「マンモス病院での外出受診」の

3回目です。

初めてこのブログを読む方は、

前回、前々回を読んでいただくと、

分かりやすいと思います。

 

 

 

 

 

病院到着から3時間半近く経ち、

ようやく初診室に辿り着いた

専門科がある病院での検査のために来たが、

若年性認知症による理解力の低下で、

2つの検査がうまくできなかった。

研修医はあっさり諦めてしまった。

 

おまけに初診医は、

「充血していないから大丈夫かな」

といった感じで、

涙の量を診るシルマーテストもパス

これでは介護タクシーを使い、

車椅子をレンタルして、

マンモス病院まで来た意味がない

 

 

入院先で検査済みだが、

専門科での血液検査を要望し、

再び初診室前で待っていると、

妻が「トイレ」と言い出した。

そんなタイミングで、

看護師が血液検査票を持って現れた。

 

トイレの問題に関しては、

マンモス病院の看護師

介助を頼むよう、

入院先から説明を受けていた。

タイミング良く現われた看護師に、

すかさずトイレの介助を伝えた。

 

「トイレ、行きたい!」

 

再び妻が言い、

車椅子から立ち上がろうとした。

声を掛けてから10分近く経つ

妻がマスクを外し腕に巻きつけたり、

耳掛けの紐を引きちぎりはじめた。

BPSDが出てきたらマズい……。

 

↑破いたり、紐が切れたマスクの一部。紛失したマスクも……

 

ようやく別の看護師が対応してくれたが、

別フロアのトイレから戻ると、

戻ったこと受診科受付に告げ、

血液検査票を受け取るように言われた。

 

受付前は車椅子を置くと、

通行の支障になるほど狭く、

人が集中している。

目が届く少し離れたところで

待機させるしかなかった。

 

妻の妹はマスクを買いに売店に向かった。

何枚も引きちぎってしまい、

予備のマスクがなくなってしまったのだ。

 

受付で戻った旨を告げると、

「少し待ってください」といわれたが、

時間がかかりそうな様子だ。

車椅子妻を近くに連れてきた方が無難と感じ、

「一瞬外していいですか? 

 車椅子を……」

と言いかけると、

「検査票、出せませんよ」

と受付の女性から制されてしまった。

 

 

その直後、固定ベルトをつけた妻が、

無理に立ち上がろうとした。

車椅子ごと転倒したら大ごとだ。

頸椎の損傷リスクが高い。

 

車椅子の妻の元に急ぎ駆け寄る。

受付の女性も事態把握したのか、

僕のところへ血液検査票を持ってきた。

 

kero「採決はどちらですか? 初めてなので

受付初めてではないですよ、診察券あるので」

kero僕が初めてで、妻は認知症なんです

 

血液検査票を持ってきたときに、

キツめに状況を言ったので、

カチンと来たのだろうか?

 

マスクを調達した妻の妹に合流し、

採血も無事に終了し、

入院先に戻ったのは15時近く。

 

途中「お腹が空いた」といった妻だが、

お昼ご飯の時間は、

とっくに過ぎてしまった。

 

家に戻って調べてみたら、

診察券は確かにあった。

ただし、旧姓のものだった……。

 

(総括編に続く)

 

 

2019 Barbera[Montefiore]

(イタリア・ピエモンテ州)

 

 

いろいろなことを感じた半日だったが、考え方を変えれば、待ち時間が長い分、久々の妻との時間も多かったわけだ。

モニター越しの5分とは雲泥の差。何よりも手を添えたり、目と目を合わせられたので、僕のことを認識してもらえた。再入院前から声を聞きたがっていた妹とも5カ月ぶりに会えて、とても嬉しそうな顔をしていた。

 

そんな1日の終わりに飲むワインは、ピエモンテ州を代表するブドウ品種・バルベーラでつくられたD.O.C.赤ワインだ。1,000円台後半で買えるミディアムボディで、酸を感じる果実味は若々しい。タンニンは軽めで、広がりはナロウな感じ。1日の疲れが出たのか、グラス1杯で眠くなってきた……。