あー怖い怖いっ!金が性欲が人生を狂わす『蜘蛛女』(ピーター・メダック監督作品) | Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

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イーグルドライバーの観た映像作品について、あれこれ書いて行きます。
主に「洋画」ですが、ジャンルにはあまりこだわらず、インスピレーションで拝見する作品を選んでいます。
海外の「ドラマ」も最近は気になります。

『蜘蛛女』(原題:Romeo is Bleeding /1994年イギリス、アメリカ/110分)

監督:ピーター・メダック

脚本:ヒラリー・ヘンキン

製作:ヒラリー・ヘンキン、ポール・ウェブスター

製作総指揮:エリック・フェルナー、ティム・ビーヴァン

音楽:マーク・アイシャム

撮影:ダリウス・ウォルスキー

編集:ウォルターマーチ

出演者:ゲイリー・オールドマン、レナ・オリン、アナベラ・シオラ、ジュリエット・ルイス、ロイ・シャイダー、マイケル・ウィンコット、ウィル・パットン、ジェームズ・クロムウェル、ラリー・ジョシュア、デヴィッド・プローヴァル、ロン・パールマン、デニス・ファリーナら

100点満点中81点


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 噂には聞いていましたが、すごい作品ですね。

 マフィアが絡み、罠と裏切りの限りを尽くしたサスペンスで、タイトル通り“女郎蜘蛛”のような美魔女が、己が強欲に従い、次々と愚かな男どもをたぶらかして、屍の山を築いていくという作品です。


 原題の「Romeo is Bleeding」は、ジャズ・ロックミュージシャンのトム・ウェッツの曲名から採られたとのことですが、直訳すれば、さしずめ「悲劇の主人公=色男は、瀕死の流血状態」でしょうか?

 音楽がなかなか巧みで、全編JAZZ調のトランペットとドラム、ピアノの“思わせぶり”な調べが作品を彩っていて、鑑賞者の緊張を高めてくれます。


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 主演のゲイリー・オールドマンは、ある警察本部に勤務する万年巡査部長「ジャック・グリマルディ」役で、年収は5万5000ドル程度。(どちらかといえば・・・悪くない年収だと思うけどなー) この彼は、組織暴力を取り締まる部署にいながら、マフィアの幹部と内通し、捜査情報を与えることで高額の報酬を得ています。彼は、ある程度の資金を貯めて早期に退職し、愛妻「ナタリー」と悠々自適の生活をしようと考えているようです。ただし、中盤以降、“蜘蛛女”と自分の浅知恵のせいで窮地に陥ります。とにかく無力で、この年増女にかかると“赤子の手”をひねられるように、簡単に罠にはまってしまいます。


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 彼の妻の名は「ナタリー」といい、この役は『ゆりかごを揺らす手』で「クレア」役をこなしたアナベル・シオラが演じ、今作の役では夫の秘密を夫以上に知っているが・・・一見平凡に見える女性です。


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 さらに、なんと!この巡査部長には、若い愛人がいて、その名はカフェレストランのウエイトレス「シェリー」といいあのジュリエット・ルイスが演じています。『ナチュラル・ボーン・キラーズ』や『フロム・ダスク・ティル・ドーン』でもやや幼げな色気を発散しています。今作でも“怪しく”可愛いいですね。


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 これに対し、裏社会で生き、数々の策略・謀略で地元のマフィアも手が出せない一大勢力を率いるようになった女ボス「モナ・デマルコフ」はレナ・オリンが演じ、元来の美貌を十二分に発揮して主人公「ジャック」だけでなく、対抗するマフィアのボス「ドン・ファルコーネ」の命さえ狙います。関係する男をいとも簡単に隷属させ、思いのままに操る“手管”は、実に見事で“蜘蛛女”の邦題が付いたのは、ごもっともという印象です。

 とてつもない生存本能を発揮し、自分が助かるためには普通の人間なら躊躇うような自虐的な行為も、残虐な殺人も平然とやってのけます。とにかく、すごい女!


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 マフィアのボス「ドン・ファルコーネ」は、あのロイ・シャイダーが演じ、若い頃、このロシア系の女ヤクザ「モナ・デマルコフ」と出会ったことで、意気投合し徐々に勢力を拡大しましたが、手荒な手法を好む「モナ」に嫌気がさし、決別することとなります。それが今作のサスペンス、ヴァイオレンスの発端であるとも言えます。


(あらすじ)

 「ジャック・グリマリディ」は、万年巡査部長で、閉塞感を持ちながら出世の望みもなく日々の業務にだらだらと従事していた。彼は組織暴力撲滅を目指す部署にいるが、ある裏稼業で高額の報酬を得ている。この高報酬を裏庭の排水溝に、こっそり蓄財し早期にこの因果な稼業から足を洗い、最愛の妻「ナタリー」と別天地で新しい生活をするのが夢である。

 彼の裏稼業とは、彼の部署はかかわる事件に関する捜査情報を、地元のマフィアに提供することであり、1件当たり6万5000ドルの報酬を受け取っている。

 今日もマフィアの幹部「ニック・ガザーラ」が、捜査当局との取引のため、組織内部の情報を提供するため、証言者保護に則って匿われ事情聴取を受けているホテルに関する情報を組織の連絡係「サル」(マイケル・ウィンコット演ず)に電話する。これで、6万5000ドルの収入である。ただし、この件には後日譚があって、お目当ての大幹部「ニック」はもちろんのこと、護衛と聴取のため同室にいたFBI全員も殺害されたのだった。

 この暗殺を実行したのは、地元のマフィアと結託し力を伸ばし始めた新興勢力の女ボス「モナ・デマルコフ」であった。彼女はほどなく逮捕されたが、組織の内部情報を持った「モナ」は、組織にとって邪魔者である。


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 マフィアのボス「ドン・ファルコーネ」は、さっそく「サル」に指令を出し、「ジャック」に「モナ」の所在に関して、情報を提供するよう依頼する。

 「モナ」は、所轄の警察署の拘置所から、あるホテルに移送されることとなり、護送担当は、他ならぬ「ジャック」となる。この役得を持って、移送先のホテル名を連絡係「サル」に連絡する。これでまた、「ジャック」は6万5000ドルを獲得するはずであった。

 ・・・・がしかし、こんな楽勝な裏稼業はいつまでも続くはずはない。「サル」達は、「モナ」がさらに別の場所に移送されたことで殺害に失敗し、その失態の“火の粉”は「ジャック」にも及んできたのだ。


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 これ以降、「モナ」の張り巡らした“蜘蛛の巣”から「ジャック」は逃れられなくなり、FBIからも、地元警察からも、そしてマフィアからも命を狙われることとなるのだが・・・果たして、逃げ切ることができるのか?


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