魔法の言葉

私は先日、カンニング竹山さんの単独ライブ「放送禁止」を観させて頂き、「さて、帰ってオカラか水とんでも食べよう。」と思っていたところ、隣で一緒に観ていた、ずんのやすさんが「帰るんですか？ちょっとボク寿司食べて帰ろうと思ってるんで、一緒に行きません？」と言って来ました（何故か敬語だった。）

私は音速で「行きます！」と答えた。そして寿司を御馳走になり、ああでもないこうでもないと、キャッキャッ、キャッキャッ喋っていたのですが、まもなく終電というところで「そろそろ終電なんで…」と言うと、「ああ、今日は僕が誘ったんでタクシーで帰ってください！タクシー代も渡しますから。」とおっしゃる。

それならば、と再びキャッキャッ、キャッキャッ言うて、２時前くらいにお開きになった。やすさんはコンビニでお金をおろし、私に１万円渡し「またよろしくです～。」と帰っていきました。場所は新橋。私は悩んだ。「頑張れば、歩いて帰れるんじゃないか？」万札を見た瞬間に私は思っていた。

一度そう思ったら最後、私は新橋から笹塚まで歩く事にした。芸人からはよく聞くような話だ。我がＳＭＡにはタクシー代の文化はないので、ＳＭＡの芸人から聞いた事は一度もないが。「後輩とも是非ワリカンをしたい」それがＳＭＡの文化だ。で、歩き始めたはいいが、まあ、新橋～笹塚間の遠いこと遠いこと。ナメてました。

私は途中、諦めそうになる度に千代の富士の「不撓不屈」という言葉を思い出し、必死で歩いた。夜中の３時、赤坂見附辺りを、千代の富士の事を考えながら歩いていたのは、間違いなく私だけだっただろう。赤坂見附、四谷と来ても、「もうタクシー乗ったろか」と何度も思う。というか、そもそも千代の富士本人が、この状況なら絶対にタクシーに乗る。

最終的に私の背中を後押ししたのは、「これをバイトだと思え。」であった。これでスッと気持ちが楽になった。２時間３０分ほど歩いただけで、１万円もらえるバイトがあるなら、ヘタをすれば芸人引退すら視野に入って来る。まさに魔法の言葉だ。いっぱいバイトをして来てよかった（よくねえだろ）。普通の人なら、おそらくこの魔法にそう簡単にはかかりませんからね！


やすさん、御馳走様でした～！！












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