【問】私は,保護申請時に 家具什器をほとんど所有していないので、担当ケースワーカーに家具什器費の相談をしましたが、担当ケースワーカーから、家具什器費の支給要件に該当しないため 支給できないと言われました。 担当ケースワーカーの説明には、納得できません。

 

(「コメント欄」に相談がありましたので、参考に載せます。)

 

 私は、先日 生活保護を申請し、家具什器をほとんど所有していなかったため、担当ケースワーカーに 家具什器費の申請について相談しましたが、担当ケースワーカーから、あなたは家具什器費の支給要件に該当しないので、家具什器費は支給できないと言われました。

 しかし、私は、保護申請時に家具什器をほとんど所有してないため、家具什器費の支給要件に該当すると思いますので、担当ケースワーカーの説明に納得できません。 

 何かアドバイスがありましたら、お願いします。

 

 

【答】

 結論から言いますと、あなたは、家具什器費の支給要件に該当しますので、家具什器費を受給することができます。 担当ケースワーカーが言っていることは、明らかに間違いです。 こんなケースワーカーがいるから、生活保護の申請者や受給者が 困るのです。 福祉事務所が 後で言い逃れができないように、ケースワーカーなどとのやり取りは、必ず録音し、証拠を残すようにしてください。

 

 今後の対応方法としては、担当ケースワーカーに話しても、同じ対応しかしないでしょうから、まず、担当ケースワーカーの上司である係長(査察指導員)に電話し、事情を説明してください。

 係長が きちんと対応してくれないときは、課長に電話して 事情を説明してください。 担当ケースワーカーが対応してくれなくても、おそらく 係長又は課長が、対応してくれると思います。

 しかし、係長や課長が きちんと対応してくれないときは、各地域の生活保護支援ネットワークなどの生活困窮者支援団体に相談したり、法テラスを通じて 弁護士や司法書士に相談し、福祉事務所の係長や課長に電話してもらうか、同行してもらいましょう。

 

 次に、担当ケースワーカーから、「生活一時扶助(家具什器費)申請書」をもらってください。

 担当ケースワーカーが申請書をくれないときは、係長や課長に電話してください。

 

 このブログの6月4日の記事「生活保護の申請」をご覧いただきたいのですが, 仮に福祉事務所が、生活一時扶助(家具什器費)申請書を渡さないときは,生活保護の申請は 非要式行為ですから,その福祉事務所が定めた申請書の様式ではなく,普通の用紙に,「住所,氏名,生年月日,(電話番号),生活保護の家具什器費を申請すること」を記載し,福祉事務所に提出すればよいこととされています。

 そして,祉事務所は,申請の意思がある場合は,必ず申請書を渡し 受理しなければならず,ケースワーカーは,口頭で申請を拒否してはならないこととなっています。

 8月4日の記事「生活保護の申請」に書いたのは、生活保護の新規申請の場合についてですが、この内容は、家具什器費の申請の場合にも当てはまります。

 

 次に、生活一時扶助(家具什器費)申請書に 家電製品等の見積書を添付して、福祉事務所に 生活一時扶助(家具什器費)申請書を提出してください。

 

 仮に担当ケースワーカーが,生活一時扶助(家具什器費)申請書を受理しないときは,福祉事務所の係長や課長に電話したり,役所の苦情相談窓口に相談したり,書留郵便で福祉事務所に 生活一時扶助(家具什器費)申請書を郵送したり,各地域の生活保護支援ネットワークなどの生活困窮者支援団体や 法テラスに相談し,支援者や 弁護士,司法書士などに福祉事務所に同行してもらいましょう。

 

 次に,福祉事務所は,生活一時扶助(家具什器費)申請書を受理したときは,担当ケースワーカーは、申請があった家具什器を所有していないかどうかを調査する義務があります。

 そして、福祉事務所は,申請から原則として2週間以内に家具什器費を支給するか否かの決定を行わなければならないとされており,福祉事務所が,家具什器費を支給しないときは,却下理由を明記した「生活一時扶助(家具什器費)却下通知書」を 申請者に交付しなければならないここととなっています。

 

 あなたは、この却下理由に納得できないときは,大阪府知事に審査請求(不服申立)を行うことができます。 あなたが、家具什器費の却下処分に対して審査請求を行えば,大阪府知事は,その却下処分を取り消すと思います。

 

 このブログの10月8日の記事「生活保護と家具什器費(№1)」にも書いたとおり、保護申請時に、冷蔵庫等の家電製品などを所有してないときは、家具什器費(35,800(平成7年度)の範囲内)の支給を受けることができます。

 また、家電製品等の家具什器を全く所有してないときなどは、特別基準の家具什器費57,000円(平成7年度)の範囲内)の支給を受けることができます。

 

 また,あなたが 暖房器具の持ち合わせがないときは,暖房器具の購入に要する費用について,通常の家具什器費(32,300円の範囲内)とは別に29,000円(平成7年度)の範囲内で暖房器具の購入費(家具什器費)の支給を受けることができます。

 

 さらに,あなたが 冷房器具の持ち合わせがないとき(近年は アパートにエアコンが付いていることが多いと思いますが),来年の夏は 冷房器具の購入に要する費用について,通常の家具什器費(32,300円の範囲内)や 暖房器具の購入費(24,000円の範囲内)とは別に73,000円(平成7年度)の範囲内で 冷房器具の購入費(家具什器費)の支給を受けることができます。

 

 

 

(参考)

〇生活保護手帳

 問(第9の1)

 生活保護の面接相談においては,保護の申請意思はいかなる場合にも確認しなくてはならないのか。

 

 答

 相談者の保護の申請意思は,例えば,多額の預貯金を保有していることが確認されるなど生活保護に該当しないことが明らかな場合や,相談者が要保護者の知人であるなど保護の申請権を有していない場合等を除き確認すべきものである。

 なお,保護に該当しないことが明らかな場合であっても,申請権を有する者から申請の意思が表明された場合には申請書を交付すること

 

 

 問(第9の2)

 相談段階で扶養義務者の状況や援助の可能性について聴取することは申請権の侵害に当たるか。

 

 

 扶養義務者の状況や援助の可能性について聴取すること自体は申請権の侵害に当たるものではないが,「扶養義務者と相談してからではないと申請を受け付けない」などの対応は申請権の侵害に当たるおそれがある。

 また,相談者に対して扶養が保護の要件であるかのごとく説明を行い,その結果,保護の申請を諦めさせるようなことがあれば,これも申請権の侵害にあたるおそれがあるので留意されたい。

 

 

 

○局第7-2-(6)  家具什器費(令和7年度)

ア 炊事用具,食器等の家具什器

 被保護世帯が次の(ア)から(オ)までのいずれかの場合に該当し,次官通知第7に定めるところによって判断した結果,炊事用具,食器等の家具什器を必要とする状態にあると認められるときは,35,800円の範囲内において特別基準の設定があったものとして家具什器(イ及びウを除く。)を支給して差し支えないこと。

 なお,真にやむを得ない事情により,この額により難いと認められるときは,57,000円の範囲内において,特別基準の設定があったものとして家具什器(イ及びウを除く。)を支給して差し支えないこと。

 

(ア)保護開始時において,最低生活に直接必要な家具什器の持合せがないとき。

 

(イ)単身の被保護世帯であり,当該単身者が長期入院・入所後に退院・退所し,新たに単身で居住を始める場合において,最低生活に直接必要な家具什器の持合せがないとき。

 

(ウ)災害にあい,災害救助法第4条の救助が行われない場合において,当該地方公共団体等の救護をもってしては,災害により失った最低生活に直接必要な家具什器をまかなうことができないとき。

 

(エ)転居の場合であって,新旧住居の設備の相異により,現に所有している最低生活に直接必要な家具什器を使用することができず,最低生活に直接必要な家具什器を補填しなければならない事情が認められるとき。

 

(オ)犯罪等により被害を受け,又は同一世帯に属する者から暴力を受け,生命及び身体の安全の確保を図るために新たに借家等に転居する場合において,最低生活に直接必要な家具什器の持合せがないとき。

 

イ 暖房器具

 被保護世帯がアの(ア)から(オ)までのいずれかに該当した場合であって,それ以降,初めて到来する冬季加算が認定される月において,最低生活に直接必要な暖房器具の持ち合わせがないときは,暖房器具の購入に要する費用について,29,000円の範囲内において,特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。

 なお,被保護世帯が居住する地域の気候条件や住宅設備の状況等により,FF式又は煙突式等の暖房器具を購入する必要がある場合など,暖房器具の購入に要する費用が29,000円をこえることが,真にやむを得ないと実施機関が認めたときは,暖房器具の購入に要する費用について,73,000円の範囲内において,特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。

 

ウ 冷房器具

 被保護世帯がアの(ア)から(オ)までのいずれかに該当し,当該被保護世帯に属する被保護者に熱中症予防が特に必要とされる者がいる場合であって,それ以降,初めて到来する熱中症予防が必要となる時期を迎えるに当たり,最低生活に直接必要な冷房器具の持ち合わせがなく,真にやむを得ないと実施機関が認めたときは,冷房器具の購入に要する費用について,73,000円の範囲内において,特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。

 

エ 支給方法

 アからウまでの場合においては,収入充当順位にかかわりなく,現物給付の方法によること。

 ただし,現物給付の方法によることが適当でないと認められるときは,金銭給付の方法によっても差し支えないこと。

 なお,これらの家具什器の購入に際して設置費用が別途必要な場合であって,真にやむを得ないと実施機関が認めたときは,アからウまでとは別に特別基準の設定があったものとして,当該家具什器の設置に必要な最小限度の額を認定して差し支えないこと。

 

 

 

○保護課長通知

 問(第7の99)

 局長通知第7の2の6のイの「暖房器具」の支給に当たり、暖房機能に加えて、冷房機能を有する器具の購入を認めてよいか。

 

 答

 お見込みのとおり取り扱って差し支えない。

 この場合の特別基準の額については、局長通知第7の2の6のウの「熱中症予防が特に必要とされる者」がいる世帯に該当する場合は、局長通知第7の2の6のウに定める額の範囲内とし、「熱中症予防が、特に必要とされる者」がいる世帯に該当しない場合は、局長通知第7の2の6のイに定める低い額の範囲内とすること。

 また、局長通知第7の2の6のウの「冷房器具」の支給に当たっても、冷房機能に加えて、暖房機能を有する器具の購入を認めて差し支えない。

 なお、冷房器具と暖房器具のいずれも所持していない「熱中症予防が特に必要とされる者」がいる世帯については、両方の機能を有するものを購入するよう勧奨されたい。

 

 

 問(第7の100)

 局長通知第7の2の6のウの「熱中症予防が特に必要とされる者」とは、どのような者が 該当するのか。

 

 答

 体温の調節機能への配慮が必要となる者として、高齢者、障害(児)者、小児及び難病患者 並びに被保護者の健康状態や住環境等を総合的に勘案の上、保護の実施機関が必要と認めた者が該当する。

 

 

 問(第7の101)

 局長通知第7の2の6のウに「熱中症予防が必要となる時期」とあるが、必要となる時期は どのように判断すればよいか。

 

 答

 保護の実施機関において、被保護者が居住する 地域の気温の状況、被保護者の健康状態や、都道 府県衛生主管部局等における熱中症予防に関する注意喚起の状況等を総合的に勘案の上、判断され たい。

 

 

 

〇生活保護手帳・別冊問答集

 ‥‥‥‥ 本人の申請権を侵害してはならないことはいうまでもなく,申請権が侵害されていると疑われるような行為も厳に慎むべきことに十分留意する必要がある

 ‥‥‥‥ いかなる場合においても,本人から保護申請の意思が表明された場合には,速やかに申請書を交付するなどの対応が必要である

 

 

問9-1 口頭による保護の申請

(問)

 生活保護の申請を口頭で行うことは認められるか。

 

(答)

 生活保護の開始申請は,必ず定められた方法により行わなくてはならないというような要式行為ではなく,非要式行為であるとされている。 法第24 条第1項においては「保護の開始を申請する者は,‥‥(中略)‥‥ 申請書を保護の実施機関に提出して行わなければならない。 ただし,当該申請書を作成することができない特別の事情があるときは,この限りでない。」と規定しており,当該規定も書面による申請を保護の要件としているものではないと考えられる。 したがって,申請は必ずしも書面により行わなければならないとするものではなく,口頭による開始申請も認められる余地があるものといえる。

 一方で,法第24 条第3項は「保護の実施横関は,保護の開始の申請があったときは,保護の安否,種類,程度及び方法を決定し,申請者に対して書面をもって,これを通知しなければならない」としているなど,保護の申請は 実施機関側に一定の義務を課すものとなっている。

 確かに前記のとおり,申請書の提出自体は保護の要件ではなく,一般論としては口頭による保護申請を認める余地があるものと考えられるが,保護の決定事務処理関係や,保護申請の意思や申請の時期を明らかにする必要があることからも,単に申請者が申請する意思を有していたというのみでは足らず,申請者によって,申請の意思を明確に表示することにより,保護申請が行われたかどうを客観的に見ても明らかにしておく必要がある。

 したがって,口頭による保護申請については,申請を口頭で行うことを特に明示して行うなど,申請意思が客観的に明確でなければ,申請行為と認めることは困難である。 実施機関としては,そのような申し出があった場合には,あらためて書面で提出することを求めたり,申請者の状況から書面での提出が困難な場合等には,実施機関側で必要事項を聴き取り,書面に記載したうえで,その内容を本人に説明し署名捺印を求めるなど,申請行為があったことを明らかにするための対応を行う必要がある。

 なお,申請にあたって提出された書類に必要事項さえ記載されていれば,たとえそれが定められた申請書によって行われたものでなくても,有効となるので留意が必要である

 

 

問7-43 家具什器費における実施機関限りの特別基準設定について

(問)

 局第7の2の(6)のアのなお書にいう「真にやむを得ない事情」とは,どのような事情が考えられるか。

 

(答)

 例えば,災害にあい家具の大部分を失った場合や,長期間入院していた単身者が,退院して新たに自活するに際し,全く家具什器を所持していない場合などが考えられる。

 家具什器費の認定に当たっては,地域における低所得世帯の生活実態,当琴世帯人員の状況等からみて,最低生活に必要な最小限度の家具什器の程度を的確にとらえるとともに,例えば,罹災世帯であれば消失の程度,他からの援助の有無等を十分調査検討の上取り扱う必要がある。

 

 

問7-45 家具什器費の支給対象品目

(問)

 保護開始時,長期入院・入所後の退院・退所時等において,冷蔵庫・電子レンジ等の保護受給中に保有が容認される物品を保有していない場合,これらの物品を家具什器費の支給対象としてよいか。

 

(答)

 日常生活に必要な物品については,本来,経常的な生活費の範囲内で,計画的に購入すべきである。

 冷蔵庫,電子レンジ等の保護受給中に保有が容認される物品を保護開始時に保有していなければ,一時扶助の支給基準である「最低生活に必要な物品を欠いていると認められる場合であって,それらの物資を支給しなければならない緊急やむを得ない場合」に該当するか否かを個々の世帯の状況に応じて判断し,その結果,必要性および緊急性が認められる場合には,家具什器費を認定して差し支えない。

 なお,必要性および緊急性が認められない場合には経常的な生活費の中から順次 購入していけば足りるものであり,家具什器費を認定することは適当でない。

 

 

 

○東京都生活保護運用事例集

(問6-36) 家具什器費の認定基準(平成27年度修正版)

 保護開始時において,最低生活に直接必要な家具什器の持ち合わせがない場合等には,家具什器費を支給できることとなっているが,その際の認定基準について示されたい。

 

 家具什器費の認定に当たっては,次の点に留意のうえ,支給する。

 

1 臨時的最低生活費(一時扶助)の基本的な考え方

 被保護者は,経常的な最低生活費の範囲内において,通常予測される生活需要のすべてを賄うべきであるが,特別の需要のある者について,最低生活に必要不可欠な物資を欠いていると認められる場合であって,それらを支給しなければならない事情があるときに限って,一時扶助は認定されるものである。

 

2 家具什器費を認定する場合の特別の需要

 局長通知第7の2の(6)のア,イ,ウ,エ(保護開始時,長期入院後の退院等の場合の単身者,災害,転居)のいずれかの場合に該当すること。

この他,被保護世帯が世帯分割する場合,簡易宿所からアパートへ転居する場合等も,上記1の考え方に照らし,真にやむを得ない事情があれば認定することができる。

 

3 認定する家具什器の範囲

(1)炊事用具,食器,食卓等の居宅における食事のために直接必要な物品

(2)衣類等の収納具

(3)照明用具,カーテン等居室に不可欠の物品及び冷暖房器具

(4)清掃,洗濯等のための器具

(5)その他最低生活に直接必要な物品(娯楽用品,消耗品は,対象外。)

 

4 認定する場合の留意点

(1)最低生活に必要不可欠な物資を欠いているかどうかは,必ず実地に訪問調査のうえで確認する。

 

(2)申請のあった家具什器を支給しなければならない事情があるかどうかは,当該被保護者の個別の事情を十分に把握・検討のうえで判断しなければならない。

 保護開始時,長期入院後の退院等の場合の単身者,災害,転居の場合のそれぞれで事情が異なるものであるから,それに応じた家具什器の種類,規格等を認定する。

 家具什器について品目が限定されるものではないが,必要な物が複数ある場合は,限度額又は特別基準額を考慮しつつ,必要性の高いものから購入するよう助言する。

 

(3)27,000円の額により難いと認められるときは,43,200円の範囲内において,支給することができる。また,更にこの限度額を超えて費用を必要とする特別な事情があると認められるときの取扱いについては,(問12-15)の「特別基準設定に係る情報提供の事務処理要領」を参照されたい。

 

(注)下線部分の額(家具什器費)は 平成27年度基準