昨日の午後3時近く、
僕は新日本橋駅近くのカフェの奥にある
Barカウンターで赤ワインを飲んでいた。
ワインを運んできたくれたのは、
1台の移動型ロボットだった。
▲ワインを運んできたロボットとも話ができます……
僕がいるのはDAWNという店名の
「分身ロボットカフェ」で、
お客さんの9割近くが、
海外からのインバウンド客。
欧米やインド系の顔つきが多かった。
僕の目の前のカウンターにも、
1台の小型ロボットがいた。
小型ロボットの目が緑色に変わると、
20代の女性の声で話しかけてきた。
僕に話しかけてきた小型ロボットは、
“分身ロボット”である。
誰の分身かといえば、
重度疾病や脊髄損傷で動けない、
もしくは寝たきりの人たちの分身である。
身体の自由が利かない彼らが、
ロボットのパイロットとなり、
自宅からPCや視線入力で操作をし、
リアルタイムで働いているのだ。
▲目の前のカウンターのロボットさん
ロボットの眉間にはカメラがあり、
店内の様子を見ることができるだけでなく、
分身ロボットのポーズをとることもできる。
僕へ最初に話しかけてきた女性は、
南九州から小型ロボットを操作していたが、
筋肉が徐々にやせ細っていく難病だという。
世界中から来る人と繋がることができるので、
孤立することなく暮らすことができ、
いまは英語の勉強が楽しいという。
▲お店に入ると正面に受付ロボット。重度疾病を抱え
た人が操作し、お店のシステムの説明をしてくれます。
入場料は1500円。必ず1品頼む必要があります。キャ
ッシュレスのため、支払いで現金は使えません
そんな話をしていたら、
すぐ隣の小型ロボットの目が緑色になった。
北東北に住む女性で、
難病のお嬢さんの面倒を看ているという。
東京にいる僕を挟んで鼎談となったが、
お客さんが増えてきたので、
指令が飛び、別の席へ行ってしまった。
なんだかクラブのチェンジみたいだが、
小型ロボットが移動するわけではない。
別の席の分身ロボットの目が緑色になり、
そちらが作動する仕組みらしい。
▲南九州、北東北、日本箸の3地点を
結んで鼎談するとはまったくの予想外
このDAWNができたのは2021年のことで、
常設実験店というポジションになっている。
分身ロボットOriHimeの開発者は、
不登校と引きこもりの経験を生かし、
外出困難な状態でも社会参加を可能にする、
もうひとつの身体をつくったが、
研究仲間には重度障害の当事者がいた。
お店の入口には、
「寝たきりの、先へ行く。」というコピーが
掲げられた説明書きがあった。
オレンジカフェにも行けず、
社会と繋がることができない、
若年性を含む認知症の人でも、
分身ロボットで繋がることができる日は、
近いかもしれないと思った……。
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▲海外からのインバウンド客には、なんと“有名店”なんだそうですよ
▲月・水・土曜の12:20-/14:20-/16:20-限定のテレ
バリスタが好みのコーヒーを試飲させてくれます。
筋萎縮性側索硬化症になった女性らがパイロットとな
り、ロボットを操作しているとのことです