弩迫力のCG映像に圧倒され『スター・トレック イントゥ・ダークネス』(J・J・エイブラムス監督) | Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

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イーグルドライバーの観た映像作品について、あれこれ書いて行きます。
主に「洋画」ですが、ジャンルにはあまりこだわらず、インスピレーションで拝見する作品を選んでいます。
海外の「ドラマ」も最近は気になります。

『スター・トレック イントゥ・ダークネス』(原題:Star Trek Into Darkness /2013年アメリカ/133分)

監督:J・J・エイブラムス

脚本:デイモン・リンデロフ、アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー

原作:ジーン・ロッデンベリー

製作:J・J・エイブラハム、ブライアン・バーク、デイモン・リンデロフ、アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー

製作総指揮:ジェフリー・チャーノフ、デヴィッド・エリソン、デイナ・ゴールドバーグ、ポール・シュウェイク

音楽:マイケル・ジアッキーノ

撮影:ダニエル・ミンデル

編集:メリアン・ブランドン、メアリー・ジョー・マーキー

出演者:クリス・パイン、ベネディクト・カンバーバッチ、ザカリー・クイント、カール・アーバン、ゾーイ・サルダナ、ジョン・チョー、アリス・イヴ、ブルース・グリーンウッド、サイモン・ペグ、カール・アーバン、ピーター・ウェラー、アントン・イェルチンら

100点満点中103


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 今作は1960年代のテレビドラマとして人気を博したSFシリーズの映画版で、2009年公開の『スター・トレック』の続編。

 時間軸からすると前作に引き続き、、今作もテレビ・シリーズの前日譚的な設定であり、平行世界の出来事でもあるような位置づけです。劇場公開作品としては、12作目です。

 前作より、ストーリー並びにCG映像が数段グレードアップした印象を受け、さらに続編が期待できる展開です。


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 監督のJ・J・エイブラムスは、トム・クルーズ主演のスパイ映画『M:i:III』(2006年)や『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011年)、怪獣パニック作品『クローバー・フィールド』(2008年)や『SUPER8/スーパーエイト』(2011年)を撮った監督で、もともと脚本家であるため、ストーリーも凝りに凝った内容の作品が多く、CG映像も同様のこだわりで細部まで緻密に作りこんできます。また、『スター・ウォーズ』全6エピソードの続きとなる『スター・ウォーズ エピソード7』を監督することも決定しており、現在、SF超大作の作り手としては、“ノリにノッテいる”逸材です。

 このシリーズを知らない方々に少しだけ、登場人物の説明をします。あらかじめ、各人物像を理解していないと、今作は十分楽しめないからです。



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主人公「ジェームズ・T・カーク」は、2233年4月、敵性種族のロミュラン艦「ナラーダ号」と交戦中の「U.S.Sケルヴィン」から脱出中の宇宙空間上のシャトル内で生まれました。父「ジョージ・カーク」は「U.S.Sケルヴィン」の副長で、全艦退避の後、本艦を敵艦「ナラーダ号」に特攻させ戦死しています。本作では、若くして中佐となり、 「USSエンタープライズ」の艦長を務めています。論理的な判断より、“勘”を優先する傾向が強く、時として、無謀な戦術を執るとともしばしばですが、人情に厚い人物です。不特定多数の女性(異星人のメス?とでも)と、躊躇いなく“情を交わす”プレーボーイでもあります。この役はクリス・パインが“熱く”演じます。


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 「ミスター・スポック」は、2230年、地球人の母「アマンダ・グレイソン」とヴァルカン人の父「サレク」の間に生まれた異星間混血児で、感情を廃し、理論的思考のみに生きるヴァルカン人の性質と、感情豊かな地球人の性質を併せ持つがゆえに、幼少期~青年期はヴァルカン星で育てられ、ヴァルカン流の教育を受けたため、自己矛盾に悩んだ経験を持っています。ヴァルカン人としての教育が終了した後、父の意向に反して宇宙連邦艦隊に入隊し、全作に引き続き、 「USSエンタープライズ」の副長兼科学担当責任者を務めます。感情家の艦長「カーク」に対し、理論家の彼は、反目することが多いが、二人の信頼関係は強固です。この役はザッカリー・クイントが“ハマりにハマって”演じます。



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 「ウフーラ」は、2239年生まれのアフリカ系女性で、聴覚が非常に発達し、敵性言語も理解できる主任通信士官です。「スポック」の恋人でもあります。この役はゾーイ・サルダナが“自信たっぷり”に演じます。



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 「ドクター・レナード・"ボーンズ"・マッコイ」は、2227年地球で生まれ、ミシシッピ大学出身。2258年に離婚によってすべてを失い、軍医としてやむなく宇宙艦隊に志願しました。全作では、主任医療士官として、謹慎中の「カーク」を「USSエンタープライズ」に乗船する手助けをしました。感情豊かで興奮し易い性格だが、艦長として苦悩する「カーク」を慰める役割も多く、「カーク」と異なり興奮しても失言はしない等、意外と如才ない。宇宙での生活が嫌いで、コンピュータ万能主義にも懐疑的です。また、感情的に「スポック」と対立することも多いが、深い友情の裏返しと見るのが妥当のようです。この役は、眉間に皺を寄せながらカール・アーバンが“カッコ良く”演じます。


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 「モンゴメリー・"スコッティ"・スコット」は、2222年スコットランド生まれの技術士官で、「USSエンタープライズ」の機関長。通常は機関室にいる。一本気な性格で、技術的なこと、艦体の保安上のことで納得のいかない場合は、艦長にも食って掛かる職人的人物です。この役はサイモン・ペグが“コミカル”に演じています。



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 「ヒカル・スールー」は、2237年サンフランシスコ生まれのアジア系アメリカ人で、日本人とフィリピン人のハーフ。フェンシングと徒手格闘に秀でた人物で、「USSエンタープライズ」の一等航海士(主任パイロット)です。非常時、艦長、副長が不在の時は、艦長代理として、艦長の職務もこなします。この役はジョン・チョーが“生真面目”に演じています。



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 「パヴェル・チェコフ」は、2245年ロシア生まれの地球人男性で、「USSエンタープライズ」の二等航海士(ナビゲーター)。ロシア語の訛りがひどく、音声認識による発令では、メインコンピュータに言葉が理解されないなど、業務上の小さな失敗をたびたび犯す。艦橋では最年少の部類。この役はアントン・イェルチンが“やや自信なさげ”に演じます。



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 この7人の登場人物が大変魅力的なことも、この作品のエンターテインメント性を向上させることに寄与していますし、この7人がバランスよく活躍できるよう書かれた脚本にも驚きです。


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 また、単なるSF活劇にならないよう様々な伏線を張って、ポリティカル・サスペンス風な展開も見せる部分もあります。・・・なので、133分は“あっ”という間でした。劇場で観ないと“損をする”SF超大作ではないでしょうか。


(*公開中のため、あらすじは控えます。)