#0007_国家が経済破綻する時(2) 日本も危ないのか?
■日本の国の借金、871兆円で過去最悪を更新
2月11日の朝刊に、財務省発表に基づく「「国の借金」871兆円-昨年末、過去最悪に」という記事が掲載された。
[2010年2月11日 日経新聞朝刊]
これによると、2009年末時点で「国の借金(国債および借入金残高)」が871兆5104億円に達し、過去最高になった。2009年1月時点の人口で推計すると、1人当たり約683万円になるという。
2010年度末(2011年3月末)には、さらに増加して973兆1625億円に達し、1人当たり763万円となる。
[財務省 統計資料「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高
」より作成
景気が上向いた2006年~2008年は借金の増加は低くなっているが、2009年にはGDPが30億円減少する状態となった。景気悪化による財源不足と政策面の必要から、10年度予算案では約44兆3000億円の国債新規発行が予定されており、これが国の借金の悪化に拍車をかける見込みである。このような状況から、S&Pは、1月26日の日本国債の格付け見通しをAA(ネガティブ:格下げの可能性あり)に変更した。
■純債務で見ても、危険水域に突入
しかし、日本が年金積立金などの資産を保有していることは周知である。したがって、正確には純債務(国の借金から保有金融資産を差し引いた債務額)で評価する必要が言われる。1月22日には、純債務に関する記事「日本、借金漬け深刻、資産を引いた純債務のGDP比、先進国で最悪水準」が掲載された。
これまでは、純債務の対GDP比率は100%以下であったが、2010年には100%を突破する見込みを、経済協力開発機構(OECD)が「Economic outlook」で発表したという。グラフをみると、PIIGSの1つのイタリアをも上回る水準に達することとなる。とすれば、いよいよ日本も国家破綻に向かっているのであろうか。
■海外の見方は楽観的
しかし、海外の見方は国内報道と異なって、意外に楽観的なのだ。2010年2月8日にフィナンシャルタイムスは「Japan’s debt woes are overstated (日本の債務不安は誇張されすぎ)」という記事を発表した。
この記事は、「日本は次のギリシャだろうか。金融相は、ゆうちょ銀行は日本国債より米国債を買うべきと発言し、これがS&Pの格下げ見通し低下を招いたが」と始まる。しかしながら、「でもね...」と反論の理由を4つあげるのである。
理由1:日本の債務は、純債務で見ればGDPの100%以下だ(前述のように、これは危うくなってきている)
理由2:国債償還率が1.3%と低く、資金の行き詰まりには遠い(英国は2.3%、イタリアは5.3%)
理由3:消費税率は5%で、まだ増やす余裕がある。
理由4:債務の95%は国内向けで、国外の影響を被る恐れはない
なるほど、債務の急激な増加は問題であるものの、差し迫った問題はそれほど大きくなさそうである。
そして、「まだまだ大丈夫だが、デフレは何とかする必要がある。日銀は国債を買い上げて、市場にさらに資金供給して景気向上に努めよ。現金保有が賢い投資方法とみなされていてはだめだろう」と提言している。
(追加グラフ)
しかし、この部分については、本当にうまくいくのだろうかとおもってしまう。後日書く予定だが、いま日本では、
銀行にお金があっても、借り手側の資金需要が非常に少ない状況にある。