女子向け作品と言うなかれ『旅するジーンズと19歳の旅立ち』(サナー・ハムリ監督作品) | Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

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主に「洋画」ですが、ジャンルにはあまりこだわらず、インスピレーションで拝見する作品を選んでいます。
海外の「ドラマ」も最近は気になります。

『旅するジーンズと19歳の旅立ち』(原題:The Sisterhood of the Traveling Pants 2 /2008年アメリカ/119分)

監督:サナー・ハムリ

脚本:エリザベス・チャンドラー

原作:アン・ブラッシェアーズ『トラベリング・パンツ ジーンズ・フォーエバー』

製作:デブラ・マーティン・チェイス、デニーズ・ディ・ノヴィ、ブロデリック・ジョンソン、キーラ・デイヴィス

製作総指揮:アンドリュー・A・コソーヴ、クリスティーン・サカーニ、アリソン・グリーンスパン、レスリー・モーゲンスタイン、ボブ・レヴィ

音楽:レイチェル・ポートマン

撮影:ジム・デノールト

編集:メリッサ・ケント

出演者:アンバー・タンブリン、アレクシス・ブレデル、ブレイク・ライヴリー、アメリカ・フェレーラ、レイチェル・ニコルズ、レイチェル・ティコティン、ショーレ・アグダシュルー、ブライス・ダナーら

100点満点中88



 アン・ブラッシェアーズの小説『トラベリング・パンツ ジーンズ・フォーエバー』を原作にした青春ヒューマン作品。2005年に公開された『旅するジーンズと16歳の夏』の続編です。

 前作より重厚なストーリーとなり、より重層で伏線の張り方も巧みです。十代、二十代の女子でなくとも共感するエピソードをふんだんに盛り込み、終盤に向けて胸にぐっとくる内容です。初めの約1時間は“あっ”という間で、あとの約1時間はじっくり見せる緩急の効いた展開です。

 前作では、やや軽く扱っていた恋愛や親子関係、姉妹関係、友人関係を深く重く取り上げることで、主演の4人が前作から3年たって大学生となり、成長した部分と幼いのままの部分のコントラストを際立たせ、不器用にぶつかりあう姿が、これまた新鮮に映ります。青春作品の傑作と言っても良いと思います。




 アレクシス・ブレデルは「リーナ」を演じます。ギリシャ系アメリカ人の役ですが、ギリシャ人の恋人が突然、他の女性とデキ婚してしまい、失意のどん底に落ちる美大生です。ロードアイランド美術大学で絵画を学んでいます。



 アンバー・タンブリンは「ティビー」を演じます。この役はニューヨーク大学で映像制作を専攻し、趣味も映像制作ですが、交際中の韓国系?の青年との関係が“微妙”となります。4人のなかでは、姉御タイプのようですが、自分の恋愛にはやや奥手で、慎重です。



 ブレイク・ライヴリーは「ブリジット」を演じます。この役は女子サッカー選手としての実力が認められ、ブラウン大学で、専攻がはっきりしないまま考古学を学んでいる学生です。この作品で、実母が自殺したことが明かされ、体育会系ノリの彼女が母との関係を想い涙を流す姿が印象的です。



 アメリカ・フェラーレは「カルメン」を演じます。この役はヒスパニック系の母をもつ女性ですが、前作は離婚した父親が、金髪美人を再婚したことに続き、同居している母親が再婚し、出産を間近にひかえたことで親子関係が複雑になります。舞台の裏方として、イエール大学で舞台演出を学んでいます。今作でも冒頭のストーリーテリングは彼女が担当しています。


(あらすじ)

 3年前、不思議なジーンズと巡り合った幼馴染みの4人、「リーナ」、「ティビー」、「ブリジット」、「カルメン」は高校卒業後、それぞれの道に進み、住む場所も違ってしまったが、約束通りこの不思議なジーンズを着回しながら、自分なりの生活を送っている。大学1年の夏休み、つかの間の再会を故郷メリーランド州ベセスダで果たしたが、「リーナ」は絵画の課題制作、「ティビー」はアルバイト、「ブリジット」はトルコでの遺跡発掘研修、そして「カルメン」はバーモントでの舞台実習をするため、また、離れ離れになってしまう。

 各々の場所で、自分の将来に向け、新たな一歩を踏み出す4人であった。「リーナ」は新しい彼氏と出会い、「ティーナ」は交際10か月の彼と初エッチをし、「ブリジット」は考古学の魅力に取りつかれ、「カルメン」は舞台演出という裏方から、女優という大きな可能性を見出している。

 しかし、「リーナ」は新たな恋に迷い、「ティーナ」は妊娠の可能性に怖れ、「ブリジット」は自殺した母を懐古する心理状態に陥り、「カルメン」は表舞台での予想外の展開に戸惑うこととなる。その上、周囲の人たちだけでなく、幼馴染み4人の関係まで、複雑に変化しようとしていく・・・・