春分の日、とある映画の上映会に誘われた。
上映会といっても、
大きな会場の立派なスクリーンではなく、
人と人を繋ぐ場として利用されている
郊外の民家カフェ的な一軒家が会場だった。
昨年6/22のブログ「指談」を書くにあたり、
下調べの過程で山元加津子さんの活動と、
このドキュメンタリー映画の存在を知り、
認知症とは直接関係はないが、
機会があれば観たいと思っていた。
そして忘れかけていたころ、
映画視聴のチャンスが巡ってきた。
起ち上がったばかりのNPOにより、
『1/4の奇跡~本当のことだから~』の
上映交流会が催されることになったのだ。
ドキュメンタリーの世界観と、
その団体の想いがシンクロしたのが
作品上映のきっかけとなったようだった。
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障害のある子どもたちと、
養護学校教諭のかっこちゃん(山元さん)の
ドキュメンタリーが最終盤に差し掛かり、
目頭がホロリと来たときに、
ポケットの中のスマホが振動した。
着信履歴を見ようとしたところ、
2度目の着信があった。父からの電話だった。
昨日電話で話したばかりだったので、
「あれッ」と思った。
2度目が来るということは急用の可能性が高い。
だがいまは席を立てる状況ではないし、
100分間の尺の95分目くらいなので、
終わり次第かけ直すことにした。
目から零れそうになったものは途端に乾き、
エンドロールがとても長く感じられた。
上映終了後、すぐにコールバックすると、
父は右後頭部から首にかけて激痛がし、
頭頂部にまで痛みが走るという。
母が脳出血を起こしたときのことが、
フラッシュバックし、
急いで駆けつけないとマズいと焦った。
直線距離で5~6kmの場所にいたのだが、
神奈川の縦の移動は不自由だ。
ひなびた駅前にはタクシーはなく、
1駅電車で移動し駅前でタクシーを捕まえた。
着いたときには着信から45分が経っていた。
我慢強い父が、
悲鳴を上げる痛みの正体を見極めるには、
医師の判断が必要なのだが、
間が悪いことに祝日である。
痛みの状況や手足の痺れがないことから、
脳ではなく整形外科の領域と直感したが、
市の医療情報センターに連絡をし、
まず電話で問診を受けることにした。
脳出血を起こし認知症になった母は、
「大ごとじゃないのよ」という。
経験者の視点なので鋭い。
問診が終わると医療情報センターの方が、
休日診療をしている整形外科を紹介してくれた。
そこで近所の整形外科のある
救急病院に電話し受診のアポをとると、
血管性認知症の母に、
「1時間くらいで戻る」と言い残して、
父をクルマに乗せ病院へ向かった。
原因は筋を痛めただけだったのだが、
動いただけで飛び上がるほどの痛みのため、
湿布を貼り、買物をし、
母の食事の準備を済ました。
翌朝、右半身に麻痺が残る母では、
湿布がうまく貼れないので替えに行くと、
父の激痛はほぼ治まっていた。
母を家に置いたままでハラハラしたが、
大事に至らず、ひと安心した。
お彼岸中だったので、
ご先祖様が援護してくれたのかな……。
※土曜は休載日ですが、3/23は通常の更新をします。
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