ワインに話を縛れば暑くなるほど、
冷えた白ワインを飲みたくなる。
今日の1杯は、2020 Montagny 1er Cru
[Domaine Des Vignes Bleues]という
フランス・ブルゴーニュ地方の白ワイン。
ブドウはもちろんシャルドネである。
ミネラル感たっぷりだが硬い印象で、
フィニッシュには、
ブドウ由来の苦みが感じられる。
シャルドネらしい白い花の香りの
ワインを飲みながら、
妻の居場所探しに回った特養を振り返る。
そういえばある施設では、
行事の時間とぶつかったようで、
昭和30~40年代の
懐メロが聞こえてきたことがあった。
高齢者施設あるあるなのだが、
叔母が入居している老人ホームでは、
軍歌を歌っているのを聞いたことがある。
認知症発症前だったが、
叔母は参加していなかった。
妻の家族会のときですら、
プロを招いての演目の曲に
干支ひと回りズレを感じるときがあった。
高齢者の懐かしむものと、
若年性認知症の妻が懐かしさを覚えるものは、
15~20年ほどズレがある。
妻をそういう異時代に送り込むことに対し、
複雑な思いを抱くのは僕だけだろうか?
昨日、
その事業所が重きを置いていることは、
「等質性」だという。式で表現すると、
「同年代+同性+たくさん=近い価値観」
となる。どういう意味かといえば、
同じ世代、同じ性別の人が多く集まると、
近い価値観・連帯感が生まれるため、
大きな安心感が生まれることに繋がるという。
昨日の話を反芻するにつけ、
妻は「近い価値観」から遠いところにいて、
“異時代”に置かれる現実が今後も待っている。
“大きな安心感”からは遠い妻だが、
そんな状況をつくっているのは僕である。
若年性認知症の人にふさわしい終の場所は、
いつになったらできるのだろうか……。
認知症啓発以上に僕にとって重要なことは、
若年性認知症の人が抱える現実を
広く知ってもらうことだと改めて思った。