JET STREAM・・・作家が描く世界への旅。


今週は、自然写真家・高砂淳二によるフォトエッセイ『アシカが笑うわけ』より、一部編集してお送りしています。


今夜は、その最終夜。


太平洋のど真ん中、ミッドウェイ環礁にご案内しましょう。


いえ、美しいビーチではありません。


この本が出版されたのは、2000年の事でしたが、その時高砂が綴った海洋プラスチックゴミの問題は、まだ続いています。


2050年には、海洋中のプラスチック重量が、海に住む魚の重量を上回る、という衝撃的な予測も発表されました。


番組WEBサイトでは、高砂淳二が撮影した地球の現実を、写真で見る事もできます。


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太平洋のど真ん中に、ミッドウェイという環礁がポツンと浮いている。


世界大戦の際、激戦が繰り広げられた所だ。



[ミッドウェイ環礁]


1996年から2001年までは、野生生物保護区として一般の旅行者にも開放され、割と自由に島の自然を観察できたが、今は一般の立ち入りが禁止され、無人島になっている。


環礁は、メインの島であるサンド島とイースタン島、それに小さいスピット島の3つから成っている。


僕が行った頃は、メインの島の方は綺麗に清掃され、ビーチも綺麗だったけれど、イースタン島の方は、ビーチは漂着物や鳥の死骸で溢れていた。


プラスチックボトル、発泡スチロール、サンダル、訳の分からない容器など、漢字、日本語、英語、その他色々な国の言葉が書かれたゴミが入り乱れて、流れ着いていた。


海は無限に広く、捨てた物は何でも飲み込んでくれるように考えられがちだけれども、やはりそうではなく、海の水は地球規模で循環しており、分解されないゴミたちはグルグル地球上を巡っているのだ。


ミッドウェイに限った事ではないけれど、色々な漂着物があるのと同時に、当然海の上では色んな漂流物も見かける。


木材、発泡スチロール、蛍光管、その他諸々のゴミなどだ。


それらの物の下を泳いで覗いてみたり、ボートに引き上げてみたりすると、貝の仲間がびっしりと付着しているもの、色々な魚の稚魚が拠り所として住み着いているもの、海草で覆われているものなどが多く、自然のしなやかさに驚かされてしまう。


ゴミだからといって、そのままボートに引き上げてしまった方がいいものか、再び海にそのまま流してしまった方がいいものか、迷ってしまったりする事も、しばしばあった。


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僕はイースタン島で、漂着物の合間に転がっている、コアホウドリたちの朽ちた死骸を見て驚いた。


肉はほとんど無くなってしまっているのに、ちょうど胃の部分に、プラスチックの破片、釣り糸、使い捨てライターなどが胃の形のまま、固まって残っているのだ。



[死骸]


親鳥が獲物と間違えて、海面から拾ってきて子に与え、吐き出せない雛鳥たちは、胃がゴミでいっぱいになり、やがて栄養失調で死んでしまうのだそうだ。


人間が自然に対して与えている悪影響は、酷いのはまだいくらでもあるだろうけれども、こういう象徴的なものを目の当たりにすると、さすがに胸が痛んでしまう。


そんな光景を目にするにつけ、僕はボートの上でお弁当を食べる時は、弁当箱の蓋や偽笹の葉、フォークなどは、どんな風が吹いても、飛ばされたりしないように、しっかり抑えて食べるようにしている。


全く、小さい事ではあるけれども。


【画像出典】