在宅でターミナルケア中

血管性認知症の母は、

ベッドで過ごすことが多くなってきた。

 

そこで今週から訪問看護

週2回から4回へと増やすことになった。

力が出なくなったと零す父にとって、

おむつ交換や清拭は有難い限りだ。

 

その一方で、最後まで、

自分の手で面倒をみ切れないことに対し、

父は残念がっていたりもする。

 

一方、母は「要らない」と言い、

食事や水分をほとんど摂ろうとしないので、

さらにひと回り体が小さくなった気がする。

 

食べない母にほんのわずかでも、

何か口に入れてもらいたいと思い、

昨日はカブを柔らかく煮てみた

 

8等分に切ったカブを

帆立風味の出汁とコンソメを合わせ、

隠し味程度に甘辛い煮汁と酒を加え、

実に色が染みこむまで火にかけた。

 

 

煮汁の水はメビウスウォーター、

欠乏していると思われるミネラルを補うため、

雪塩とにがりで味を調えてみた。

母はひと口でも食べてくれるだろうか?

 

昨日の母はベッドで過ごした。

昼どきなのに、まだ何も食べていなかった

そんな母に声をかけてみた。

 

「カブを柔らかく煮たんだけど、

 味見してもらえる?」

 

すると、母は味見すると言ってくれた。

8等分したうちの一片を

さらに3分割して母の口に運んだ。

 

「うん、美味しくできている」

 

カブの繊維が残っていたらしく、

口元にくっついてしまったので、

ウエットティッシュで拭き取った。

 

「もうすぐ僕の誕生日だよ」

「ああ、そうかぁ……」

「死にそうな未熟児で、

 酸素吸入までされて生まれてきたのに、

 もうすぐ6X歳になるんだよ」

「……」

「カブ、夕ご飯のときに食べてね」

 

そうは言ったものの、

おそらく母は食べないだろう。

でも味見できただけでも良かった。

 

また味見用に別のものをつくって来るので、

ぜひとも僕の誕生日を越えてほしい……。