こぢんまりとした静かな和食店で、
昼食を摂っていたら、
女性ふたり組の会話が耳に入ってきた。
「……から7を引いたら……」
認知症検査の話かと思いきや、
子どもに引き算を教えるときの
エピソードを話していた。
そういえば「10から7を引く」と、
言っていたような気がした。
“100から7引く”のとは大違いである。
僕の座席の位置からは、
シルバーヘアのご婦人しか見えなかったが、
もう1人は子育て中の娘さんのようだった。
シルバーヘアのご婦人を見て、
認知症の話と早とちりしてしまった。
ニュースでは子育て支援金の負担額や、
年金の払込期間を65歳までにする案など、
ステルス的な国民負担率増の話ばかりだが、
世代を分断するような報じ方が気になる。
一昨日オンラインで聴いた
少子高齢化社会の課題についての講演会で、
「0~100歳まで多世代が支え合う街へ」と
いうテーマの話があった。
学研ココファン・ナーシングの
木村祐介社長がスピーカーだった。
同社は介護予防訪問看護及び
訪問看護事業の運営する企業だが、
そのルーツは子ども向けの
「学習」と「科学」の出版・販売にある。
子育て支援と高齢者の介護の
両極を担っているところがユニークだ。
同社は行政と協業しながら、
昭和の古いまちをリデザインする際、
“学研版地域包括システム”を心掛け、
子育て・教育支援の視点を持ち、
公的不動産の有効活用を行っているという。
ところで『資本主義の次に来る世界』
によると、次のような見方がある。
「政府は、成長を求めるあまり公共サービス
を民営化し、社会支出を削減し、賃金と労働
者保護をカットし、富裕層の減税を手助けす
ることによって、不平等を急速に拡大してき
た。」(同書より引用)
上記は英国の例だが、
日本でもグローバリズム的政策により、
近い状況にあるかもしれない。
現政権は「賃金と労働者保護」に、
取り組みはじめたところなのだろう。
ココファン・ナーシングなどの企業が、
行政とまちづくりをするうえで重要なのは、
利益の追求一辺倒ではなく、
「公益資本主義」に基盤を置くことであり、
株主資本主義とは対極のシステムとなる。
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岸田内閣の「新しい資本主義」は、
公益資本主義をベースにしたはずなのだが、
まだまだグローバリズム寄りのためか、
好循環を生み出すまでには、
至っていないと感じてしまった……。
現実問題として多世代が支え合い、
少子高齢化の課題に対する好循環を
生み出す地域づくりは容易ではない。
都市部には多様なジェネレーションが集う。
だから実現性はある程度見込まれる。
だが地方の場合は深刻で、
必然的に年代が高いほうに偏ってしまい、
まちぐるみで老々扶助するしかない。
どんな策を打っても、
いったんは7000万人台の人口を目指す。
推計上は避けがたい段階になった。
だから国や経済界は、
移民受け入れに前向きなのだろう……。
そういう方たちとも、
地域づくりをしていかざるを得ない日が、
刻々と近づいているのかもしれない……。