『プロメテウス』(原題:Prometheus/2012年アメリカ/124分:PG-12)
監督:リドリー・スコット
脚本:デイモン・リンデロフ、ジョン・スパイツ
製作:リドリー・スコット、トニー・スコット、デヴィット・ガイラ―、ウォルター・ヒル
製作総指揮:マーク・ハファム、マイケル・エレンバーグ、マイケル・コスティガン
音楽:マルク・ストライテンフェルト
撮影:ダウリス・ウォルスキー
編集:ピエトロ・スカリア
出演者:ノオミ・ラパス、シャリーズ・セロン、マイケル・ファスベンダー、ガイ・ピアーズ、イドリス・エルバ、ローガン・マーシャル=グリーンら
100点満点中88点
8月4日、先行上映で拝見して来ました。
凄いですよ。スゴイ映画!
『エイリアン』でメガホンを執ったリドリー・スコットが最新の映像技術を駆使し、「人類の起源」に迫る深遠なテーマを掲げて製作したSFホラーの傑作です。単なる『エイリアン』の前日譚だろうと想像して観ると、意標を突かれます。もっと、既存の作品概念を取っ払って観ないと損をする壮大な出来栄えです。
ご存知の通り、『エイリアン』4部作シリーズの前日譚としてこの作品の製作プロジェクトは始まりましたが、この2000年代初頭に『エイリアンVSプレデター』なる陳腐な作品の企画が進んでいたため、名の挙がった監督や俳優がそのオファーを断り、度々このプロジェクトは頓挫し、作品の方向性も『エイリアン』の前日譚という色合いを極力薄めた内容に変容し、さらに深いテーマを持たせた独立した作品として位置づけられた“もの”になりました。
プロメテウスとは、(古典ギリシア語:ρομηθεύς,Promētheus)は、ギリシア神話に登場する神で、ティーターンの1柱。エピメーテウスの兄で、その名は、pro(先に、前に)+metheus(考える者)で、「先見の明を持つ者」「熟慮する者」の意です。一説によると、人間を創造したのはプロメテウスだったと言います。この神は、ゼウスが人類から取り上げた「火(=文明)」を再び与えたため、生きたままカウカソス山に張り付けにされ、日中はハゲタカに肝臓をついばまれる拷問にさらされるが、不死のため夜間にこの肝臓は再生し、ヘラクレスに解放されるまで半永久的に、この拷問は毎日続いたと言われています。この不吉なプロメテウス神の名を冠した映像作品は、まさに想像を絶する残酷な場面の数々を鑑賞者の目の前に呈してくれます。想像していたより、“強烈”です。覚悟してください。
舞台は、2089年の地球で、太古の遺跡から発見された、共通の星座から人類の“起源”や“不死”に関する謎を解明する糸口が得られるものと、巨大コングロマリッド企業「ウェイランド・コーポレーション」が1兆ドルの巨費を懸けて宇宙船を建造し、LV-223星系へ科学者、技術者、傭兵、アンドロイドを送りこむ設定です。
主演のノオミ・ラパスは考古学者「エリザベス・ショウ」役で、「ウェイランド・コーポレーション」の意向を受けてこの探検・調査のリーダーです。
共演のローガン・マーシャル=グリーン(↑真ん中)は、「エリアべス」の恋人で同じく考古学者。
シャーリーズ・セロンは、社の監査役で事実上の隊長「メレディス・ヴィッカーズ」役で、本人が想像するより巨大な思惑が会社にある事を知る事になる。
やはり出て来るアンドロイド「デイヴィット」(↑右)はマイケル・ファスベンダーが演じ、社の命じるところにより、様々な陰謀の網を張ります。彼が、この作品の中心的役割を担います。この演技は見事で、実に人間臭い“人造人間”をやり遂げます。悪い事も良い事も、戦慄を伴いながら躊躇いなくやってのけます。この役は彼のハマり役です。
中盤以降、想像力のある鑑賞者には目を覆いたくなるような惨劇の連続となりますが、実際の映像はややマイルドに仕上げています。作品中の宇宙船、生物等のデザインはH.R.ギーガーによるもので、これがある限り、『エイリアン』色を薄めたと言っても、薄められるものではなく、今作で、『エイリアン』にわずかに登場した「スペース・ジョッキー」の正体も明らかになります。(・・・なので、『エイリアン』とは“結局”無縁ではないですよね。)
(本作公開間近のため、あらすじは控えます。)