『マルホランド・ドライブ』(原題:Mulholland Drive /2001年アメリカ、
フランス/145分)
監督・脚本:デヴィッド・リンチ
製作:ニール・エデルスタイン、ジョイス・エライアソン、トニー・クランツ、マイケル・ポレール、アラン・サルド、メアリー・スウィーニー
製作総指揮:ピエール・エデルマン、デヴィッド・リンチ
音楽:アンジェロ・バダラメンティ
撮影:ピーター・デミング
編集:メアリー・スウィーニー
出演者:ナオミ・ワッツ、ローラ・ハリング、ジャスティン・セロー、アン・ミラー、ダン・ヘダヤ、ロバート・フォスター、レベッカ・デル・リオ、ミシェル・ヒックス、メリッサ・クライダーら
100点満点中81点
ロサンゼルスにある峠道マルホランド・ドライブで起きた自動車事故を始点として起こる数々の事件の全てが、映画界の暗部に絡んでくる様子を描いたスリラー作品。
自動車事故、殺人事件、自殺、窃盗、脅迫、妄想、幻覚・幻聴、不倫、レズビアンありという目まぐるしい展開とそれに関係する多くの出演者で、鑑賞者を悩ませますが、作品終了後の数時間で、もう一回観てみたくなる常習性の高い作品です。
一度観ただけでは、自分なりの理解さえ十分に及ばぬ、不条理な展開です。これはデヴィド・リンチ監督の常とう手段で、特定の解釈で作品を縛るより、観客の自由意思で作品内の人生を、観客の本意でストーリー化すべしという監督からのメッセージでもあります。(ご意見の異なる方もいらっしゃるとは・・・思いますが)
デヴィッド・リンチはモンタナ州出身で、父の友人の画家の影響で、絵画に興味を持ち、ワシントン美術大学、ボストン美術館付属美術学校を経て、ペンシルベニア芸術科学アカデミーに就学しました。その後、1976年に『イレイザー・
ヘッド』を自主制作し、1980年に『エレファントマン』、1986年には『ブルーベルベット』を監督しました。今作『マルホランド・ドライブ』は第54回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞しました。
主演のナオミ・ワッツは「ベティ・エルムス」と「ダイアン・セルウィン」を演じます。「ベティ」は地方から出たての女優の卵で、「ダイアン」はやや夢やぶれた端役専門の女優です。この二人の役を器用に演じ分けています。特に「ベティ」の部分では、輝くような健康的な美貌を発散させ、これだけで観客を画面に引き寄せてしまいます。最近作は2013年の『ダイアナ』でダイアナ妃(↓)を演じました。
相手役ローラ・ハリングは「リタ」と「カミーラ・ローズ」を演じます。「リタ」は本当の自分の名前も忘れてしまった記憶消失の女性で、『カミーラ」は悠々自適の大女優です。冒頭この「リタ」が、暗殺の危機から自動車事故に遭遇するシーンから作品は始まります。
約2時間を経過する頃から作品の様子が一変し、難解・不条理な展開へと突入していきます。
黒髪に派手なスタイルの女が高級車の後部座席に座っている。夜のマルホランドドライブのカーブの途中でこの車は停車する。助手席の男がサイレンサー付きのオートマチック・ピストルを彼女に突き付け引き金を引こうとした瞬間、街道レースで暴走した別の車が正面衝突する。
車中の女は、一時意識を失っていたが、ふらふらと大破した車から離れ、街道の斜面を下っていく。
あるアパートメントの入り口脇の植え込みでへたり込んだこの女が、翌朝、人の動きで目を覚ますと、一室の扉が開け放てれている。彼女はこの部屋に潜り込み、もうしばらく休もうと家具の陰に身を潜める。
この部屋は、往年の大女優「ルース」のもので、彼女の姪「ベティ・エルムス」がやって来る。伯母が留守の間、間借りし、女優修行をしようというのだ。当然、「ベティ」は、潜り込んだ黒髪の女と鉢合わせになるが、憔悴しきったこの女を可哀想に思った「ベティ」はしばらく置くことにする。この女は記憶喪失でありながら、部屋に貼られていた女優リタ・ヘイワースのポスターを見て、反射的に「リタ」と名乗った。














































