妻が一度目の調薬入院から、

自宅に戻ってきた2年前のいまごろ、

ある幻視に怯えるようになっていた。

 

「ヘビいる? 怖い怖い怖い……」

 

妻はもともとヘビが大の苦手だったが、

真冬の1月、しかも賃貸マンションの中、

さらに周辺は商業地域のため、

夏場でもヘビなんているはずがない。

だが何度も言われると、

不安感を取り除くのには苦労をした。

 

そういうときの受け答えなのだが、

「ヘビなんていないよ、どこにいるの?」

と返すと、逆に興奮させてしまうことになる。

 

「大丈夫、冬だから冬眠中だよ」と、

妻の不安に僕は対処していた。

 

それにしても、

認知症の人に対する返事は、

時と場合によってはかなり難しい。

“否定してはいけない”と言われているが、

いざとなると言葉に詰まることだってある。

 

 

そんなときに役立つ、

ちょっぴりユニークな切り口の本を見つけた。

 

『認知症心理学の専門家が教える 認知症の

ー21刊)という、昨年12月刊行の書籍である。

 

認知症の人への

接し方や言い方の重要性を踏まえ、

軽度、中等度、重度などの症状に合わせた

言いかえフレーズが載った1冊である。

 

例えば、同じものを何度も買うときなど、

ケーススタディ別に、

悪い例言いかえた例を併記し、

言いかえが必要な理由を説明しているので、

いざというときのヒントになるだろう。

 

このほかに「認知症の親に

イライラしてしまう」など、

家族ならではの悩みに対する

12問のQ&Aも参考になるだろう。

 

ともあれ、本人が満足できる返答でないと、

何度も同じことを尋ねてくる。

特に会話が嚙み合わなくなると、

その原因を探りながら、

対処して行くのは困難になってくる。

 

経験上コミュニケーション自体が、

成り立たなくなってきたときが、

家族だけの介護の限界なので、

プロの手を借りるタイミングと

考えたほうがいいだろう……。

 

 

のち成人の日!

 

いまは、18歳で成人式をする世の中になってしまった。昨日、近くの駅前は着物姿で溢れていた。あれほど多くの晴れ姿の女性を見るのは、久しぶりだった。赤やピンクなどの暖色系統の振袖に、白いふわふわのフェザーショールの一群の中に、思わずハッとするコがいた。

金糸に緑が混じった着物生地のロングスカートに、上はクリーム色の短い丈の道行姿。群れずに颯爽と歩く姿が、またよく似合っていたが、道行の下が見えず、何を合わせていたのか、しばらくコーデを考えてしまった……。