【問】ネットオークション等でモノを売買した場合は、生活保護上は、利益と売却金のどちらが 収入として認定されるのですか。

 私は、パソコンやインターネットが好きなため、ネットオークション等でモノを売買し、収入を得たいと考えていますが、 ネットオークション等でモノを売買した場合は、生活保護上は、利益と売却金のどちらが 収入として認定されるのですか。 売却金から仕入れ値を差し引いた利益が、収入認定の対象となると考えてよいのですか。

 

 

【答】

 ネットオークション等でモノを売買した場合に、生活保護上の収入認定の対象となるのは、利益と売却金のどちらか ということは、意外に難しい問題です。

 ネットオークション等におけるモノの売買が、事業として認められるならば、仕入れ値は必要経費として認められますし、赤字分も収入認定の際に考慮されると思いますが、 事業として認められない場合は、過去の審査請求における都道府県知事裁決を見ると、仕入れ値は必要経費として認められず、赤字分も収入認定の際に考慮されていません

 つまり、モノの売買全体で赤字であったとしても、黒字となったモノの売却収入のみが 収入認定の対象となり、その仕入れ値も必要経費として控除されていません(下記の参考資料の滋賀県知事の裁決書をご覧ください。)。

 この理由は、自営業として認められない場合は、次官通知第8-3-(2)エ-(イ)にいう「動産の処分による収入」に該当し、その場合は、モノの売買における仕入れ値は、必要経費として認められてないからです。

 

 仮に 自営業として福祉事務所に、毎月きちんと売上額や仕入れ値、必要経費等を申告し、黒字のときは税務署にも申告している場合は、福祉事務所の内部で検討し、自営業として認められる可能性はゼロではないかもしれませんが、 福祉事務所に自営業として申告しておらず、福祉事務所に売却収入が見つかって、後から自営業であったと主張しても認められません。

 

 ネットオークション等においてモノの売買を行ったとき、仕入れ値を必要経費として控除されず、赤字分も考慮されないということに対して、納得できないという方もいると思いますが、 過去の審査請求における都道府県知事裁決を見る限り、仕入れ値が必要経費として認めると判断された事例を見つけることができませんでしたし、判例も探してみましたが、該当する事例を見つけることができませんでした。

 もしかしたら、私が知らないだけで、また、私が見つけることができないだけで、ネットオークション等においてモノの売買を行ったときに、仕入れ値は必要経費として認めることができると判断された事例があるかもしれませんが、いろいろ調べた結果、現在のところ、該当するものを見つけることができませんでした。

 

 また、インターネットで検索すると、「1 ネットオークションによる収入  (2) 保護受給後に保護費のやりくりで購入した物品を売却した場合は、保護期間中の預貯金と同様に取り扱い、収入認定の対象としない。」と書かれているものがありましたが、これは、誤りと思われます。 私も、いろいろ調べましたが、これの根拠となる厚生労働省の通知等を見つけることができませんでした。

 生活保護上は、借入金を含めて、収入があれば すべて福祉事務所に申告することとなっており、福祉事務所に申告した結果、福祉事務所が、厚生労働省の通知等に基づき、収入認定の対象ではないと判断するものもあります。

 例えば、「その他の臨時的な収入」については、福祉事務所に収入申告した場合は、8,000円控除の適用になり、「就労収入」については、最低 15,000円の基礎控除(収入が増えれば、基礎控除額も増えます。)の適用になりますが、  収入申告しなかった場合は、8,000円以下の臨時的な収入や、15,000円以下の就労収入であっても、不正受給とみなされ 8,000円控除や 15,000円の基礎控除の適用にはならないので、注意してください。

 したがって、8,000円以下の臨時的な収入だから、又は 15,000円以下の就労収入だから、福祉事務所に申告する必要はないと、自分で勝手に解釈しないようにしてください。

 

 また、ネットに載っている情報は、正しいものもありますが、時々、間違っているものも見られますので、私のブログの記事を含めて、鵜呑みにせずに、できるだけ いろいろな資料を調べたり、ケースワーカーに確認したりして判断してください(ただし、ケースワーカーも、時々 間違えることがありますので、注意が必要です。)。

 

 最後に、ネットオークション等の収入ではありませんが、競馬等のギャンブル収入を巡って裁判で争われた事例があり、この場合も、赤字分は考慮されず、勝った馬券の収入が、生活保護上の収入認定の対象と判断されています。

 

 

 

(参考)

〇東京都生活保護運用事例集、さいたま市京都生活保護運用事例集

 問8-16 インターネットや携帯電話のネットサービスで得た収入

  被保護者がインターネットや携帯電話のネットサービスにより収入を得た場合の取扱いはどうするか。

 

 答

 保護者がネットを利用し、様々なサービスを利用する機会が増加しており、これに伴いネットオークションやアフィリエイト収入等、様々な形で被保護者が収入を得る機会も生じている。 こうした収入については収入の種類に様々な様態が存在するため、実施機関において詳細な調査を行い、下記の例も参考にして認定されることとされたい。

 

1 ネットオークションによる収入

 保有否認されていた家財であれば、全額を保護開始時からの法第63条適用となる。 保有容認されていた家財を処分した場合は、次8-3-(2)-エ-(イ)により8,000円をこえる額について、認定を行う。

 

2 アフィリエイト(成果保証型広告)による収入

 被保護者がブログサイト等を開設し、アフィリエイト広告等により収入を得た場合、勤労収入とみなすか、その他の収入としてみなすかにより取扱いが異なる。 その者が広告収入を得るために何らかの労働をしていると認められる場合は、勤労収入とすべきであるが、単にサイト又はブログに設置してあるだけの広告から得られる収入まで、同様に取り扱うべきではない。 調査のうえ、福祉事務所において判断されたい。

(1) 調査の結果、勤労収入として扱うこととした場合

   次8-1-(3)により農業以外の事業(自営)収入として扱う。

(2) 調査の結果、その他の収入として扱うこととした場合

   次8-3-(2)-エ-(イ)により8,000円をこえる額について、認定を行う。

 

3 ネットゲーム利用に伴うポイント還付による収入

 携帯ゲームサイトのゲーム利用をする(広告を見る)ことによってポイントが発生し、それを換金するサイトが存在する。 被保護者がこのサイトを利用し、ポイント還元により収入を得た場合、利用者はなんらかの勤労の対価として報酬を得たのではなく、サイト閲覧により収入を得たに過ぎないため、「その他臨時的収入(次8-3-(2)-エ-(イ))」とするのが妥当である。

 

 上記いずれの場合であっても、ネット接続料金や最低限の通信料については経費としてみなす余地があるので留意する。

 

 

 

<滋賀県知事裁決>

裁 決 書

 

                      審査請求人 ○○市○○○○

                                ○○○○

                      上記代理人 ○○市○○○○

                                ○○○○

                      処  分  庁 ○○市福祉事務所長

 

 審査請求人が 平成29年3月7日に提起した処分庁による生活保護法(以下「法」という。)第63条の規定に基づく 生活保護費返還決定に係る審査請求(生活保護費返還決定についての審査請求事件)について、次のとおり裁決する。

 

 

主  文

 本件審査請求に係る処分を取り消す。

 

 

事案の概要

1 平成24年7月17日、処分庁は、審査請求人に対する保護を開始した。

2 平成26年9月19日、審査請求人は、99,036円の携帯電話を24回分割払いで購入した。

3 平成27年11月16日、審査請求人は、138,564円のタブレットを24回分割払いで購入した。

4 平成28年9月11日、審査請求人は、タブレットを売却し、同月13日、決済代金89,701円を受領した。

5 平成28年9月18日、審査請求人は、携帯電話を売却し、同月26日、決済代金59,701 円を受領した。

6 平成28年10月8日、処分庁は、審査請求人から資産申告書および添付資料を受理し、未申告内容が認められたため、その取扱いを説明した。

7 平成29年2月8日、処分庁は、審査請求人に対し、法第63条に基づき、平成28年9月に複数回ネットオークションで所有する携帯電話等を売却し、246,571円を得たことから、これを生活保護法上の収入とみなし、処分庁がネットオークションシステム利用料として算出した21,301円および生活保護法による保護の実施要領について(以下「次官通知」という。)に定める控除額8,000円を差し引いた、217,270円について本件処分を行い、審査請求人に通知した。

8 平成29年3月7日、審査請求人は、滋賀県知事に対し、本件処分を取り消すとの裁決を求める審査請求をした。

 

 

審理関係人の主張の要旨

1 審査請求人の主張

(1)生活保護費返還決定通知書には、審査請求人が平成28年9月にネットオークションにて携帯電話等を売却しており、その売却代金は生活保護法上の収入と認定し、控除後の21万7,270円を返還対象とするというものであるが、収入と認定した判断は誤っており、売却代金全額が収入と認定されているのは不当で、仕入れ対価が経費として控除されていない。

 

(2)生活保護受給以前から所有している物品を売却した場合であればともかく審査請求人が売却した物品は携帯電話、iPad、機械部品であるが、いずれも受給後に生活保護費で購入したものであり、保有を認められた資産を活用したに過ぎない。生活保護費で購入した物品を売却した場合にその金額の返還を求められるとなると、実質的には生活保護費を減額したことと同様であり、最低限の生活が困難となることは明白であり、法第2条、第8条に反し、ひいては法第1条の目的も達成できないという重大な問題を生じる。

 したがって、収入と認定されるのは売却したことで利益が生じた部分に限られるべきであり、仕入れ対価は当然に控除されるべきである。

審査請求人が購入に要した費用は合計26万1,312円で、売却代金合計24万6,571円を上回っており利益は生じておらず、収入はない。

 

(3)審査請求人は、何度かネットオークションで物品を売却しているのであり、自営業として行っていたと評価できるが、自営収入については、必要経費として原材料費や仕入代を控除することと生活保護手帳に明記されているにもかかわらず、ネットオークションのシステム利用料と8,000円の控除しかなされていない。

 

(4)審査請求人は、日々の食事にも困るような生活を行っており、20万円以上の一括返金などできるはずがなく、このような生活状況を十分知っていながら一括返金を求めており、不当というほかない。

 

(5)処分庁は、分割返還に応じているから不当性はないと主張するが、分割であろうと返還を強いられる以上、最低限の生活保障が損なわれることは言うまでもない。

 

 

2 処分庁の主張

 審査請求人は、平成28年9月に複数回インターネットオークションで所有する携帯電話等(以下「携帯電話等」という。)を売却し、246,571円を得たが、その売却代金は、動産の処分による収入であり、生活保護法上の取扱いは、次官通知第8-3-(2)-エ-(イ)において、「不動産又は動産の処分による収入(中略)については、その額(受領するために交通費等を必要とする場合は、その必要経費の額を控除した額とする。)が世帯合算額8,000円(月額)をこえる場合、そのこえる額を収入認定すること。」と定められている。

 また、生活保護法による保護の実施要領について(昭和38年4月1日付け厚生省社発第246 号厚生省社会局長通知(以下「局長通知」という。)第8-1-(5)において、「(1)から(4)までに該当する収入以外の収入はその全額を当該月の収入として認定すること。」と定められている。

 平成28年10月8日に請求人より提出のあった資産申告書および添付資料によると、合計246,571 円の入金が確認できた。

 一方、請求人は各落札価格の8.64%をシステム利用料として支払う必要があることから、その合計金額21,301円を必要経費として認定し、次官通知に定める金額8,000円を控除した金額、217,270 円を法第63条に基づく返還金として決定した。

 

 

理  由

1 本件に係る法令等の規定について

ア 法第1条は、日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的としている。

 

イ 法第4条第1項は、保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われるとしている。

 

ウ 法第31条第1項は、生活扶助は、金銭給付によって行うものとされており、ただし、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によって行うことができるとしている。

 

エ 法第63条は、被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県または市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならないとしている。

 

オ 行政手続法第14条第1項は、行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならないとし、同条第3項は、不利益処分を書面でするときは、その理由は、書面により示さなければならないとしている。

 

カ 次官通知第8-3-(2)-エ-(イ)は、不動産または動産の処分による収入、保険金その他の臨時的収入((3)のオ、カまたはキに該当する額は除く。)については、その額(受領するために交通費等を必要とする場合は、その必要経費の額を控除した額とする。)が、世帯合算額8,000円(月額)をこえる場合、そのこえる額を収入として認定することとしている。

 

 

2 本件処分について

(1)行政手続法上の違法について

 ア 行政手続法第14条第1項は、行政庁は、不利益処分をする場合には、その名宛人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならないとしている。

 

 イ 同項の規定に基づく理由付記については、最高裁判所 平成23 年6月7日第三小法廷判決によれば、「不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される」とし、「同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである」とされている。

 

 ウ これを本件処分についてみると、生活保護費の返還を求めるに当たっては、当該返還の根拠となる収入の事実等について示すのでなければ、その理由を適法に提示したものとはいえないと解すべきであるところ、本件処分に係る保護停止決定通知書においては、返還決定理由を「平成29年9月に複数回ネットオークションで所有する携帯電話等を売却し」としているものの、事案の概要4および5にあるとおり、審査請求人は、平成28年9月に携帯電話等を売却したものであることから、処分の前提となる事実の記載について、明らかな誤りがあると言わざるを得ない。

 したがって、本件処分における理由付記は、行政手続法第14条第1項の要求する理由付記に誤りがあり、違法なものとして取消しを免れない。

 

 

(2)実体法上の判断について

 本件においては、2(1)のとおり、行政手続法上の違法があり、処分の取消しを免れないものであるが、以下、審査請求人が主張している実体法上の違法、不当があるかについても判断する。

 

 ア 審査請求人は、生活保護費で購入した物品を売却した場合にその金額の返還を求められることは、実質的には生活保護費を減額したことと同様であり、購入に要した費用が売却代金を上回ることから、収入を得ておらず、仕入れ対価を控除せずに収入認定することは不当である旨、主張している。

 

 イ このことについて、次官通知第8-3-(1)-ウ-(イ)では、農業以外の事業(自営)収入については、「農業以外の事業収入を得るための必要経費は、(4)によるほか、その事業に必要な経費として店舗の家賃、地代、機械器具の修理費、店舗の修理費、原材料費、仕入代、交通費、運搬費等の諸経費についてその実際必要額を認定すること。」とされ、仕入れ代がその必要経費として示されている。

 一方、局長通知第8-1-(1)から(4)までに該当しない収入は、同通知8-1-(5)の「その他の収入」に該当し、当該収入の算定については、次官通知第8-3-(2)-エ-(イ)において受領するための交通費等のみが控除すべき必要経費として示されている。 このことから、本件収入が自営収入と認められない場合には、売却代金が購入経費を下回っていたとしても、収入の全額が収入認定されることとなる。

 

 ウ 次に、審査請求人は、何度かネットオークションで物品を売却しており、自営業として売却を行っていたと評価できるにもかかわらず、自営業について明記されている必要経費としての仕入れ代金の控除がなされていないことが不当であると主張している。

 

 エ 本件において、審査請求人は、処分庁に対して、「ネットオークションを利用した経緯は、電話等の支払いがぎりぎりで金が入り用であった」旨を主張している。 そして、「収入(無収入)申告書」においても、収入を得ているという記載は見受けられない。

 このような状況から、審査請求人が携帯電話等を売却した行為は、自営業として売却を行ったものではないとみることが相当である。

 

 オ これらのことから、審査請求人が当該携帯電話等を売却して得た代金は、農業以外の事業(自営)収入に該当せず、自己が所有する動産を売却して得た収入であって、次官通知第8-3-(2)エ-(イ)にいう「動産の処分による収入」に該当するものと認められ、携帯電話等を購入した費用は、同(イ)にいう「受領するために交通費等を必要とする場合」の交通費に該当しない以上は、売却代金が購入費用を下回っているか否かにかかわらず、また、当該購入費用が生活保護費により支弁されているか否かにかかわらず、必要経費として認めることはできないというべきである。

 

 カ 一方、審理員意見書では、預金や生命保険の取扱いとの均衡からみて、被保護者が保護受給中に購入した物品の売却により一定額の預金を有することになったとしても、生活保護の趣旨に反しない目的に使用される限りは、補足性の原則に反した資産を有したと考えるべきではないとしている。

 また、実質的に、割賦販売を利用して購入した物品について、割賦代金を控除せず、売却代金を法第63条による返還対象とする場合は、割賦債務のみが被保護者に残る結果、既に保護状態にある被保護者の生活状況はより困窮状態に陥ることとなり、生活保護の目的である自立の助長の目的を達することは不可能であるとしている。

 以上のような判断を前提として、審理員意見書では、次官通知第8-3の記述について、収入認定の基本的な考え方としては、総収入からこれを生じるために必要な経費を差し引いた、終局的に被保護者の手元に残り利用可能な額を収入認定額としていると解した上で、物品の売却についての収入は、売却代金から購入額を控除した値上がり益部分を収入認定額とするべきとしている。

 

 キ しかしながら、法第63条および当該規定に関係する通知等によれば、収入認定の考え方は、上記オのとおりであって、値上がり益部分を収入認定額とすべきとする審理員意見書において示された判断は、直接その根拠を見出すことができず、法定受託事務である本件においては、その主張を採ることはできない。

 

 ク したがって、当該収入をその他の収入として認定した処分庁の判断は妥当であると認められる。

 

 

3 審理員意見書と異なる理由および結論

 審理員意見書においては、法第63条の要件を欠く違法があるとして取り消されるべきとの意見であったが、滋賀県行政不服審査会の答申を踏まえ再検討した結果、本件処分は、実体法上の違法、不当は認められないものの、行政手続法第14条第1項の要求する理由付記の不備の違法が認められることから、本件処分は取消しを免れ得ないと判断する。

 よって、本件審査請求には理由があることから、行政不服審査法第46条第1項の規定により、主文のとおり裁決する。

 

 

    平成 31年2月25日

                    審査庁 滋賀県知事 三日月 大造