90代半ばの血管性認知症の母は、
なんとなく最近弱ってきている。
冬生まれの母にとって、
この猛暑は堪えるのだろうか?
冷房はつけているのだが、
水分を頑なに摂ろうとしない。
体力減退のいちばんの原因だろうが、
水分補給の代わりに、
30分ごとに冷蔵庫にかぶりつき、
カットしたフルーツを食べている。
夏は水分の多いスイカがあるので助かる。
母の様子を見たあとに、
有料老人ホームの叔母を訪ねた。
叔母は母の妹で、
この春から認知症フロアで、
手厚いケアを受けている。
このところ面会に行くと、
keroぴょんは学生扱いされるなど、
時空を超えた世界にいたが、
この日は「会社はどうした?」と、
至極真っ当なことをいわれた。
そして叔母ちゃんは、
姉(母のこと)とkeroぴょんが大好きだから、
「ここに一緒に住もう」と言い出した。
それを軽く受け流し違う話題にする。
近頃の叔母は、安心感を求めているようだ。
はじめの10分ほどは居室面会だったが、
居室では15分までと決まっているので、
ホームのケア係の方が、
認知症棟の共有スペースへと、
叔母の車椅子を移動させてくれた。
ここだと合計で1時間は話せる。
共有スペースに移るとすぐに、
叔母は「寒い!」と言いはじめた。
高齢者の夏の温度管理はとても難しい。
エアコンの吹き出し口を確認し、
keroぴょんの位置と入れ替わることにした。
それでも2~3分すると、
再び叔母は「寒い」と言い出した。
それを聞いたホームの方は心得たもので、
部屋からカーディガンを持ってきてくれた。
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これで落ち着いたと思いきや、
今度は「痒い!」と言いはじめた。
この日は入浴日だったので、
必要な皮脂まで、
さっぱりしてしまったのかもしれない。
年をとると、皮膚は乾燥しやすい。
冷房は湿度を下げる分、乾燥しやすくなる。
⇩ ⇩ ⇩
「私はここが好きなのよ……」と言いながら、
ケア係の方に乳液を塗ってもらう叔母は、
とても満足そうに見えた。
けれども乳液を塗られた脚を見ると、
かなり痩せ細り、体そのものも、
ひと回り小さくなったような気がした……。
しみじみとした思いに浸っていると、
叔母のひと言に意表を突かれた。
「keroぴょん、髪が薄くなったわね……」
「」