたりします。
もし交換するなら、最低でもオイルパン脱着+ストレーナー交換は必須で、可能であれば圧送交換による全量交換がお勧めです。
まずは現在入っているATFを、出来るだけ抜き取ってしまう事かスタート。
コンバーター内のATFも抜く事が出来ます。
キャップを外してコンバーターにアクセス。
位置を合わせてコンバータードレンプラグを抜き取って排出。
ATオイルパンは、ドレンプラグを抜いて、
オーバーフローパイプも抜き取り、出来る限りの古いATFを排出。
抜き取ったATFです。結構黒く汚れています。
オイルパンを取り外します。
オイルパンの底には鉄粉吸着用磁石が。
鉄粉は、「どっさり」ではありませんが、それなりに吸着されています。
古いATFストレーナーです。
フィルター部分は結構汚れています。
新品のATFストレーナーに交換です。
バルブボディも綺麗に掃除をします。
ストレーナーを装着。
オイルパンは綺麗に掃除をして、
オーバーフローパイプを交換。
オイルパンガスケットも新調して、既定トルクで締め付けます。
今回使用するATFは、フックスが7速AT用に開発した専用ATFです。
圧送交換を可能にする専用ホースにトルコン太郎を接続。
既に抜けてしまっている分と同量のATFを充填。
診断機を接続して油温検出モードにしておきます。
そして圧送交換開始です。
18リットルを使ったところで、
色合いや透明度が新品のATFと変わらなくなってきました。
圧送交換をしながら、洗浄モードも繰り返しながらの交換ですので、
ATFの油温はあっという間に上がってしまい、
油量調整基準値を余裕で越えてしまいます。
時期的に油温も下がりにくい為、
スポットクーラーを使って油温を下げていきます。
適正油温になったところで再びエンジンを始動。
オーバーフロープラグからATFをオーバーフローさせて、
最終油量調整完了です。
ATFの新旧比較です。
古いATFを入れていた容器の底には
これだけ鉄粉が沈殿していました。
エンジンオイルを排出。
オイルドレンプラグガスケットも交換。
オイルフィルターエレメントを取り外して、
新品に交換。
純正オイルを充填します。
続いて、ABCオイルの交換を行います。
オイルタンクはここ。
事前にレベルゲージにてフルード量をチェック。
フィルターも交換しますので、キャップを取り外す為に、
ストッパーになっているブラケットを取り外します。
抜き取ったフィルターです。
溜まっているABCオイルは真っ黒に汚れています。
フィルターは高性能タイプが装着されていました。
フィルターは真っ黒に汚れています。
新品のフィルターを装着して、
全てのストラットにABCオイルを循環させながら強制駆動する、
クリーニングモードに入ります。
自動でロデオします。
(※音量の設定によっては大きめの音が出ます。ご注意下さい)
この動画の編集に、かなり時間掛かっちゃいました(笑)
数日をかけて、動画編集ソフトをダウンロード&勉強。
なのに・・・YouTubeのクリエータツールで簡単に編集が出来るという事実に気付いたのが今朝という・・・(-_-;)
クリーニングモードで各ストラットから流れて来たオイルの汚れをしっかりと吸着してくれた1個目のフィルターは、ここでお役目ごめんです。
さっきまで真っ白で綺麗だったフィルターは、
あっという間に真っ黒になっていました。
タンク内のABCオイルを全て吸い上げて、
新しいABCオイルを充填します。
オイルが出入りするホースはいずれもタンク底にしかないタイプなので
ホースを抜いて云々の作業が現実的に厳しい構造です。
オイルを吸引するノズルを、タンク内に戻って来るホース口に
タンク内から接続。
戻って来る汚れたオイルをドンドン吸引しながら、
上から新しいオイルを充填していき、
各ストラットに巡らせて行きます。
しかも、それをロデオをさせながら行います(^^;
約10リットルのABCオイルを使ってクリーニング。
抜き取ったABCオイルは吸引タンク一杯にまでなりました。
2回目のロデオが終了すると同時に、交換作業も完了です。
すごく傾いた状態で終了しますので、
ここからキャリブレーションを行います。
キャリブレーション完了で、車は真っすぐに。
凛とした姿勢にもどります。
もちろん、最終試乗テストも必要です。
ABCオイルの新旧比較です。
交換前のタンク内オイルと、交換後のタンク内オイルです。
最後に、手直しが終わって帰って来たヘッドライトを組み付け。
脱着しているので、光軸の調整を行います。
最後の締めに、
ボンネットマスコット(エンブレム)をブラックに交換して、
全ての作業が終了です。
今回のメンテナンスでは、
上記内容も含め以下の作業を行っております。
・ヘッドライト脱着→加工業者さんへ送付
・サスペンションダストカバーにラバープロテクター塗布
・ABCオイル交換
・ABCオイルフィルター交換(2個使用)
・エンジンマウント左右交換
・ミッションマウント交換
・ATF圧送交換作業一式
・ATFストレーナー交換
・ATオイルドレンプラグ交換
・ATオイルドレンプラグガスケット交換
・ATFオーバーフロープラグ交換
・ATオイルパンガスケット交換
・ATF(フックス)交換
・エンジンオイル交換
・オイルフィルターエレメント交換
・エンジンオイルドレンプラグガスケット交換
・ボンネットマスコット交換
・右ドアツィータカバー固定
今回の修理ご請求額は、 ¥ 103,000- となっております。
(作業にかかる部品は全てお持ち込み頂きました)
ご用命、ありがとうございました<(_ _)>
<参考データ:車両走行距離 51,800km>
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