河島英五の歌で
『時代おくれ』という名曲がある。
“昭和っぽい男”の理想のスタイルが
にじみ出ている阿久悠の歌詞がいい。
だが酒場でも今日日、
ITを使えないとスマートとは言えない。
チェーン店だと、
注文からタッチパネルである。
マクドナルドですら、
「いらっしゃいませ、ご注文は?」は
過去のことで、タッチパネル注文だ。
▲マックの注文パネル
久々に昼食で入った地元密着のお店で、
席に着きランチメニューを
探そうとしたら、
「いま、持ってきますね」といわれた。
確かにドリンクメニューしか見当たらない。
そして、お店の人が持ってきたのは、
なんとQRコード!
「こちら読み取って、
そのまま注文してください」
スマホを持っていることが、
昼食の前提になっていた。
▲ランチのお店のオーダー用QRコード
そういえば昨日、
携帯のキャリア会社から
妻宛てに郵便が来ていた。
宛名の下には大きな文字で、
次のような文字がプリントされていた。
“こちらの二つ折りケータイは
修理受付が終了しています。”
“早めのお取替えをご検討ください。”
妻は古いガラケーを使っている。
バーコードリーダーで、
読み取りはできても、
その先はシステムが対応していない。
スマホを持つことは、
若年性認知症が進んだ妻には無理だ。
氾濫するアプリ、
ウイルスへの不安、
操作そのものへの混乱。
テレビのリモコン、
駅の自動改札、
進化するデジタル機器は、
妻にとっては戸惑いでしかない。
1台ですべてを介助してくれる
ロボットの誕生が待ち遠しい。
もしドラえもん型ができたら、
妻は誰よりも使いこなせるはずだ……。