【問】転居するときや 単身者が亡くなったときに,家財処分料が支給されない理由は,何ですか。
私は,基準額を超える家賃の住居に住んでいるため,担当ケースワーカーから,基準内の家賃の住居に転居するよう指導を受け,現住居より狭い住居に転居することになりました。
そのため,保有している家財の3割くらいを処分しないと,新しい住居に家財が入らないのですが,担当ケースワーカーからは,転居の場合は 家財処分料は支給できないと言われました。
担当ケースワーカーから転居指導を受け,狭い住居に転居するにもかかわらず,家財処分料が支給できないって,おかしくないですか。
また,現住居の家主から,単身者の生活保護受給者が亡くなったときも,役所から 家財処分料は支給されないと聞きましたが,これはどうしてですか。
【答】
家財処分料が支給されるのは,厚生労働省の通知では,次の参考資料のとおり,「賃貸住宅などに住む単身の生活保護受給者が,病院に入院し,又は 介護施設や社会福祉施設,有料老人ホームなどに入所し,入院・入所見込期間が 6か月を超えることにより 家財の処分が必要な場合」とされています。
したがって,残念ですが,あなたのように,担当ケースワーカーから転居指導を受け,転居した場合であっても,福祉事務所から家財処分料は支給されないこととなっています。
そのため,生活保護受給者の方は,粗大ごみの処分手数料が免除となっている市町村もありますので,転居する前に,燃えるごみや 燃えないごみ,粗大ごみとして,少しずつ家財を処分していくしかないと思います。
ただし,エアコンやテレビ,冷蔵庫,冷凍庫,洗濯機,衣類乾燥機は,家電リサイクル法により 事業者がリサイクルすることとされており,市町村では収集しないこととなっていますので,これらの家電製品の処分方法については,あなたが住む市町村に問い合わせてください。
また,単身者の生活保護受給者の方が亡くなられたときは,亡くなられた日の翌日付で 生活保護は廃止され,その家財の処分は,亡くなられた本人ではなく,その遺族が行うものですので,生活保護を受けてない遺族に対して,家財処分料は支給されません。
遺族がいない場合については,ある自治体の生活保護運用事例集を見ると,「民法上 相続人のない者の財産の処分は,相続財産管理人により行われることとなっており,生活保護法第76条に基づき売却して葬祭扶助に充てる場合には処分できますが,それ以外の場合には,行政庁が 勝手に家財を処分することはできないため,これに生活保護費を支給することは 法律上問題があることから,家財処分料は支給できない。」と書かれていました。
そのため,遺族がいないときは,原状回復費用等として,賃貸人が 敷金から家財処分料を支払うことになるのでしょうか(この件については,あまり詳しくないので,間違っていたら 申し訳ありません。)。
なお,遺族(相続人)がいる場合は,賃貸人であっても,勝手に賃借人の家財を処分することはできないので,その遺族に敷金を返還し,家財の処分等を依頼することになります。
(参考)
〇局長通知 第7-2-(10)
オ 家財処分料
借家等に居住する単身の被保護者が,医療機関,介護老人保健施設(老健),職業能力開発校,社会福祉施設,無料低額宿泊所,日常生活支援住居施設等に入院若しくは入所し,又は 有料老人ホーム若しくはサービス付き高齢者向け住宅に入居し,入院若しくは入所又は入居見込期間(入院若しくは入所又は入居後に被保護者となったときは,被保護者になった時から)が 6か月を超えることにより 真に家財の処分が必要な場合で,敷金の返還金,他からの援助等によりそのための経費を賄うことができないものについては,家財の処分に必要な最小限度の額を特別基準の設定があったものとして認定して差しつかえない。