私は子供にとって親は『乗り物』なんじゃないかって最近思います。幼い子供は親の行くところに強制的に連れていかれてしまいますから、自発的に行き先を選べるわけではないけれども私はアッサムとセイロンを見ていてこの子達はそれぞれ2組の親を使ってビューンと遠くまで来たもんだ!と思うのです。
日本で生まれ育った私達夫婦がイギリスに来たのは私の留学がきっかけでした。3年後、無事修了して私は帰国するつもりでしたがダージリンが残りたいと言い、そのままズルズルと14年いたという感じです。そして養子縁組の為に日本に戻り、無事縁組が認められていざとなった時、ダージリンは当たり前のようにイギリスに戻るつもりでしたが、私の心境は少々複雑でした。なぜなら前回イギリスに行ったのはそこでしか学べない事があったからですが、今回は別にイギリスに行かなくてはいけない理由は私にはなかったからです。むしろ日本にいたい理由の方が多かったのです。
大学で関わったプロジェクトは天職かと思えるほどこれまで培った全てのスキルを生かすことが出来、3年の契約満期時には慰留していただき、本当に心が動きました。
もし物事が起こる順番が異なっていて、この仕事が最初だったら結婚もせず独身で出張の多い仕事に邁進していたと思います。でもそうではなかった。逆に養子縁組をする為に日本への帰国を考えていた時にタイミングよくこの仕事のオファーが来て、堅い職種なので裁判の際に聞こえがいいかもという不純な動機で受けたのです。イギリスで安定した仕事をしていたので、何も無しに3年だけの契約の為にわざわざ日本に帰国しなかったでしょう。やはり養子縁組があってこそでした。
また、私の姉と母に深刻な病気が見つかり、特に姉はその時はもうダメかと覚悟した程でした。私は元々はほとんど白髪がなかったのですが、日本に戻ってから家で子育てをしてくれていたダージリンへの気疲れでボチボチ出だし、姉の病気で一気に増えました。色々な幸運が重なり何とかなりましたが、心配で日本に残ろうかと思った程です。しかし、家族は私達を全くアテにしておらずむしろちょっとお邪魔虫的に扱ってくれました。本当は一番下でなんでも言いやすいし車も運転する私に頼れれば楽だと思いますが、あえて外して段取りを組んでくれている親心です。二人とも普通の生活を送っているし、ここで敢えて残っても仕方ないかなと思わせてくれました。
今回の渡英は留学や転勤などではなく、移住という事になります。わざわざ母国を離れてここで暮らすことを選んだということで重みが違います。そして子供がいると幼稚園、学校と本当に深く地域に関わらざるを得ず、ジリジリと根を伸ばしている感覚があります。ご近所にも友人にも頼って子育てしているので尚更です。イギリスで育つ日本人としてその経験を生かして多くの人の役に立つ人になって欲しいと思います。
