5時半まで歌舞伎町でゆかからの連絡を待ち、諦め家に帰る。

無念というか、なんというか・・。悔しくて涙も出ない。


またか・・・。



こんな短い期間に、こんな辛くて切ない恋愛をするとは思いもしなかった。

もし、前もって、こうなることがわかっていたら、俺はこの恋愛を選んだか?


選ばない。


でも、恋愛の先は、誰にもわからない。

だから、恋愛を通じて人は成長するのだろうし、喜び、悲しむだと思う。



しかし今は、そんな悠長に構えていられない。

そんな心のゆとりはどこにもない。



裏切られたと思う辛い心と、ゆかを信じていようと思う甘い心。

そんな二つの心に挟まれながら、ここ数日を過ごしてる。



自分のプライベートが原因で、仕事に穴を開けたくはなかった。

しかし、気力という気力が失せ、今日は休むことにした。


心が乱れ、眠るに眠れない。でも、眠らなければ・・・。

寝ている間に、ゆかから連絡がくるんじゃないかと思うと、眠れない。


ベッドに入ったのは結局午前9時。。



起きたら、連絡が来るかな・・・。



寝よう。





午後12時半。

目が覚める。

ケータイを見る。なんにもない。

何が起きているんだろう。俺には何もわからない。



これからどうしよう?



黙って、じっとしていても何も変わらない。

俺はゆかに会いたい。情けないくらい会いたい。振られるのかもしれない、でも会いたい。

今夜またお店に行くことを決意した。



と、同時に誰かに話を聞いて欲しかった。弱い心が助けを求めている。

冷静に、正気を保てるように。



友人の腹黒へ電話する。

「今夜時間ある?話聞いてもらいたいんだ。」

「うん?よほどのことだね。時間作るよ。8時くらいでもいいかい?」

「ありがとう。じゃあ、8時に新宿で。」




夜までまだ時間がある。

少し寝ようかとも思ったけど、眠れそうにもない。

ゆっくりお風呂に浸かり、時計を見る。

まだ3時。


家でじっとしてても不安が募るだけ。

外に出よう。


車に乗り、いつもの歌舞伎町の駐車場へ。

ふらふらと歌舞伎町を歩き、ゆかのお店の近くにある喫茶店へ。

ここで腹黒さんを待とう。

コーヒーを飲みながら、本でも読もう。



午後7時半。

「もうすぐ到着するよ」

もちろん腹黒さんからの連絡。決してゆかからではない。


腹黒さんと落ち合って、昨日行った居酒屋へ。

ここ数日の状況を説明した。

どうコメントしていいのか、腹黒さんにもわからない。

真実は相変わらず、ゆかにしかわからない。


その後、いえろうからも連絡があり合流。

3人でいろいろ話したけど、なにも答えは出ない。

いえろうは昨日の今日で、いったいどういうことなんだ!と怒り気味。




10時を廻ったところで、お店へ向かう。

いえろうは本指名のみゆきさん。

黒服に確認。

「キャプテンさんは・・・」

「俺は場内指名で○○さん(ゆかの源氏名)」

「えっ?場内ですか?本指名ではなく・・・。」

「そうだよ。今夜は場内指名で。」

「今、中に確認取ったのですが、お休みのようです、○○さん」


なにやってんだ、あいつ?


「わかりました。では、違うキャストで。」



店内に案内される。

かなりの客。今夜は繁盛している。


俺は、昨日同じテーブルになったひかりさんを呼んだ。

ひかりさんも新人で、ゆかも新人。

新人同士、話もしているだろうと読んだ。


しかし、あまりよく知らないらしい。

空振り。


みゆきさん、ひかりさんに、俺とゆかのことを全部話しした。

本来、お店でこんな話はすべきではないと思う。

でも、藁にもすがりたい気持ちが勝ってしまった。


ひかりさんは優しく、

「話はいつでも聞くよ。気持ちはよくわかる。でも、焦って結論出さないで。

もう少し待って、ふたりで話してからでも遅くないんじゃない?」


今の俺は、優しくされると涙が出る。



他のキャストさんたちの話を聞いても、

「色恋営業じゃないでしょ~?それは。私だったら、もっと上手く引っ張るし、

家なんて絶対に教えない!」


じゃあなんで? ゆかは俺をからかっているだけ?

さっぱりわからん。。。とにかく、会うまでは何も進まないしわからん。


2時間半くらいお店にいて、会計し出ることに。

いつもは飲まないお酒。こんやも口にした。車は運転できない。。




お店を出てから、たばことライターを忘れていることに気づく。

お店のみゆきさんに電話し、持ってきてもらうこと。

そのままみゆきさんを誘い、飯食いがてら、話を聞いてもらう。



「悪いね、疲れているところ。」

「キャプテン、元気出しなよぉ~。心ここにあらずって顔しているし!」

「あら、やっぱそう?」

「うん、超空元気って感じ出まくりだし~」

「アハハ」


2時間くらい、いろいろ話を聞いてもらい、多少なりともスッキリした。


「笑っていれば、絶対いいことあるよ!」




みゆきさん、ありがとう~!



開き直って、笑おうと思った。助かった。嬉しかった。


午前5時過ぎ。

俺は車を運転し、みゆきさんを家まで送った。



そのまま家に帰る。


やっぱまだゆかからの連絡はない。