昨夜、若年性認知症の介護者である
ご主人の話をオンラインで聞いた。
56歳のとき、奥様が若年性認知症を発症した。
ピアノ教室を開いていた奥様と、
チェロを弾くご主人のことは、
2023年1月21日の本ブログで取り上げた
『注文をまちがえる料理店』(小国士朗著)に
「三川さん夫婦のものがたり」として、
収録されているだけでなく、
中学生向け道徳の教科書や、
様々なメディアで記事となっている。
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2018年に“注文をまちがえる料理店” で
ピアノを弾いたときには、
要介護1だった奥様は、
その後の進行が早かったという。
翌年にはピアノが弾けなくなり、
要介護5の認定を受けると、
次に歩くことが困難となり、
いまでは発語も儘ならず、
特養で暮らしているという。
ピアノとチェロの間合いを
取ってきただけあって、
奥様が喋れなくなっても、
意思が通じていることがわかるという。
目をパチパチ、口をパクパク、
奥様の動きがその証だと話していた。
オンラインでの話を聞く約4時間前、
僕は若年性認知症の妻が入院する病院にいた。
月1回だけの面会日だった。
妻も車椅子になり、
喋ることがほとんどできなくなっている。
だから、昨日も僕が一方的に喋った。
話をするとき、心掛けていることがある。
いまが何月で陽気がどうかを、
必ず織り込んで話をするようにしている。
昨日は病院近くに八重桜が満開だったので、
そのことを告げ、撮った写真を見せた。
15分間の面会時間の
終了を告げに来たスタッフさんに、
発語の状況を尋ねると、
「ほとんど話さなくなった」と応えた。
だが続けて「目で追っているので、
わかっていると思いますよ」と言われた。
妻がわずかながらに所持する株の
配当金が記載された郵便を見せたとき、
金額が記載された部分で目が留まっていた。
きっと妻にはわかっているのだろう。
目と目の話に
シンクロニシティを感じたが、
やはり口ほどにものをいうと思った……。