Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

イーグルドライバーの観た映像作品について、あれこれ書いて行きます。
主に「洋画」ですが、ジャンルにはあまりこだわらず、インスピレーションで拝見する作品を選んでいます。
海外の「ドラマ」も最近は気になります。

『BOSCH/ボッシュ』シーズン5 (全10話)

各話およそ45分

シーズン5は、シーズン4から15か月後のハリウッド署が舞台です。シリーズ中最多の登場人物が複雑に絡み合い、見応えあるシーズンですが、じっくり鑑賞しないと、すっかりそのストーリーから「置いてけぼり」にされてしまいますし、シーズン6に向け、多くの伏線も張られます。

 今回の「ハリー・ボッシュ」は退役後薬物中毒になった元兵士になり切って、処方箋詐欺と違法薬物製造に手を染めた元傭兵をリーダーとする犯罪集団に潜入し、これを摘発し薬物を押収、その後、この集団を撲滅するまでの活躍を描きます。また、同時並行で過去に関わった殺人事件が冤罪ではないかとの疑いを掛けられ、この窮地から脱するため仇敵だった人権弁護士「ハニー・チャンドラー」と手を組むこととなり、事件の再審裁判に巻き込まれていく流れを描きます。過去に関係した人物から、例によって相当恨まれた結果、この窮地に立たされる「ボッシュ」の若気ゆえの至らなさと人間関係構築の未熟さがここでも露呈します。そして、このシーズン5でも以下の通り、たくさんの事件・事故が発生し、ハリウッド署とその周辺所轄署の警官たちを悩ませます。

 

1. 調剤薬局強盗殺人事件

2. 車両強奪及び殺人遺棄事件

3. 車両放火及び殺人遺体損壊事件

4. 集団処方箋詐欺事件

5. 殺人事件証拠品捏造事件

6. 証拠品保管庫職員買収事件

7. 弁護士による損害賠償請求詐欺未遂事件

8. 潜入捜査官暴行殺人未遂事件

9. 航空機からの転落溺死事故

10.  警察車両2台の絡む衝突致傷事故

11.  再開発地区遺体損壊遺棄事件

などです。

 

【ストーリー】

 調剤薬局の前で、地味な日本車に乗った3人組が店内をうかがっている。運転手以外の2人がこの薬局に押し入ると、店主の「ホセ・エスキベル」を射殺した。店外でこの様子を目撃した婦人の通報により、警察車両が一斉に集結するが、そのうちの2台が接触事故を起こし、この薬局襲撃犯3名を取り逃がす。接触事故を起こした片方の車両には、長年コンビを組んでいるビア樽こと「バレル・ジョンソン」デカ箱こと「クレート・ムーア」が乗っていたが、2人に怪我はなかった。

 この事件は、「ハリー・ボッシュ」と「ジェリー・エドガー」が担当することとなるが、捜査の過程で、鎮痛薬「オキシコドン」を違法に入手しようとする処方箋詐欺集団の存在が浮上する。彼らは、「ガルシア・クリニック」から嘘の処方箋を入手した上、LAの退役軍人病院からも処方箋を入手した患者を使って二重に「オキシコドン」を騙し取るだけでなく、軽飛行機に中毒患者を乗せて、遠く離れた他の地域でもさらに処方箋詐欺をさせて「オキシコドン」をかき集めていた。「ハリー」と「ジェリー」は人脈を伝って潜入麻薬捜査官「チャーリー・ホーヴァン」に協力を求めるが、あまりに小さい事案だとして相手にされない。結果「ハリー」はこの組織に潜入し、内偵して証拠固めをした上でないと、事件は解決に至らないと判断し、退役軍人で薬物中毒の「ドミニク・ライリー」として退役軍人病院の患者となって潜入捜査を開始する。

 一方、「ジェリー」は他署管轄の繁華街で起きた発砲で少年2名が流れ弾に当たって死亡した事件に、自分の抱える情報屋「ギャリー・ワイズ」が関わっていることから、担当者二人に彼を紹介するが、「ワイズ」は白昼射殺されてしまう。

 「ハリー」の娘「マデリン(マディー)」はチャップマン大学で法律を学んでいるが、夏休みを利用して検事局の学生ボランティアに精を出す。そこで、CIU(誤判究明部)の捜査官「クリスティーナ・ヘンリー」によって、父親「ハリー」が関わった「スカイラー殺人事件」の再審が起こされようとしていることを知る。原告弁護士「ランス・クローニン」は新たな証拠が発見されたと申し立て、殺人犯「プレストン・ボーダーズ」は冤罪であると主張し、その原因は「ハリー・ボッシュ」にあると言う。敏腕弁護士「チャンドラー」は、調査員「ヘクター・ボナー」を使って、この再審請求の裏には、金銭目当ての陰謀があることを立証しようとする。そしてちょうどその時、「ガルシア・クリニック」に動きがあり「ハリー」は、麻薬中毒者「ライリー」として潜入捜査を開始するが、問題の軽飛行機に乗せられ、見知らぬ砂漠の廃車置き場のキャンプに連れていかれ、2日間処方箋詐欺グループの手先となりながら、この犯罪集団の悪事を内偵する。・・・すると、処方箋詐欺だけでなく、高濃度のオピオイドも扱っていることが判明するが、「タイムズ」の記者「スコット・アンダーソン」が書いた写真入りのスクープ記事が出たことで「ハリー」の正体がバレ、軽飛行機内で殺されそうになるが、LAのホワイトマン空港に生還する。

 その後、「ハリー」は、スカイラー殺人事件再審の傍聴をすべく、「ドナ・ソベル」を裁判長とするカリフォルニア州対ボーダーズの法廷に向かう。

 

【シーズン5に登場する注目人物】

プレストン・ボーダーズ(クリス・ブラウニング演ず):22年前、録音スタジオで働く「ダニエル・スカイラー」を強姦した上殺害した罪で服役している。

 

リタ・テデスコジュリエット・ランドー演ず)「プレストン・ボーダーズ」の妻。裁判所の速記官だが、強姦殺人や猟奇殺人を犯した人物に対し、異常な性欲を示す変質者で、悪徳弁護士「ランス・クローニン」の口車に乗って不正に加担します。

ただ・・・個性的な美女?ですね。

 

ドナ・ソベル(ベス・アームストロング演ず) カリフォルニア州対ボーダーズの再審裁判の裁判長。シーズン7では「ハリー」にとって重要な人物となるが、強欲な犯罪集団の放った暗殺者によって、大いなる悲劇に見舞われる。

 

『BOSCH/ボッシュ』シーズン4 全10話 (各話おおよそ45分)

 シーズン4は、前作から3か月後のハリウッド署が舞台です。シーズン3ラストでの火災から「ハリー・ボッシュ」に新事実がもたらされ、一件落着と思われた40年前の事件に新たな“疑念”が生まれます。また、犯人が警官では?と思われる強盗殺人事件が発生し、「ハリー」が特別捜査班を率いることになります。以下、シーズン4での主な事件。

 

  1.人権弁護士強盗殺人事件

 2.FBI捜査関係者射殺事件

 3.警察官による少女誘拐容疑者暴行事件

 4.捜査情報漏洩汚職事件

 5.韓国人街無差別連続強盗殺人事件

 6.カラオケ店銃乱射事件

 7.中国系犯罪組織構成員殺害事件

 

 そして、事件化にこそなりませんが、弁護士による経営者脅迫事案、弁護士家族暴行事案、パーティ券窃盗事案等もあり、また特捜班に人員を奪われ、ハリウッド署の殺人課は多忙を極めることとなる。

 

【あらすじ】

 ある晩、ロサンゼルス中心街にあるエンジェルス・フライト内で人権弁護士「ハワード・エライアス」が射殺され、財布と時計を盗まれる事件が発生する。殺害された人物は黒人の元検事だったが、金銭がより稼げる弁護士に転身、刑事告訴された被告人側に立ち、捜査上の警察の落ち度を突いて、多額の損害賠償金をロサンゼルス市からせしめながらも、人権弁護士として名を挙げていた。そのため、警察内部にはあからさまに、この弁護士と敵対する勢力が出来上がっていた。したがって、本件に関しては、「強盗殺人」と警官による「怨恨殺人」との疑いが掛けられていた。本来であれば、所轄の強盗殺人担当部署が対応する事案であるが、警官が関与している可能性が大きいと判断した本部長代理「アービン・アービング」は、この弁護士と全く関わりのないメンバーで特捜班を編成することとし、「ハリー・ボッシュ」を班長に抜擢した。

 当の「アービング」は、息子を殉職させたと妻「コニー」から責められ、離婚調停中の身であり、今期限りで本部長代理を辞し、ロサンゼルスを離れ、民間でその手腕を発揮する算段をしていたが、コリアンタウン・キラーに射殺された家族を優しく支えようとするボランティアの韓国系米国人「ジュン・パーク」と出会い、親密となる中で、彼女に促されるかのように、新本部長就任の道を選ぶ。このことに警察委員会の議長「ブラッドリー・ウォーカー」は三顧の礼をもって迎えようとする。

 「ハリー」は、エンジェルス・フライト事件を追いながら、母「マージョリー・ロウ」殺害事件の担当刑事の焼死が、放火殺人の疑いがあり、数日後、母を殺害遺棄した犯人が別にいることを示唆する資料を手にする。その資料が示す真犯人こそが、不動産開発会社の経営者で、警察委員会議長でもある「ブラッドリー・ウォーカー」その人であり、その真相究明のため、「ハリー」は「ウォーカー」を徹底マークする。その中で、期せずしてエンジェルス・フライト事件と「ウォーカー」の接点が浮かび上がってくるが、警察内部の内通者、汚職警官の妨害と証拠の改ざん、そして市警察と市長「ヘクター・ラモス」らの思惑が交錯し、本部強盗殺人課の現職警官「フランシス・シーハン 」が重要参考人として容疑がかかる。これは冤罪であるが、アリバイが無く飲んだくれの「シーハン」は逮捕を恐れ、職場放棄し出頭命令も無視し逃走する。特捜班班長として「ハリー」は、組織の内外、そして上下の板挟みになりながら愚直な捜査を徹底して行って、事件解決へ向け一歩ずつ前進していく。

 一方、「ハリー」からの情報により、FBI長官名で推薦状を手に入れた元妻「エレノア・ウィッシュ」は正規職員ではないものの、FBIの内偵捜査に関わるようになり、カード・プレーヤーとして中国系組織の関係者と接触するが、FBIロサンゼルス支部長「ジェイ・グリフィン」の失策により彼女の情報が敵方に漏れる事態となることを「エレノア」は知らない。

 

【シーズン4に登場する注目人物】

ジュン・パーク(リンダ・パーク演ず):市警察本部長代理アービングの恋人で、後に妻になる。ストリート・ギャングに弟を殺害された経験を持つ。芯が強く、上昇志向の才女で離婚調停中のアービングを鼓舞して、本部長まで上り詰めさせる。

 

フランシス・シーハン(ジェイミー・マクシェイン演ず):本部強盗殺人課の刑事。仕事の重圧からか、アルコール依存で勤務中もしらふではないらしい。

 

自転車に乗った男(モンティ・シャープ演ず):彼がコリアンタウン・キラー。4年に渡り強盗、殺人、殺人未遂、窃盗、器物損壊を無差別に繰り返しながら逮捕されずにいる愉快犯で、警察を出し抜くことを至上の喜びとしている変人。

 

『BOSCH/ボッシュ』シーズン3 全10話 (各話おおよそ45分)

 シーズン3から、主演のタイタス・ウィリバーがプロデューサーとして名を連ねます。

 今作は16ヶ月後のハリウッド署が舞台です。この間に、また新しい署長(警部)が赴任して来ています。この署長は女性ですが、刑事部の責任者「ビレッツ(警部補)」と浅からぬ因縁のある人物。何か・・・「ハリー巡査部長」らもやりづらい感じです。また、シーズン2で母「マージョリー・ロウ」を40年前絞殺遺棄した情報屋「フォックス・ミッチェル」が逃げ切り、晩年サーファーとして生き、癌で亡くなったことに納得できない「ハリー」のいらだちが、周囲と軋轢を生みます。

 そんな古参刑事「ハリー・ボッシュ」とその仲間達を悩まし、ロサンゼルス市民を震撼させる事件とは・・・

 1.映画関係者不同意性交致死事件

 2.元米陸軍特殊部隊隊員射殺事件

 3.連続婦女暴行殺人容疑者転落死事件

 4.韓国人街無差別連続強盗殺人事件

 5.未成年男子刺殺事件

 6.殺人課刑事自宅前狙撃事件

 

 その他、事件化はしませんが、未成年による連続強盗事案、映画関係者不同意性交致傷事案、エスコート嬢脅迫事案等が発生し、ただでさえ忙しいハリウッド署の刑事達を悩ませます。

 

 シーズン3は、事件が込み合っている上、登場人物も多いので、あらかじめよく整理しながら観ないと、観ている方がこんがらがってしまいます。なので・・・あらすじをやや長文にし、本編内容をご案内いたします。

 

【あらすじ】

 深夜の高速道路の高架下、黒のSUVに乗った男達が大型キャンピングカーに押し入ると銃撃した。その橋脚に落書きしていた少年が他の車の陰からその一部を目撃した。黒のSUVが立ち去ると、この少年はキャンピングカーに侵入したが、頭部を撃ち抜かれた死体に遭遇し慌てて逃げた。彼は「トーマス・ニース」といいストリート・キッズである。そして、殺害された人物は「ウィリアム・メドウズ」といい、米陸軍特殊部隊の元兵士である。彼の殺害について、捜査線上に元の上官で警備会社の経営者「トレバー・ドブス」、戦友「ウッディ・ウッドロウ」、「シェビー・モレノ」が浮上する。この3人は、軍事会社経由でCIAから汚い仕事を請け負っていながら、戦地での工作資金の600万ドルを隠匿していたことも分かる。

 アルメニア教会の司祭殺害の件で、夫殺しの疑惑もある「ヴェロニカ・アレン」は、「ハニー・チャンドラー」を弁護人として雇い、自ら口頭弁論の証言台に立ったが、これが陪審員の心証を良くし、一審は評決に至らず、審理無効の判断が下され釈放される。これに対し、地方検事「リチャード・オシェイ」は保身から控訴を断念する。これに「ハリー」は激怒し、公共の場所で抗議するが、その様子がSNSで拡散し、上司「ビレッツ」警部補から注意を受けだけにとどまらなかった。

 映像作家「アンドリュー・ホランド」は、関係者の女性を性交中に絞殺した容疑で逮捕され、その後、自宅内行動制限付きの保釈が認められるが、雑用をさせている元警官で使用人の「ルディ・タフェロ」と手段を選らばない悪徳弁護士「リーソン・フォウクス」を使って、「ハリー」に一杯食わそうと画策する。

 そんな状況の中で、連続婦女暴行殺人の容疑者「エドワード・ジェイムズ・ガン」が自宅アパートの3階から転落死する。本件担当の殺人課刑事「サンティアーゴ・”ジミー”・ロバートソン」は、仕込まれた証拠物に「ハリー」の指紋を発見、これを真に受け、ライバル心から「ハリー」を容疑者扱いし、タイムズ紙の記者「スコット・アンダーソン」にリークするが、仕込まれたような、あまりにも不自然な状況証拠の数々を鑑み、構えた矛を収める。ただ、「E・J・ガン」については、令状なしの独自の捜査を継続していた「ハリー」はある映像を入手していたが・・・

 

【シーズン3に登場する注目人物】

サンティアーゴ・"ジミー”・ロバートソン(ポール・カルデロン演ず):ハリウッド署殺人課の刑事。今後もハリーと深く関わる人物。

 

ロンデル・ピアス(ダジュアン・ジョンソン演ず):制服警官から刑事になり立ての新人でロバートソンの相棒。真面目で几帳面な性格。シーズン4では一発逆転の大活躍をする。

 

ルディ・タフェロ(アーノルド・ヴォスルー演ず):元LA市警の警官で現在は、映像作家アンドリュー・ホランドの雑用係兼用心棒に成り下がっている。

 

リーソン・フォウクス(スペンサー・ギャレット演ず):アンドリュー・ホランドが雇った弁護士。違法行為に手を染めることにためらいがない。