韓国製「ハンバーガー・ヒル」「フルメタル・・・」?『高地戦』(チャン・フン監督作品) | Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

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イーグルドライバーの観た映像作品について、あれこれ書いて行きます。
主に「洋画」ですが、ジャンルにはあまりこだわらず、インスピレーションで拝見する作品を選んでいます。
海外の「ドラマ」も最近は気になります。

『高地戦 THE FRONT LINE』(原題:高地戦(고지전)/2011年韓国/133分)

監督:チャン・フン『映画は映画だ』

脚本:パク・サンヨン『JSA』

製作:イ・ウジョン

撮影:キム・ウヒョン

美術:リュ・ソンヒ

音楽:チャン・ヨンギュ、タルパラン

出演者:シン・ハギュン、コ・ス、イ・ジェフン、リュ・スンス、コ・チャンソク、イ・デヴィット、チョ・ジヌン、チョン・インギ、パク・ヨンソ、リュ・スンニョン、キム・オクビンら

100点満点中77点


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 朝鮮戦争を題材とした、中々欲張った戦争作品です。すでにある数々の傑作の“良いとこ取り”を得意とする韓国らしい作品です。

 題名が『高地戦 THE FRONT LINE』と言うことで、ベトナム作品『ハンバーガー・ヒル』が真っ先に脳裏に浮か作品ですし、隊内の不正が問題となる部分では『プラトーン』が、敵の狙撃手の手管にスポットが当たる部分では『スターリングラード』『フルメタル・ジャケット』が、敵方と心を通じる部分では『JSA』『シュリ』のエッセンスも入っている戦争映画と言える作品です。単に“パクリ”と言えば・・・“それまで”なので、あえてそうは言いません。面白かったから。

 この作品の魅力は、作品全体を支配する無力感と閉そく感、戦闘シーンの迫力、そして同民族同士の対立という矛盾などですが、それ以上に良いのは、出演者達です。韓国映画には、全くの「門外漢」の私なのですが・・・魅力的なキャストが多数出演しています。


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 主演のシン・ハギュン↑は、諜報隊から転属して来た陸軍中尉『カン・ウンピョ』を演じ、反共一辺倒の韓国軍においては、やや融和派の考え方をする“異端児”将校です。そのせいで過酷な運命をたどります。



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 共演のコ・ス↑は、兵卒からたたき上げ中尉にまでなった『キム・スヒョク』で作品の人間関係では事実上の中心人物。日本で言えば速水もこみち似の超二枚目でありながら、妙な“影”を負った青年将校です。

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 イ・ジェフン↑は、高麗大学で生命工学を専攻していたという異色の俳優ですが、今作では、十代で仕官となり、実働部隊のリーダー『シン・イヨン』大尉を演じ、ある意味、最も存在感のある役どころです。


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 リュ・スンス↑は、古参の下士官『オ・ジヨン』を演じ、朝鮮戦争勃発直後の混乱と、禁断の事実を心に秘めた大人の兵士です。なかなか“いい味”を出しています。


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 コ・チャンソク↑も古参の兵士、『ヤン・ヒョサン』曹長を演じ、陽気な性格で、やや大雑把に見えるが、卒の無い老獪さで部隊の危機を度々救う有能な下士官です。彼は韓国ドラマに多数出ている“おなじみ”の俳優ですね。とても有名。


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 これらの人物が、北朝鮮人民軍と停戦間際の境界線を確定する、熾烈な攻防戦に半年以上も命をさらす事になります。


(簡単な・・・あらすじ)*まだ、一部公開中のため

 朝鮮戦争も終盤となった1953年、2年以上も前から“停戦”がささやかれていたが、韓国軍は 北朝鮮人民軍との間で停戦協定を結べないでいる。北朝鮮人民軍は頑強で、押してもすぐに押し帰して来るため、前線は一進一退、停戦交渉の日によっては、数十キロの単位で国境線が南北のどちらの側に敷かれるかが“微妙に”変化する状況であった。

 こんな戦況の中で、陸軍諜報隊に所属する「ウンピョ中尉」は、親共的発言をとがめられ、この戦争の激戦地「東部戦線」へ転属する事となる。ただ、それには諜報部隊なりの理由もある。それは、北朝鮮の軍人から発送された手紙が、韓国国内の親族の元へもたらされるという事実が発覚し、最前線にいる誰かが、北側からの文書を受け取り、南側に送っているらしいからなのだ。「ウンピョ中尉」はその事実を確認し、諜報隊に報告する義務を負い、北との激戦地エロック高地で孤軍奮闘する鰐(ワニ)中隊にやってくる。そこは、死屍累々、銃弾と砲弾が飛び交う想像を絶する地獄のような戦場である。しかも日々刻々と戦況は変わり、この高地の“主”は数日単位で南~北~南と替わっていくのであった。

 ただ、唯一の救いと言ったら・・・この「鰐中隊」の士気は異常に高く、各隊員が陽気であり、戦闘能力が並はずれて高いということだけだった。


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 ここで、『ウンピョ中尉』は、開戦後間もなく行方不明となっていたはずの戦友『スヒョク』と再会する。分かれた時は、二等兵だった『スヒョク』は、この2年余りで中尉にまで昇進し、たくましいリーダーに成長していた。『ウンピョ中尉』はこれに喜ぶが・・・この後、彼には、想像を越える数奇な運命が待っている。



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