血管症認知症で、
右半身と言語に脳出血の後遺症が残る母。
今月中にまた齢を重ね、
90代後半に突入しようとしている。
母の認知症の進行度合いは、
一進一退でとても緩やかなので、
主介護者の父は、
「百まで生きるよ」と苦笑いしている。
家の中では歩行器だが、
2階の寝室までは手摺りを使い、
階段の上がり下がりが何とかできている。
日々、困ったちゃんなことを行い、
頑として自宅から離れようとはしないし、
訪問リハビリさえ嫌がる。
僕が長居しても嫌がるのだが、
自分のペースが乱されるのがダメなようだ。
そんな母だが、
僕が来たときには母親であろうとする。
必ず「何か食べたのか?」と訊き、
今週はトースターで、
サツマイモを焼きはじめた。
母が汚した冷蔵庫を拭き、
雑巾を台所で洗っていると、
僕の後ろを通りかかったときに、
お尻のポケットに入れたスマホで、
裾がまくれたセーターを直してくれた。
大きなサツマイモが焼き上がったので、
先にコーヒーを淹れてから、
母のためにカットしようと思っていたら、
感情のコントロール低下した母は、
待ちきれなくなって、
「もう焼けている!」と大きな声を出した。
そして再び台所まで歩行器でやってきて、
不自由な手を使い包丁でカットし、
「食べなさい」とその中のひとつを、
僕に差し出したが、自分は食べようとしない。
認知症になっても、
母親として世話を焼けるうちは、
症状は進行しないような気がしている……。
▲今日から春節です。中華街のドラゴンです。山手の
丘に上がると、下校途中の小学生が、石垣を指差し
「トカゲだ!」と騒いでいました。降雪の2日後なの
に……啓蟄はまだ先です