妻の入院中の病院から、
退院後の施設のリストが出てきた。
老健のみを予想していたが、
意外なことに特養がメインだった。
リストといっても、
施設名と連絡先、開設時期、
部屋のタイプ等の一覧表なのだが、
蛍光ペンでマークされた施設があり、
そこは若年性認知症の
受け入れ実績がある施設だった。
リストには多くの施設名が記されているが、
マークのついた若年対応のところは少ない。
翌日、ホームページを見てみたが、
情報量も少なく肝心なところがわからない。
そこでアポをとり、
現地で直接話を聞くことにした。
昨日、いちばん最初にアポを取った
特養へ向かうために駅へと向かった。
信号を渡り駅前広場に差し掛かると、
これからお邪魔する特養の
最寄り駅へ行くバスが目に入った。
電車で行くつもりだったが、
2回乗り継ぎが必要となる。
少し早めに家を出たので、
バスのほうが1本で行けるうえに、
ジャストタイムに着くことができる。
改札への階段を上らずバス停へと走った。
飛び乗って1分ほどでバスは発進した。
車窓にはまちが身近に感じられる。
電車とはまた違う景色が流れて行く。
散りはじめたソメイヨシノを
目で追っているとスマホが震えた。
留守電は入っていないが、
これから行く特養と局番が一緒だった。
1時間に3~4本の路線バス、
しかもどの駅からも離れた地点にいる。
電車だと駅で途中下車して、
ホームでかけ直すことができるが、
バスだとそういうわけにはいかない。
悩んでいると2度目の着信。
出たくても出られないでいると、
今度は留守電のメッセージが入っていた。
やはり、これから行く特養からの電話で、
表に出しているとは別の番号だった。
「救急案件で約束の時間の対応が難しい」との
内容だったが、緊急でなく救急という言葉に、
施設で何が起きたのか心配になってしまった。
目的の駅まで歩いても、
10分程度の距離のバス停に差し掛かったので、
ここで下車しコールバックをしたのだが、
着信があってから15分以上が経っていた。
結局、別の日に仕切り直しとしたが、
バス移動はこういうときに困る……。