冬至の翌日の朝には、
復活した新たな太陽が昇ると,
古代エジプトでは信じられていた。
その太陽を見ることなく、未明に友人が逝った。
冬至明けの太陽にように復活はしなかった。
親友の奥さんでもあり、僕と同い年だった。
僕の妻が若年性認知症と診断された翌年、
友人は肺がんのステージ4と診断された。
幸い手術は成功し、快気祝いの再会で
一緒に昼食をとったのが、
3年前のクリスマスの日だった。
だがその後、肺ではない場所が、
癌細胞に冒されてしまった。
ほとんど症例がないがんで、
的確な治療法が見出せなかった。
でも病院で寝込むようなことはなかった。
前日は外食に出掛けたという。
妻よりも友人とは付き合いが長かったので、
何かあればつい頼ってしまった。
妻と喧嘩し内鍵を閉められた夜は、
ご夫妻の家に泊めてもらい、
翌朝、フォローの電話をしてもらった。
夫婦同士での伊豆への旅行、
春の花見、夏の花火、
あちこち一緒に出掛けたが、
子育てで友人と妻の間には、
10年ちょっとの期間ブランクが生まれた。
10余年の間におませだった一人娘は、
成人式が済み、就職先も決まった。
これからラクになるというときの訃報だった。
昨日は家族葬の中、親族に交じって友を送った。
菩薩のような穏やかな最後の表情は、
そのまま白い骨壺の中に納まってしまった。
今夜は友が好きだった赤ワインで献杯しよう。