最近ちょっとマイブーム(死語)なのが、チゼル。
“チゼル(Chisel)”ってのは、英語でノミやタガネの事を指す言葉で、ナイフ/刃物用語では片刃(コレ語弊あるからやめねぇ?)のグラインドのことをチゼルグラインドという。
最近コレがちょっとしたマイブームでして、何本か作ってお譲りしたのもある。チゼルグラインドは一定の人気があるようだ。


↑チゼルタイプのスカルペル三本。
チゼルグラインド(片刃)というと日本人は容易に思い出すだろう、アレ。そう、キリダシ
あれは日本で最もトラディショナルなチゼルグラインドナイフだろう。その人気も、実は海外で意外と高く、タクティカルナイフ、特にエッジドウェポンとして人気が高い。
その要因として、チゼルグラインドの切断特性が起因していると思う。
チゼルグラインドは、当然片面にしかグラインドが施されていない。その刃で肉を切ると、ブレードの平面な方、グラインドの施されていない方の面に切断線がよれていく。
刺し身包丁のような片刃の和包丁は逆にそれを利用し、多彩な能力を発揮するのだが、今はエッジドウェポンの話なのでその能力は必要ない。
ようは、如何に敵の肉体を最小限の力で効率よく破壊出来るかの話である。

時を戻そう。

よれる線をまっすぐに戻そうとすると、左右に蛇行した線になる、と思うが、一瞬でのスラッシュではそんなに長い線を切らないと思う。長くても10cm程度だろう。その線を勢いよく切ると自然と少し円弧の入った斜めな傷になる。これ、実は、人体にとってはとっても厄介な傷で、処置が難しくなると同時にチゼルの深い食い込みによってより一層傷が深くなる。事実、外科医が作ったチゼルグラインドのファイティングナイフがあるくらいには人体にゆうこうなのだ。

さて、ここまでチゼルグラインドの有効性を話してきたが、チゼルはダガーでやっても有効なのである。


チゼルダガーの有利性は、その刺突力で、ダガーとしては申し分ない性能を発揮する。
チゼルダガーは、片面のみにダブルエッジグラインドが施されている。これは逆に言えば、片面にしか抵抗がないと言う意味だ。それは当然、片面は単なる平面であるから。
通常のグラインドのダガーは、四面すべてのベベル、つまり四方向すべての組織を押しのけなければ行けないが、チゼルダガーば二面だけで済むのである。

チゼルばもちろん、通常の用途にも有効に使える。高い食い込み性能と研ぎやすさ。そして切れ味の良さ。
一本くらいは、持っていても損のないグラインドである。