第一作目の作品とは思えぬ“完成度”『ゴーン・ベイビー・ゴーン』(ベン・アフレック監督作品) | Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

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イーグルドライバーの観た映像作品について、あれこれ書いて行きます。
主に「洋画」ですが、ジャンルにはあまりこだわらず、インスピレーションで拝見する作品を選んでいます。
海外の「ドラマ」も最近は気になります。

『ゴーン・ベイビー・ゴーン』(原題:Gone Baby Gone /2007年アメリカ/114分/本邦劇場未公開作品)

監督:ベン・アフレック

脚本:ベン・アフレック、アーロン・ストッカード

原作:デニス・レヘイン『愛しき者はすべて去りゆく』

製作:アラン・ラッド・Jr、ダン・リスナー、ショーン・ベイリー

製作総指揮:デヴィッド・クロケット

音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ

撮影:ジョン・トール

編集:ウィリアム・ゴールデンバーグ

出演者:ケイシー・アフレック、ミシェル・モナハン、モーガン・フリーマン、エド・ハリス、ジョン・アシュトン、エイミー・ライアン、タイタス・ウェリヴァーら

100満点中88



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ベン・アフレックの第一作目の監督作品で、少女誘拐を扱ったクライム・スリラーです。


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 最後まで観ると、単なる「一本線」の誘拐事件解決では終わらない深いテーマに気づくはずです。脚本にも参加し、初めての監督をしたベン・アフレックの創作力というか、爆発力に驚かされます。とにかくよく出来たストーリーと演出です。


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 原作はデニス・レヘインの『私立探偵パトリック&アンジー』シリーズの4作目『愛しき者はすべて去りゆく』です。

 この二人をベンの弟ケイシー・アフレックとSF作品『ミッション:8ミニッツ』のミシェル・モナハンが演じています。 

 ラストまで観てもシリーズとして今後の製作があるだろうとは感じられませんが、この二人の役は大変魅力的で、出来るとしたら・・・どんなシリーズとなるだろうと想像せずにはいられない、今作の完成度の高さです。

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 主演のケイシー・アフレックが演じる「パトリック・ケンジー」は、若年ながらボストンに生まれ育ち、地縁、血縁、人脈で家出人や夜逃げした債務者の捜索を専門としている探偵です。凶悪犯罪に関わって、賞金稼ぎするような荒っぽい分野は専門ではありません。その彼が、4歳の少女誘拐の調査を依頼されます。法令順守と社会常識、社会通念、そして真相解明を重んじるまじめな性格です。ちょっと堅物な感じで、その分、他人より大きな苦悩をしょい込みます。冒頭、彼が出身地ボストンについて、親しみを込めて語りながらこの作品は始まります。


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 相棒の探偵で同棲相手「アンジー・ジェナーロ」はミシェル・モナハンが演じ、この役は、「パトリック」の暴走を心配しながら、真相解明より全体の調和と関係者の心の安寧を重んじて行動する自立した女性です。見た目の頼りなさげな感じとは違い、芯が強く、やや一本気な性格です。当初、彼女は誘拐された少女の捜索依頼を引き受けることに難色を示します。


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 モーガン・フリーマンはボストン市警の警部「ジャック・ドイル」を演じ、この役は冷静沈着で責任感の強い人格者です。部下の失敗の責任を取って、年金が減額されるのも構わず、定年前に依願退職するような善良な人物です。事件解決のため、「パトリック」と「アンジー」に協力を約束します。


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 エド・ハリスは、「ドイル警部」の部下「レミー・ブレサント」を演じます。この役は、私立探偵の登場を迷惑に思うが、少女の発見に全力を尽くそうと、ベストを尽くす熱血警官です。・・・ただ、何か“裏”がありそうです。ラストで明白になります。


(あらすじ)

 ある早朝、ボストンのドーチェスター地区の住宅地。ここは、低所得者が多く住むエリアであるが、パトカーと共に多くの警官と野次馬、マスコミが、ある家を取り囲んでいる。それは、この家に住み4歳になる「アマンダ・マックリーディ」が、昨晩この家の1階からいなくなったからだ。当時、母「へリーン」は不在で、少女の年齢を考えると誘拐事件に間違いはない。


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 私立探偵の「パトリック」と「アンジー」は、相棒であり恋人同士であるが、TVでこの騒動を観ている。そこへ、「ベアトリス・マックリーディ」とその夫「ライオネル」が訪ねてくる。彼らは、姪の「アマンダ」が誘拐され、行方を捜して欲しいと依頼して来た。二人の探偵はこの依頼を受けることにする。この事案の捜査責任者は、ボストン市警の「ドイル警部」で、部下の「ブレサント刑事」と「プール刑事」に協力させると言う。


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 「パトリック」と「アンジー」の独自の情報網と、刑事二人の捜査情報を総合したところ、誘拐された「アマンダ」の母「へリーン」は麻薬常習者で、男友達の中には下っ端の麻薬ディーラー「レイ・リカンスキ」がいることが判明した。この人物に関して、「へリーン」に問い詰めると、麻薬の取引で、元締めの「チーズ」から預かった麻薬代金の13万ドルを着服したと白状する。

 探偵二人と刑事二人は、麻薬取引に絡んだ誘拐事件と判断し、「アマンダ」奪還のため、元締め「チーズ」と取引しようと、非公式に動くが、一端は拒まれてしまう。しかし、「チーズ」から、代金の13万ドルと「アマンダ」を交換しようとの連絡があったため、夜の貯水池で会う事とするが、「アマンダ」は貯水池に転落しまう。関係者は失意のどん底に落ちるが・・・・



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 これはこの物語のほんの序章に過ぎなかった。