若年性認知症の
当事者女性の声を、
直接聞く機会に恵まれた。
若年性認知症と診断されたのは、
2019年2月で、
当時は40代前半だったとのこと。
妻とまったく同じ時期の
診断だった。
今回のような
講演活動や執筆などなど、
マルチに活躍されている。
ご主人が会場にいらっしゃっており、
途中から“飛び入り参加”となった。
夫婦関係が垣間見られ、
微笑ましくもあるのだが、
改めて若年性を含む認知症は、
夫婦や兄弟姉妹、
家族との関係性を
突きつけられる疾患であると思った。
診断時期は一緒だったが、
50代の妻のほうが進行は早い。
この差は何なのだろうか……。
それは早期に診断されたか
否かの差ではないだろうか?
妻の場合、
「変だな?」と感じはじめてから、
受診まで3年半の月日を要したのだが、
50代という年齢から更年期を疑った。
同じことを訊くだけでなく、
感情的に不安定だったことが、
更年期の証であるように感じていた。
2~3年もすれば、
落ち着くと勝手に決めつけ、
怒りを買いたくないばかりに、
それまでの我慢を決め込んでいた。
いよいよ変だと気がついても、
まだ婦人科か認知症か定められず、
「両面待ち」ができる
大学病院への受診を選んだ。
診断時期が一緒でも、
この出発点の違いが差となり、
妻が本来したいことが、
やり辛い時点からの
スタートとなった。
結果として、
妻の意向を探りながら、
狭まった選択肢の中から、
ベターのものを探し、
妻を誘導せざるを得なくなった。
40代の“妹当事者さん”に負けないくらい、
妻は元来パワフルだったのだが、
出だしの3年半ほどで差がついた。
僕の“判断ミス”のせいだ。
モデルの活躍経験がある
“妹当事者さん”だが、
妻は50歳一歩手前のころ、
CMモデルに
スカウトされたことがあった。
TVでよく見かける
俳優さんが所属する事務所だった。
「断ったわ」と僕には報告したが、
とても嬉しそうにしていた。
「やりたくなったら、
電話すればいいのよ」と、
名刺を見せながら、
3年経っても引きずっていた。
本人がやれるときに動く!
気持ちが揺れているようなら、
身近な人が背中を押してあげる。
そうしないと、
気がついたときには、
本人の行動力や判断力、
決断力が伴わなくなる。
やりたいことがあっても、
動けなくなるのだ。
どこが違うのか?
ほかにもまだまだあるのだが、
それは個人的なことで、
性格や経験の差になってしまう。
スタート時点での症状の
進行度合い、それが誰にでも、
共通する違いといえるだろう……。