ようやく重い腰をあげて、

フライタイイングの道具一式をひっぱり出した。

 

ここのところ、

あまりの激務に心身ともにスカスカのボロ雑巾状態であったが、

土曜の出勤前には無理やり横になり、

仕事中も「極力力を入れない」という高度な手抜き……もとい、

省エネ釣法のごとき立ち回りでなんとか体力を温存した。

日曜の朝、少しばかり長めの眠りから這い出し、

ようやく人心地がついたのである。

 

そこで、かねてより頭の中にあった

「シートラウト用フライ」

の試作にとりかかった。 

 

私は常々、マテリアル(材料)の少ない、

究極にシンプルなフライを理想としている。 

今回のテーマは、ズバリ「エビと小魚の中間」だ。

 

当地のシートラウト釣りの定番といえば、

「Mullkis(シュリンプ)」と「Haili(ベイトフィッシュ)」を

二つ連ねたドロッパーシステムである。 

だが、どうにもこの「二刀流」が、私の性分には合わない。

欲張りな感じがして、いけ好かないのだ。

 

一つのフライで、エビのようでもあり、小魚のようでもある。

そんな都合のいい一匹を演じさせたい。

そこで「Ice Dub」のみを使い、

なんとなくのシルエットを形にしてみた。 

形状にはまだ改良の余地があるが、

まずはこいつを相棒にして、

荒野ならぬ荒海へ漕ぎ出そうと思う。

 

それにしても、先日のボートショー以来、

自分の生き方にじわじわと疑問が湧いている。 

 

今の暮らしは、いささか複雑に過ぎやしないか。 

物事を詰め込みすぎて、

体も心も悲鳴をあげているのではないか。

 

「もっと簡素に、もっと自分らしく」

 

釣り場の定点観測を終え、

その足で向かったBarのカウンター。 

冷えたグラスを片手に、

そんな哲学じみた考えが、

頭の中を静かに回遊しているのである。

 

シーズンイン予定まであと23日