“9ftのフライロッドか?それとも10ftのフライロッドか?“


今は亡きフロリダでガイドをしていた親友との論争だ。


私達はフラットで釣りをした後、オカッパリでスヌーク、ターポン、ピーコックバスを釣りに行っていた。フラットで釣りをすることだけを前提で考えれば一般的な9ftのソルトウォーター用フライロッドで問題は無いが、その他の場所、特にオカッパリメインで考えたら少し話が変わってくる。


オカッパリでフライキャスティングをする時どうしてもバックスペースに限りが出てくる。そうなると、タワーキャスト、ロールキャスト、ピッチング、ダッピング等々色々なキャストを繰り出す必要が出てくるのだ。


また使うフライのバリエーションも増え、極小のフライから巨大なフライ、又はジグのように重いフライまで、とにかく凡庸性が必要になってくる。


一度シアトルからジョージアまで9ft#7番のフライロッドでキャンプをしながら釣り下った事があるのだが、番手は7番で問題はなかった。トラウトから、バス、レッドフィッシュまでとりあえず釣りになったし、ボーンフィッシュも小型のターポンも7番ロッドで釣り上げれる事は実証済みだ。


しかし長さは何時も微妙に気になっていた。特にスィングで釣るトラウトや泥質のシャローフラットで釣る際はやはり9fは若干短く感じる。スィングは長いロッドの方が釣りが出来る範囲が多くなるのは言わずもがなだが、泥質のシャローフラットは意外に足が埋まり込んだりして、浅い水深でもかなり深く立ち込んだ様な状態になる、そして葦やマングローブなどの障害物がバックスペースに存在する事が度々あり、以外にタワーキャストの必要性に迫られたりする。それを考えると10ftと言う長さのアドバンテージは大きい。


そんな事を考えて続けて15年。ようやくロッドビルディングに着手して完成した。



特筆する点は、バックキャストのスペースが取れない時の為に、バットエンドを伸ばして、スカジット系のキャストをし易くした点と、スイッチロッドの様なロンググリップは使わず、シングルハンドルのグリップにする事で、本当の意味でのスイッチロッドを目指してみた。


実は昨年の4月時点で完成していたのだが、同時期に作ったグラスロッドがあまりにも楽しすぎ、グラスロッドばかり使っていたので、このロッドはほとんど使っていなかった。


今この竿の真価が問われる状況にいる為徹底的に使い倒して15年来の頭の中のモヤモヤを解消しようと思う。