店に入るなり、僕だと分かってくれて、素直に嬉しいと思った。マスク越しだし、気付かれなかったらどうしたものかと落ち込む必要も無かった。
少しばかり心配したんだ。
会うの2年以上振りだし、それまでもそんなに頻繁にお会いしてた訳でも無かったし。
店の入り口に突っ立っていても邪魔なだけだし、さっさと一番奥の一番端っこの席に座る。
少しして、僕のところにご挨拶にきてくれた。正確にはオーダーを取りにきた、なのだけど。
少し驚いたのは彼女から澱みなく言葉が溢れてきた事だった。そういえば、案外おしゃべりな方だった事を思い出した。たださすがに記憶が幾分曖昧なんで、僕の役目は細かな部分を訂正補足する事でした。
最後に話したのは、いつ?みたいな事。
まだ彼女お仕事中なんで、
彼女が言いたい事が一周したのを見計らうように僕の方から話しを止めて、
オーダーをお願いする。
勿論許される事なら、ずっと喋っていたいけど、迷惑な客にはなりたくないし、勿論迷惑は掛けたくない。
豆が選べるというコーヒーをホットで頼んだら、
「わたしが選んでいい?」
そう聞かれたんで、
勿論、お願いします、と。
なんでもない事だけど、
そんなやり取りで、もう、今日はなんかこれで十分だなと、そんな感情になった。笑
まあ、実際にはそんな事はないけど。
彼女は僕の大好きな女優さんなのですが、女優活動はお休み中です。多分。
もしかして辞めた?のかと実は思ってたのですが、どうやらこの日少しだけ話した内容の中に、思わせ振りな事が見え隠れしたんで
なんか有るのかも知れません。
実は会話の彼女が言いかけて辞めた言葉があったんだ。多分女優さんとかモデルさんとか、そういうお仕事的な事。
ただ、そういうのに縛られる事を辞めたいから、違う仕事をしてるのかなと感じてはいたのです。
今はしたい事をする。そういう時を過ごしているのかなと。
何か予定があるなら、もしくは未解禁のものがあるなら、それはとても楽しみ。
彼女は例えば演技が上手いというタイプの女優さんでは、無いと思います。正直に言うと。
じゃ、彼女の良いところは何?というと。
彼女が例えば映画のその、とある1シーンに登場すると、そのカットがなんか落ち着くのだ。まとまるというか、整うのだ。なんかそういう能力や雰囲気があるのだ。あくまでも僕の個人的な感覚ですけど。彼女を知る方々には、理解してくれるかもしれません。でもやはり、その感じは正直上手く言葉では表現は出来ない。なんとか彼女の良さを伝えたいのだけど。
コーヒーを運んできてくれて、丁寧にコーヒーについての説明頂く。
そして、美味しく頂く。
少しだけ会話。
今日は下北沢へ舞台を観にきたんでその前に寄せて頂いた事を告げたのだけど、
実はこっちが主目的な所もあったんだ。勿論そんな事は言わない。
あのね、
お店や場所をハッキリとは明示してはなかったのだけど、インスタになんかわかるような投稿をたくさんしてたので、大阪人の僕ですら予測出来て、実際ほとんど迷う事なく目的地にあっさり辿り着きました。
インスタ見たやつは来いって事でしょ?
そう聞いたら、
笑ってたので、きっと当たりだと思う。
ひとりだったけど、落ち着いてコーヒーを楽しめるお店だったので、
寄り道した価値はありました。
まぁ本日の次の目的地が下北沢なんで、たいして寄り道ではなかったけどね。
彼女はどこに向かってるのだろう。寄り道してるのか、今がそもそも向かってた道なのか。
そんな余計なお世話な事をぼんやり考えながら店の中を眺めていたら、
レジのところで帰ろうとしてる
お母さんと一緒に来ていた小さな女の子に、
しゃがんで、
同じ高さの目線になって、
またね👋と、
その女の子と話している彼女の笑顔が、眼に止まった。
穏やかで優しい表情の横顔。
僕の記憶に永遠に残れと、思った。
そして、
素直に綺麗だなと思ってしまった。
そんな訳で、
勝手に僕の中で、
今年の夏が、始まってしまった。