【問】転居の際に,エアコン購入費は 支給してもらえるのですか?

 私は,生活保護の基準額を上回る家賃のアパートに住んでいるため,役所の担当者の転居指導により,今回,生活保護の基準額内の家賃のアパートに転居することになりました。

 しかし,以前のアパートにはエアコンが付いていましたが,家賃が安いためか,新しいアパートには エアコンが付いていません。 エアコンは安いものでも6万円以上はしますが,エアコン購入費は,役所から支給してもらえますか。

 

 

【答】

 あなたは,役所から生活保護費の家具什器費として,エアコン購入費を支給してもらえます。

 ただし,令和5年度の上限額は 62,000円で,購入費が 62,000円を超えたときは,62,000円を超えた分は 自己負担になります。 また,エアコンの設置費用が必要なときは,設置費用は 別途 支給してもらえます

 

 アパートなどにエアコンが付いてないときは,以前は,生活保護費をやり繰りしてエアコンを購入する必要がありましたが, 数年前から熱中症で入院したり,亡くなったりする人が増加したため,平成30年4月から,アパートなどにエアコンが付いてないときは,生活保護費の家具什器費として,エアコン購入費を支給してもらえるようになりました。

 ただし,エアコン購入費には支給条件があり,生活保護の新規開始時に家にエアコンが付いてないか,エアコンが付いていても故障して使用できない場合や,長期入院している単身者が 退院しアパートを借りる際に,そのアパートにエアコンが付いてない場合などが支給の条件となります(詳しくは,下記の「参考」を参照してください。)。

 

 あなたの場合は,以前のアパートにはエアコンが付いていて,新しいアパートにはエアコンが付いていませんので,エアコン購入費の支給条件の転居の場合であって,新旧住居の設備の相異により,現に所有している最低生活に直接必要な家具什器を使用することができず,最低生活に直接必要な家具什器を補填しなければならない事情が認められるとき」該当するため,エアコン購入費を支給してもらえます(なお,下記の参考資料別冊問答集」問7-43-2〔転居の場合の家具什器費の支給について〕及び「東京都生活保護運用事例集」(問6-36-3)「家具什器費(冷房器具)の認定基準」を参考にしてください。)。

 

 しかし,家主が部屋にエアコンを付けている場合は,エアコンが故障したときは,家主からエアコンを修理してもらえますが,自分でエアコンを購入し設置している場合(役所から家具什器費として エアコン購入費を支給されている場合を含む。)は,エアコンが故障したときは,その修理費や購入費は,役所から生活保護費として支給してもらえないので,生活保護費をやり繰りして 自分で修理費や購入費を捻出する必要があります。

 

 また、家族がたくさんいて,部屋数が多くても,どこかの部屋にエアコンが1台でも設置されているときは,エアコン購入費は支給できない とされていますので,注意してください。

 

 

 

(参考)

〇局長通知

 第7-2-(6)   家具什器費(令和5年度)

  ア 炊事用具,食器等の家具什器

 被保護世帯が 次の(ア)から(オ)までのいずれかの場合に該当し,次官通知第7に定めるところによって判断した結果,炊事用具,食器等の家具什器を必要とする状態にあると認められるときは,32,300円の範囲内において特別基準の設定があったものとして家具什器(イ及びウを除く。)を支給して差し支えないこと。

 なお,真にやむを得ない事情により,この額により難いと認められるときは,51,500の範囲内において,特別基準の設定があったものとして家具什器(イ及びウを除く。)を支給して差し支えないこと。

 

 (ア)保護開始時において,最低生活に直接必要な家具什器の持合せがないとき。

 

 (イ)単身の被保護世帯であり,当該単身者が長期入院・入所後に退院・退所し,新たに単身で居住を始める場合において,最低生活に直接必要な家具什器の持合せがないとき。

 

 (ウ)災害にあい,災害救助法第4条の救助が行われない場合において,当該地方公共団体等の救護をもってしては,災害により失った最低生活に直接必要な家具什器をまかなうことができないとき。

 

 (エ)転居の場合であって,新旧住居の設備の相異により,現に所有している最低生活に直接必要な家具什器を使用することができず,最低生活に直接必要な家具什器を補填しなければならない事情が認められるとき。

 

 (オ)犯罪等により被害を受け,又は同一世帯に属する者から暴力を受け,生命及び身体の安全の確保を図るために新たに借家等に転居する場合において,最低生活に直接必要な家具什器の持合せがないとき。

 

 イ 暖房器具  (略)

 

 ウ 冷房器具

 被保護世帯がアの(ア)から(オ)までのいずれかに該当し,当該被保護世帯に属する被保護者に熱中症予防が特に必要とされる者がいる場合であって,それ以降,初めて到来する熱中症予防が必要となる時期を迎えるに当たり,最低生活に直接必要な冷房器具の持ち合わせがなく,真にやむを得ないと実施機関が認めたときは,冷房器具の購入に要する費用について,62,000円の範囲内において,特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと

 

 エ 支給方法

 アからウまでの場合においては,収入充当順位にかかわりなく,現物給付の方法によること。 ただし,現物給付の方法によることが適当でないと認められるときは,金銭給付の方法によっても差し支えないこと。

なお,これらの家具什器の購入に際して設置費用が別途必要な場合であって,真にやむを得ないと実施機関が認めたときは,アからウまでとは別に 特別基準の設定があったものとして,当該家具什器の設置に必要な最小限度の額を設定して差し支えないこと。

 

 

 

○保護課長通知

 問(第7の99)

 局長通知第7の2の6のイの「暖房器具」の支給に当たり、暖房機能に加えて、冷房機能を有する器具の購入を認めてよいか。

 

 答

 お見込みのとおり取り扱って差し支えない。

 この場合の特別基準の額については、局長通知第7の2の6のウの「熱中症予防が特に必要とされる者」がいる世帯に該当する場合は、局長通知第7の2の6のウに定める額の範囲内とし、「熱中症予防が、特に必要とされる者」がいる世帯に該当しない場合は、局長通知第7の2の6のイに定める低い額の範囲内とすること。

 また、局長通知第7の2の6のウの「冷房器具」の支給に当たっても、冷房機能に加えて、暖房機能を有する器具の購入を認めて差し支えない。

 なお、冷房器具と暖房器具のいずれも所持していない「熱中症予防が特に必要とされる者」がいる世帯については、両方の機能を有するものを購入するよう勧奨されたい。

 

 

 問(第7の100)

 局長通知第7の2の6のウの「熱中症予防が特に必要とされる者」とは、どのような者が 該当するのか。

 

 

 体温の調節機能への配慮が必要となる者として、高齢者、障害(児)者、小児及び難病患者 並びに被保護者の健康状態や住環境等を総合的に勘案の上、保護の実施機関が必要と認めた者が該当する。

 

 

 問(第7の101)

 局長通知第7の2の6のウに「熱中症予防が必要となる時期」とあるが、必要となる時期はどのように判断すればよいか。

 

 

 保護の実施機関において、被保護者が居住する 地域の気温の状況、被保護者の健康状態や、都道 府県衛生主管部局等における熱中症予防に関する注意喚起の状況等を総合的に勘案の上、判断されたい。

 

 

 

〇別冊問答集

問7-43-2〔転居の場合の家具什器費の支給について〕(令和6年度 追加)
 局第7の2の(6)のアの(エ)にいう「現に所有している最低生活に直接
必要な家具什器を使用することができず」とはどのような状況を指すのか。

 

(答)

 原則として,被保護者自身が現に所有している家具什器が,新旧住居の設備の相異により使用することができない場合を指す。

 例えば,現にエアコンを保有している被保護者が,保有している当該エアコンを設置することができない住居に転居する場合であって,実施機関において,その転居の必要性を認め,かつ,最低生活に直接必要な家具什器を補填しなければならない事情が認められる場合などである。

 ただし,例えば,現に賃貸人により備え付けられたエアコンの設備を有する住居に居住している者が,エアコンの設備を有しない住居に転居することについて,エアコンの購入費用の支給対象とすることも踏まえた上で 適切である と実施機関が認める場合なども 含めて差し支えない
 なお,保護受給中の家具什器の購入については,保護費のやり繰りにより行われるべきものであることから,エアコンなどの家具什器費の購入費用の支給を受けることを目的とした転居が適切でないということは言うまでもない。

 

 

 

○東京都生活保護運用事例集

 (問6-36-3) 家具什器費(冷房器具)の認定基準

(問)

 保護開始時において,最低生活に直接必要な家具什器の持ち合わせがない場合等であって,最低生活に直接必要な冷房器具の持ち合わせがなく,真にやむを得ないと実施機関が認めたときは,冷房器具の購入に要する費用を支給できることとなっているが,その際の認定基準等について示されたい。

 

(答)

1 冷房器具の認定基準

 平成30年4月1日以降に問6-36の2のいずれかに該当する場合であって,当該被保護世帯に属する被保護者に熱中症予防が特に必要とされる者がいる場合であって,それ以降,初めて到来する熱中症予防が必要となる時期を迎えるに当たり,最低生活に直接必要な冷房器具の持ち合わせがないときは,冷房器具の購入に要する費用を支給できる。

 なお,転居等に際して,前住居に冷房器具が備え付けられており,転居先にはなかった場合は 支給対象となるが,前住居にエアコン等の冷房器具の備え付けがなかった場合は,新旧住居の設備の相違がないため,転居先で冷房器具購入費は支給できない。 また,経年劣化による冷房器具の買い替えは支給対象とはならない

 

2 設置費用について

 冷房器具の購入に際して設置費用が別途必要な場合であって,真にやむを得ないと実施機関が認めたときは,特別基準の設定があったものとして,当該家具什器の設置に必要な最小限度の額を設定して差し支えない。

 なお,購入するにあたって設置費が必要な場合のみ支給対象となり,設置費のみは支給対象とはならない。

 

3 冷暖房器具の支給する場合について

 「冷房器具」の支給に当たっても,冷房機能に加えて,暖房機能を有する器具の購入を認めて差し支えない。

 なお,冷房器具と暖房器具のいずれも所持していない「熱中症予防が特に必要とされる者」がいる世帯については,両方の機能を有するものを購入するよう勧奨されたい。

 

(参考)

  局長通知第7-2-(6)-ウ,局長通知第7-2-(6)-エ,課長問答第7の99,

  別冊問答集 問7-43~44,別冊問答集 問7-43~44,

  平成30年7月18日付 東京都保護課長事務連絡