「生活保護裁定データベース」は、花園大学社会福祉学部の吉永 純 教授が中心となって、2006年度~2021年度の都道府県知事裁決について、各都道府県の情報公開条例に基づき収集されたものや、総務省の「行政不服審査裁決・答申検索データベース」から収集されたもの、個別に提供されたものなどです。
その中から、私が、家具什器費関連の裁決を選びました。 裁決書の詳細を知りたい方は、「生活保護裁定データベース」から裁決書をダウンロードしてください。
家具什器費の申請を考えている方は、参考にしてください。
また、このブログの10月8日の記事「生活保護と家具什器費(№1)のコメント欄の相談者の方が、東大阪市西福祉事務所のケースワーカーと 家具什器費について やり取りを行っていますので、その参考になると思います(この福祉事務所のケースワーカーの対応は、本当に酷いものです。)。
・大阪府(2012-03-26)【冷蔵庫、洗濯機の必要性判断】
家具什器費で冷蔵庫、洗儷機を支給する場合、個々の事情について緊急性・必要性が検討されていなければならないとし、徒歩圏内にスーパー、コインランドリーがあるからといってそれで足るとは判断できないとして、処分庁の不支給処分を取消した事案。
・宮城県(2011-06-02)【家具什器費(特別基準・真にやむを得ない事情)】
当該家具什器は、健康で文化的な最低限度の生活水準の維持、又憲法で保障されて個人のプライバシー保護のために必要な物であり、社会生活を営む上で基礎的且つ緊急性が認められる物と認められるから、特別基準を設定すべきとした事案。
・栃木県(2006-11-06)【家具什器費(冷蔵庫)】
今日における一般的な社会生活を営む上で、冷蔵庫は 最も基礎的かつ日常的な家具什器のーつというべきであり、これらの事情を考慮しない処分庁の判断(「冷蔵庫は家具什器費の支給品目として認定しません」)は狭きに失するとした事案。
・埼玉県(2013-10-29)【家具什器費(特別基準・真にやむを得ない事情)】
処分庁は請求人が保護申請前にすでに居宅生活をしていたことから、当該特別基準を認定すべき「真にやむを得ない事情」はないとするが、請求人に譲与された家具什器は、日常生活に必要なものの一部であり、特別基準の適用が不要であるとは言えないとした事案。
・千葉県(2012-12-26)【家具什器費(全自動洗濯機)】
家具什器として全自動洗濯機を不支給にした処分に関して、「洗濯機は、それがいかなる型式のものであるかを問わず、現代においては、社会通念上、最低生活に必要不可欠な物資である」から妥当性を欠くというほかないとした事案。
・北海道(2015-02-09)【家具什器費(洗濯機)】
洗濯機は、保護受給中であっても保有が容認されるものであって、必要性及び緊急性が認められる場合には、家具什器費を認定してよく、事前相談がないことや 申請前に家具什器を購入ずることは不支給理由とはならないとした事案。
・香川県(2015-12-22)【決定書未送付】
処分庁は、診断会議を開催し、電化製品の購入費用 及び 浴槽撤去費用の支給をしないことを決定し、請求人に対し、口頭でその旨伝えているが、法24条9項で準用する同条3項の規定により書面による通知をすべきであった事案。
・大阪府(2015-10-07)【理由付記】
処分理由として「厚生労働省・援護局保護課長通知(第7-30)答1~16の『転居に際し、敷金等を必要とする場合』に該当しないため。」では不十分とした事案。
・北海道(2018-10-02)【家具什器費(冷蔵庫)】
家具什器の冷蔵庫の申請について、冷蔵庫がなければ、長期にわたり、買い物のための頻繁な外出を強いることになるから、最低限度の生活を維持しることが困難な状態にあったと認めることができ、必要性及び緊急性が認められ、これを却下した原処分は違法とした事案。
・大阪府(2018-12-11)【家具什器費(冷蔵庫、洗濯機)】
保護開始時に冷蔵庫と洗濯機の持ち合わせがなかった受給者が、家具什器費用の支給を求めたところ、コンビニとコインランドリーが近在することを理由に拒否されたところ、冷蔵庫についてのみ、個々の世帯の状況に応じた判断をしていないとして、申請却下処分を取り消した事案(補足: 大阪府は、冷蔵庫については、家具什器費の支給を認めたが、洗濯機については、緊急性がないとして家具什器費の支給を認めなかった。)。
・神奈川県(2021-06-07)【家具什器費(冷蔵庫、特別基準)】
冷蔵庫は 現代の生活において最も必要性の高い家具什器の一つである。 被保護世帯において、冷蔵庫を保有する必要性は特に高い。 夏は自炊する上で冷蔵庫で保管できないとなると、健康に及ぼす影響も大きく、保有を認める必要性の高い。 合理的理由も見当たらないとした事案。